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ホゴシャな日々  作者: 望月 沙夜
カイル編
15/15

3−1

長らくお待たせいたしました。約半年ぶりくらいに更新します。


違う街へ無事に逃げたセントとライドだったがその街でも事件が勃発し…

ライドのセントへの思いはどうなってゆくのか。セントはソレに気がつくのか…。その辺りが少しハッキリすればいいなと思っております。

筆が遅いのでなかなか続きが出せないかもしれませんが、挿絵共々なんとか続けて行く所存ですのでどうぞ呼んでやって下さい。



序章

「力さえあれば…!きっとこのペンダントは再び輝くに違いない」

少年の手には今しがた父から受け取ったペンダントがあった。無機質で、言うならば抜け殻。そんな色合いの紫色の宝石がはめ込まれているペンダントだ。

タタタタと駆けて行く少年の側には腰に帯刀した背の高い軍服姿の男が居た。

「ラディ!これからこの宝石に光を灯そう。そうすればきっと兄上達も喧嘩をやめるはずだぞ!」

「…ハッ、殿下の仰せのままに」

一年後。二人はおおきくなった兄達の争いに巻き込まれぬように、数名の臣下を連れ王宮を出て行くこととなる。

そのときもまだ、宝石は抜け殻のままだった。



◇1◇

 「ひと部屋しか空いてないね。」

 「じゃ、それで…いてぇッ!」

 言いかけるがそれ以上言葉が続かない。シレっとしているセントを睨む。

 セントがご主人、もう一部屋空いてませんか?と深くかぶったマントの下から普段よりも少し低めの少年のような声で尋ねる。

 「空いてないね。」

 セントがムッとしたのがすぐに分かった。俺はため息をつき、セントを見下ろす。

 「別に二人で一部屋でいいだろ」

 セントはチラッと俺を見上げフイっと視線を宿の外に向けた。違う宿を考えているにちげぇねぇ。

 俺は仕方ねぇなぁ、と他の宿を探そうかと荷を手に持った。

 「他のとこももういっぱいだよ。日暮れ近いし、もうすぐ祭り近いからね。人が集まってきてるのさ。どうするさね?」

 亭主がそう言うと、いつの間にか入って来ていた旅行客らしい女性達が亭主から最後の部屋の鍵を受け取ろうとしている所だった。

 俺は慌ててそれを取る。悪いと思ったけど、でも俺も屋根のある所で眠りたい。

 「ワリィな。先約してたんだ。」

 そう言い、セントを促そうとした。

 キャ~っっ

 「こんなところに小さな子が居るっ。」

 「ね、いくつ?お父さん、おかあさんは?」

 「お部屋どこ?後で町の散策一緒にしない?」

 こうゆう旅宿に子どもなんて珍しいんだよな。ましてやの行き交うヤツはほぼゴロツキまがいの猛者みたいなのばっかり。だから余計目立ちまってる。

 しかし、だ。

 「…っ」

 セントは珍しく、たじろいだ様子で壁に背をつけ、話しかけてくる女達をそれぞれ見た。若くて可愛いねぇちゃん達だ。できればもう少し露出が…と、俺の好みはどうでもいい。

 

 話しかけられた時のセントの仕草、行動が可愛く見えたのだろう。

 

 可愛いーーッ


 きゃぴきゃぴした声が響き、そこに居た奴らは一斉にこっちを見た。

 「ねー、そのマント暑くないの?」

 「宿の中だし取ったら?」

 そう言うとあろうことかセントのマントを外そうと引っ張り始めた。

 「止めッ」

 セントが珍しく少し大きめの声をあげた。

 ヒョイっ

 「わりーな。あんまりコイツを苛めないでくれるか?俺の大切な人なんだ」

 「ッ!」

 セントは驚いた様子で俺を見る。

 (いいからマント治して俺にくっついてろ)

