第4話 遊と能力と異世界トリップ
病により死をむかえた主人公は気がつけば草原に立っていた。
そこで神と名乗る男から突然愛の告白を受ける。
「僕はこれでも男だ!!」
お詫びとばかりにもらった身体能力と魔力、そしてエンチャント能力をひっさげ異世界に降り立った主人公。
ファンタジー世界に憧れを抱く少年の冒険譚。
「うぅ・・・ひどい目にあった。おまけに減俸確定済みって・・・」
「自業自得です」
「まぁ、とにかく神王様の許可はおりているみたいだし、加護を与えて異世界へ転移してもらうことにするか」
「ちょっと待ってください。
行き先がどんなところかわかないのに直ぐに行けと言われても困ります。
まずは行き先に説明をお願いします。」
「確かにそうだな。とは言っても元の世界と異なるなら行き先はどこでも良いのだがな。
どんな世界がいいとか希望はあるか?
神王様の許可もあるあるから行き先の希望もある提訴融通してやるぞ」
僕はその言葉を聞いた瞬間に今まで読んだ本の内容が頭を駆け巡った。
これまで本やゲームで憧れた剣と魔法があふれるような世界が存在するかもしれない。
そう考え即座に決断する。
「剣と魔法が存在する世界はありますか? 文明的には地球で言うところの中世ヨーロッパくらいで」
「あるぞ。意味が元いた世界のファンタジー小説のような世界がある」
「本当ですか!! それは王様が国を治めてて、エルフやドワーフのような亜人はいるのでしょうか?
そ、そしてドラゴンとかっ!!」
僕にとっては幾度となくあこがれを抱いた世界にいけるかもしれない。
そう思うと興奮を押さえることが出来ず、思わず変態へ詰め寄ってしまう。
なんか変態神の顔が赤かった気がするが見なかったことにしよう。
「ちょっと落ち着け。確かにそんな世界はある。
君がそこが良いというならかまわないが、今の君が行っても長生きは出来ん。
剣と魔法もあるが、いわゆる魔獣という存在もいて死が生活と隣り合わせだからな」
「でしょうね。だからこそ僕のお願いをいくつかかなえてもらいたいのです」
「ふむ、大それた物でなければかまわん。具体的は生死の理をねじ曲げるような物は駄目だ。
世界への影響が大きすぎるし、それは神の御業だからな。」
「そこまで大それた物は僕もいりません。僕が欲しいのは3つです。」
そう言って僕は3つの能力をお願いした。
一つ目は健康で一般的な人より優れた身体能力と優れた魔力。
二つ目に物体に魔法などを付加できるエンチャント能力。
三つ目に生活に必要な言語能力や一般常識。
一つ目と二つ目は異世界トリップを題材にしたライトノベルでは定番だ。
三つ目に関しては流石に言葉や文字の読み書きが出来なければ異世界に渡っても生活することは難しいだろうという考えからお願いすることした。
絶大な力や強大な魔力は確かに欲しいが、僕が剣を振るってドラゴン相手に無双している姿がどうしても想像できなかった。
それに僕は英雄になりたいのではない。異世界での冒険を満喫したかっただけなのだから化け物じみた力は特に必要ない。
ただ、異世界を旅をして多くの人と関わり、ちょっとした冒険が出来ればいい。
「身体の力と魔力は別だと思うのだが・・・まぁ、言語能力は最初からあたえるつもりだったことだし問題ないだろう」
そう言うと変態神が右手を僕の額にかざす。
右手からは暖かい光が放たれており、体の中から力わいてくる感じがした。
「とりあえず加護は与えたぞ。ただ、君が言っていた能力だけだとちょっと不都合がありそうだったのでこちらで少し調整した」
「調整ですか?」
「そうだ。いくら身体能力と魔力が優れいても使いこなせなければ意味がないからな。属性に関する適正を与えておいた」
「確かにそうですね。ありがとうございます」
そういえば適正については何も考えていなかった僕は素直に感謝する。
場合によっては力や魔力があっても使いこなせず宝の持ち腐れになる可能性もあったのだから。
「付与した属性は武器全般の取り扱い。そして魔法の全適正だ。
武器の取り扱いはその名の通りどんな武器にでも適正があり、上達の度合いも適正を持たない人より早い。
魔法適正については基本属性の地・水・火・風と上位属性の光・闇・時空・無属性の全部で8つだ」
ここら辺は一般的な小説やRPGと同様のようだ。
「本当はもう一つ創造という属性があるのだがな。そちらは神の御技に近いので省かせてもらったよ。
それに基本属性の中に派生系統も含んでいるしな。例えば木は土属性、氷は水属性という風にな」
「それでかまいません。仮に無からの創造なんて出来てしまったら逆に楽しみが無くなります」
「あと、武器も魔法もそれなりに練習しなければ意味がないぞ。
それからエンチャント能力についてだが、君が出来ることしか付与はできん。
自分が出来もしないことを付与出来たら何でも出来ることと同意だからな」
「わかりました。とりあえずは後は僕のがんばり次第ということですね」
「そういうことだな。まぁ、流石に何も覚えていない状態で放り出されても困るだろうし、各属性の初級魔法くらいは使えるようにしておいてやるよ」
「助かります」
とりあえず準備は整った。後は異世界に旅立つだけだ。
これからの事を考えると若干不安もあるが期待の方が大きい。
どんな不思議な出来事に巡り会えるのか今から楽しみだ。
「さて、準備は整ったようだし、そろそろ異世界に旅立ってもらうとしよう」
「そうですね。よろしくお願いします」
そう僕が答えると足もとに不思議な記号が刻まれた魔方陣らしき物が現れる。
「人がいる場所にに転移させると騒ぎになってしまうからな。人里から少し離れた森の中に転移させるぞ。
転移したら斜面に沿って下って行けば15分位で街道に出る。街道に出たら右方向に30分程度歩けば小さな村に着くからな」
「わかりました」
「まぁ、村に着いたら色々と見て回ると良いさ。」
「何から何までありがとうございます」
「礼ならいらないさ。半分以上は私の責任だからな。それじゃ元気でな。今度は良い人生を送れると良いな」
その言葉が僕に届いた瞬間、足下の魔方陣がまばゆい輝きを放つ。
思わず目を閉じてしまった僕が再び目を開いたとき、そこは見たことのない木々が生える森が広がっていた。
ようやくの旅立ちです。
遊がもらったのは定番の身体能力強化と魔力強化、言語能力に加えてエンチャント能力です。
作者としては単純に戦闘力が高いより、生産チートや道具を使った無双が大好物なので、今後主人公より単純な戦闘力が強い存在も出していくと森です。