EXP.35 縁は縁を呼ぶ その2
「そう言えば、林はどうしてこのゲームやってるの?」
僕達は宿屋を後にし、ギルド内の無数のテーブルの一つにて、お茶を飲んでいた。
「刃物に対して耐性が上がればと思って…………変わってませんが……。ユウキさんは、どうしてですか?」
「僕の場合、話すと長いけど良いの?」
僕の問いに頷く林を見ると、僕は静かに目を閉じながら語り始めた。
「僕にとっての、本当の春の訪れ……」
…
入学式の翌日、僕のクラスに転校生が来たんだ。
他の事はあんまり覚えてないけど、一つだけ鮮明に覚えてる。
「清田 雫です。よろしくお願いします」
その彼女の声と容姿に、僕を含めた大半の男子の心を掴んだんだ。
そして、一週間で9人の戦士が儚く散ってったよ……。
それから……一、二週間後。
僕は友人である草磨に一つの情報を聞いたんだ。
「彼女はああ見えて、隠れオタクらしーんだが、DOAと言うVRMMOをやっているらしいぞ」
……
「だから僕は、このゲームをやっている!」
「……騙されただけでは……?」
「僕も最近そう思う……」
可哀想な子を見る目で見てくる林に賛同していると、背後から声が聞こえてきた。
「オレは嘘なんかついて無いぜ、ユウキ」
それは、よく聞いたことのある声だった……。
…
背後の席に座っていた青髮の男は、
「お前は、もしかして……草磨⁉︎」
「その通り、オレの名はソーマだ。ところで……そちらのお嬢さんは?」
草……ソーマが林について僕に尋ねる。
「林と申します。男です」
「これは失礼しました」
林の答えに透かさず謝罪するソーマ。今度は僕がソーマに問う。
「そっちの女の人は?」
「私の名前はAIRA……」
肩に届く程の銀髪の少女。
「AIRAさんはソーマの仲間なの?」
僕がソーマに質問を投げかけると、ソーマでは無くAIRAさんが口を開く。
「同じチームの部隊……。早乙女と鳴宮も、このゲームやってたんだね……」
「「え」」
何で僕の現実の名前を知ってるんだ⁉︎ 、しかも鳴宮って誰⁉︎ 。
僕と林は今の発言に困惑していた。
…
「AIRA、現実の名前は禁句だろうがっ」
「そうだったね……。でも、早乙女と鳴宮は早乙女と鳴宮だよ……」
「どうして僕を『ボクを』知ってるんですか⁉︎」
「だってこの四人は……同じクラスじゃない……」
まさかの真実、林がクラスメイトだったとは……。確かにアイラ何とかって言う名前の人がいた気がする……。
「私がわからないなら名乗ろう……。私の名前はアイラ・ホーネスト……」
「だからフルネームとか、言うなって言ってるだろっ。バレたらまた、アカクラさんに怒られるだろっ」
「確かにそれは嫌だね……」
「ごめんな、コイツ人見知りで知り合い少ないから、すぐに名前とか言っちゃうんだ。……ふたりとも大丈夫か?」
そのセリフから、僕と林はかなりショックを受けていたのだろう……。
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