 小声でセントに言うとセントは黙ってマントを直した。

 女達はキャーっとまた声を上げる。

 俺はニヤリと笑うとセント顔を覗き込むと、その額に軽くキスをした。

 「ッ」

 「恥ずかしがりやでなかなか人前に顔をだしたがらないんだ。そろそろいい答えが欲しいんだ。悪いが部屋もらうぜ。」

 俺はそう言うとセントを片手に、もう片手に二人分の荷を持ち主人に言われた部屋へ歩き出す。

 まだ女達がこっちを好奇心の眼差しで見ていた。

 「今日は良い答えをくれるよな?セント?」

 わざと顔を覗き込み、そのまま部屋へ向かった。



 「悪かったって!」

 「…キスは要らなかった!」

 「だぁーら、あれは演出で…!」

 「両親にもされた事ない!」

 「俺が初めての相手か…そりゃ光栄…痛ッ!!」

 部屋へ入り、ベットにセントを下ろすとマントを外したセントからどうしてあんな事したのか、言ったのか!と猛攻撃された。

 「スネはヤメロっ!マジ痛いッ!」

 俺は足を押さえ椅子に座る。

 セントはフンっと背を向け腕を組んでいた。

 

 「とりあえず、町で必要なモン買ってこうようぜ」

 俺はスネをさすりながら言うとセントはマントを羽織り直しながら部屋を出て行く所だった。

 「待てって!一人じゃあぶねぇだろッ!」

 「貴方と居る方が危ない。」

 「ンなこたねぇって!」

 「ある!」

 「ない!」 

 そんな事を言いながら部屋を出ると丁度亭主がソファーを持ってきてくれた所だった。

 ドサっ

 「なんだ、早速痴話げんかか?仲良くしないといねぇぜ?これ、ソファーな。」

 「ああ、ありがとう。」

 「部屋に入れるから手伝ってくれるか?」

 「ああ」 

 「そこの子も」

 「はい」 

 丁度いいタイミングで主人がやってきたのでとりあえずセントが先に行くのが止められた。

 その後、夜は猛者が多いから部屋からあまり出ないようにだの、注意をし亭主は部屋を出て行った。

 それから少し落ち着いたセントと共に街に出た訳だが。



 キャ~っっ

 バッ

 タタタタタタっ

 「おいッ!待てって!」

 「…」

 街中で悲鳴の一つでもあがればセントは一目散に走って行く。

 これはアイツの性分なのだろうか…。俺の言葉をムシし、その子どもらしからぬ俊足を使い一瞬にして姿を消してしまう。

 「おいーっ!」

 これ以上追っても追いつかないのは最近悟った。

 立ち止まってため息を一つ、ついてみる。

 小さな街だが夕暮れ時っていうのと、宿の亭主が言っていた祭りがあるらしいことでやたら人が多くそれを避けながらセントを追いかけるのには無理がある。

 「ったく…。アイツは正義の味方か!?」

 ひとりゴチフとある事を思い出す。

 セントが変な輩に狙われている事。

 こんな人が沢山の所だったら狙いやすい。

 いくらアイツが子ども以上に剣の腕が立つからと言っても何が起こるかわからない。

 俺はすぐに走り出した。

 

 ー何も起きないでいてくれよッ


 

 「金品全て出せっ!」

 「ひいいいいッもう、これ以上はっ!」

 「オラオラっ!もっとあるだろーがっ!家の中を全て探せ!!」

 


 屈強そうな男二人がどこかの店の亭主を取り囲んで金目のモノを出させている。

 亭主は恐ろしさと、全て吸い取られてしまう恐怖に顔を青くさせているのが見えた。

 ーセント…

 辺りをキョロキョロと見回すと後ろから背を押された。

 

 「うおッ!?」


 「あなた、戦士かなにかでしょう!?助けて下さいっ!」

 

 前に突出され、一瞬にして衆目を集める。

 振り返るが、押し出したと思われる女は俺から離れた所からこっちを見ていた。

 俺は辺りを見回しセントを探す。居る事は分かっている。セントの気配が強く感じるんだ。

 と。

 

「よぉ、なんだ、正義の味方登場か?」

 

 ふざけた様子で俺を上から下まで見ると馬鹿にしたように笑った。

 まあ、相手よりかはだいぶ体は小さいし筋肉もそこまでついてはいない。これでも女の一人や二人くらいは抱えて走れるくらいの腕力はあるつもりなんだが。

 

