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まやちゃん

作者: 小波

私には小学校からの付き合いの友達がひとりいる。この人のことを友情とか親友という言葉にそこまでしっくり当てはまらない気がしてた。絆を強くする汗臭い出来事、涙を見せた日、生々しい恋話、恥ずかしくて見せらない姿も見せ合った同士。映画やドラマのイメージだと親友とは余計なことまで知ってる仲のことを指してる気がする。

私たちは、仕事で大失敗して恥かいた話も全てが終わって何年もしてから聞いたし、今まさに恋をしている、明日はデートだ、プロポーズ間近だとかリアルタイムの恋バナもしたことない。彼女はすっかり婚約してから教えてくれる。そもそも求婚からの流れはYouTube的なやつにビデオレターで載っており、無事成功してからhttpコロン‥とメッセージに送られてきた笑

学生時代に一緒に頑張った覚えもない。いつも部活とクラスはばらばらだった。

人生のステージってものが重ならないのかも知れない。彼女がおしっこに血が混じるくらい仕事に打ち込んでいた時、私は精神科に通いうねうねと小さなバイトをして迂回路を徒歩で歩いていた。そんな風に重ならなかったのだが結婚時期、出産時期、離婚時期が一緒だった。出産日には前日に母になった彼女と赤ちゃんに励まされたし、離婚するかもと言われた時はぎゃー!と悲鳴をあげた。その2が月前に私が離婚していたからだ。そこまで重なれば充分にも思えるけど、友情に夢見がちなのかも知れない。もっと暑苦しい出来事を共有するのではと思ってる。

長年付き合った友達、その人との30数年はたまに連絡先も知らない。たまに密に付き合う。けど飲んだくれて街を歩いたことなんてない。

さっぱりしている。それでこれが親友か!と気づくのが遅くなった。思い入れは強くないけど、なんとなくそろそろかな?って頃に連絡し合うまやは歳をとっても付き合うような気がする。(思い入れが強くないので)

互いの子供同士が親友?になって、また糸が太くなった。


とても昔に2人で互いの実家の近くを散歩した。あの頃は田んぼも多くてクローバーの畦道を歩いた。今は埋め立てて住宅地になっている。


あの時フリーターの私と現在に疲れて痩せてしまったあなたとでぷらぷらあてもなく喋りながら歩いた。側溝の勢いよく流れる農業用水にあなたは、「水の音いいねえ」と言う。そんなものはいつもあるのでわざわざ耳を澄ますことをしていなかった。ドクダミの白い花を「きれいだ」と言う。臭いだけだと思っていたので白と言っても少し乳白色の花の色になるほどと思えた。

気づけばげらげら笑っていて「おばあちゃんになっても住む家が近かったらこんな風におしゃべりしながら散歩しようね」と言い合った。あの夢は叶ったらおもしろいな。


度胸とか行動力2人ともあると思う。しかしあなたは褒めると「そうするしかなかったから」と言う。私は遠くへ行ったり住んだりする。その理由もまた「それしか方法が見当たらなかった」という切羽詰まったものだった。人間関係を探し求めている様にみえたあなた、生きるには仕事をしなければと引きこもりをなんとか奮い立たせる私。遠くまで出かけても人間関係はそこまで深いところへ人を入れられない。器用に誰とでも喋るけどあなたみたいな感じでたくさんの人と関わるのは不得意だ。と勝手に思っている。だいたい知ってる、けど知らないこともきっと多い。私が元気がない時だっただろうか、突然あなたは過去の大失敗を話し始めた。それは周りの人たちもそんなことは今まで一度も無かったという程のおもしろい失敗だった。小さな失敗は嫌味の対象にもなりかねない。スケールがでかいとダメージもそこそこでかいが、半年もすればネタである。ちょっとすっとぼけてスケールの大きなことを(成功談も)後からさらりと教えてくれる友達で親友のまやちゃんに感謝しています。

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永野彗でも読めます。

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