神隠しの中
僕たちはただ、カツアゲされていた現場にいただけ。
その瞬間世界はモノクロに・・・。色を失った。
色がついているのは、ヤンキーなのかチンピラなのか知らない彼ら9人、そしてカツアゲの被害者である僕ら3人。
僕はここを知っている。
「コウ、ユウ、かくれんぼだ。逃げ切れなければ死ぬ。制限時間は2時間。準備時間は20分。」
二人は理解している。戸惑っているのはカツアゲされた側。
「どういうことだ説明しろ。」
リーダーらしき人間が答える。
「殺戮兵器から隠れてもいいから逃げ切ってください。最近ニュースになったでしょ?同じ場所で数十人の死体が発見された。とその原因です。説明も何もされない突然発生する。」
「そんなもんあるわけねぇべ」
チンピラの一人が騒ぎ立てる。
「隠れる時間が無くなるので失礼させていただきます。」
そういって走り出した。
タイプは迷路っぽいな。ゴミ箱があれば隠れられる。
こっちは行き止まりか・・・。くそ、あいつらに説明する時間を取られた・・・。あと五分・・・。
くそ・・・。あれは、ドア?開くか?
ガチャ。開いた!よし・・・。
マンションの一室みたいだ。助かった。
ウォークインクローゼットに隠れる。
【狩りを始めます。楽しませてください。ではごゆっくり・・・。】
モノクロの町の中に響いた。
呼吸をゆっくりとする。
【クドウタクミとアスカリュウを発見しました。これから拷問を開始します。】
町中に響き渡る音声。
【イレギュラー、タイプC5が破壊されました。音声位置共有。】
そして、すぐさま流れる音声。
【30分経過しました。残り90分ですが、ハセガワトオルを発見しました。これから拷問を開始します。】
【ハセガワトオル、左脚部骨折により移動不能。脚部破壊後、腕部骨折に移行します。】
【ハセガワトオル、脚部骨折および腕部骨折完了。今後のデータの為に拷問に移行します。】
【ワタナベアキラ発見・これより捕獲を開始します。】
【ワタナベアキラ、右足負傷により行動停止、拷問を開始します。】
【ハセガワトオル、頭部粉砕により死亡確認。】
【ワタナベアキラ、出血多量により死亡確認。】
カツアゲしていた二人が死亡した。
時間が過ぎる。
【クドウタクミがリタイアしました。偽装死体を作成します。】
【クドウタクミがオカベナツキを殺害しました。親友を後二人殺してください。】
町に響き渡る音声が淡々と流れていく。
【60分経過、残り60分です。】
『ガチャ』と扉が開く音。
『ドン』というウォークインクローゼットの扉にあたる何度もの衝撃。
左側の扉は破壊された。
ショートボブのぱっちり二重の少女。身長が低めではあるが胸は大きめの・・・。
「やっと見つけた。」
恐ろしい声なのに懐かしい声だった。
「これでまた一緒だね。リント。」
「まさか、トモネ?」
「あたり。やっぱり、リントは殺さないし殺させない。これからずっと一緒だよ。」
「なぜ?」
「だって、昔もリントは私を見捨てなかった、だからこの場所で一緒に暮らすの。」
「断ったら?」
「逃げられないようにする。そう、マザーから教えられた。愛は重くていい。逃げられなくしてしまえばいい。それが、誰にも邪魔されない二人だけの世界の作り方。」
「友達を解放してくれるなら残るよ。」
「名前は?」
「トモウラコウキ・アリサワユウタのふたり」
【ヤマナシリントが条件降伏しました。トモウラコウキおよびアリサワユウタの二人をターゲットから解除し、脱出シーケンスを行います。5分後ゲームから解放します。】
そのまま、抱きかかえられ何処かへと連れ去られた。
すれ違う女性の形をしたナニカを見送りながら・・・。
僕は一生このモノクロの世界で生きる。多分、リタイアしたクドウタクミという彼もだ。
無色透明で出会った彼女は、モノクロの彼女として今を生きている。出会った時の大斧は壁に飾られたままいつでもとれるようにされているが・・・。
昔のように彼女を愛せるか不明瞭なまま、今は生かされているのだ。