 「正義の味方ってワケでもないが…その、金品強奪なんて今時、田舎の街でしかやってねぇし、別の商売始めた方がいいんじゃねぇのか?」

 

 まずは話をしてみる。

 街の人々の視線を感じとってもやりづらい。

 

 「っせーよ!お頭の命令なんだから仕方がねぇ!お前、ちょっと男前だからっていいかっこしよったってそうはいかねぇ!」

 

 そんなつもりはまっっったく無かったのだが、どうしてか渦中の人物となってしまっていた。

 俺はそんなつもりはねぇっ!って言いたかったのに突然グーにした手を振りかざしてくる。

 話す暇すら与えてはくれないらしい。

 俺はため息一つ、頭をポリポリかくと、大降りに殴り掛かってきたのを除け、軽くジャブを顎に入れ、そのまま腕を背に回してやると呻く声しか聴こえなくなる。

 辺りからはおお~っという声が聴こえた。

 

 ーこんなの腕に覚えがあれば誰だってできるだろ…


 口から出そうになったとき、すぐ側でもう一人の男がドサっと音を立てて倒れる所だった。

その男の陰から出て来たのは

 

 「セント!」

 

 名を呼ぶとセントは手をパンパンとし、そしてマントの中からロープを取り出しこっちに投げて来た。

 俺がそれを受け取ると周りで見ていた男達が手伝ってくれてすぐに男をロープで縛り上げた。

 その間に、セントは金品を強奪されそうになっていた店の女将に大丈夫ですか?と声をかけ何故か手を取り立たせてあげていた。

 その声音と様子にまるで少年兵のようだ、と女達はきゃあきゃあ言っているのが聴こえた。

 そんなことよりも、おれはセントがまたメチャクチャしていないか心配で仕方が無かったんだが。

 どこからか自警団のような男達が現れ、その一人に縛った男達を引き渡すとセントは俺の思いが聴こえたかのようにこっちを見、唯一みえている口元に笑みを浮かべた。

 

 「ふう。」

 

 なんでこんなにも問題事に首をつっこみたがるのか。野次馬どころのはなしじゃあない。

 未だ、女達の相手をしているセントの元へ行き、その腕をこっそりつかんでみた。

 なにも言わなかったからしばらくそうしていることにした。

 これで、どこかへ消える事もねぇだろ。

 しかし、俺はその時気がついていなかったんだ。

 セントは俺がつかんだ腕よりも近くの建物の屋上からこっちをみている輩に注意がいっていたんだ。


 

 「ライドさん…いくらなんでも手つながなくてももうどこかへ行ったりしませんよ。」

 セントは困ったような表情で俺を見上げた。

 

 「ダメだ。さっき見たいになって俺がお前さんの所に行けなかったら…変な子どもが一人で暴走ぐえッ!痛っ!?腕が変な方向にっ!セ、セントさん…?」

 「変な子どもの暴走だ、何も気にする事はないでしょう?」

 「イテテテテテっ!ギブっ!」

 

 セントが素早い動きで腕をギリギリ締め上げるもんだから俺は往来の真ん中で変な見せ物みたいな事になってしまっていた。

 或は漫才が始まったと野次馬さえも集まり始めていた。

 ーセントのヤツ…っ

 

 痛みにわずかに顔を歪めて軽く睨むとセントはシレっとした様子ですぐに手を離した。

 

 「おーい。あんたら。」

 

 横から声をかけられ、俺とセントは同時振り向く。

 

 「…何やってたんだ?新手の漫才か?てかさ、あんたら強いな。な、よかったら、宿で話ししてぇんだけど。同じ宿だよな?」

 

 言われ、あ!と記憶の片隅にそんなような男が居たような記憶が蘇る。

 セントは買った荷を持ち黙って俺たちを見上げていた。

 俺は小さく息を吐く。漫才じゃ無い事はきっちり突っ込みたかったがそれはすでに過去の話しとなっていたので蒸し返すのは止めた。

 なんだか、また厄介ごとに巻き込まれそうだ。

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