introduction 3
サテライト・エリアとは、インターネット内部のデータ生命体専用区画のことである。諸君にとっては周知のことではあるが、今日の研修に必須情報であるから、もう一度、復習がてら聞いて欲しい。
このような、サテライト・エリア区画の開発には、全世界のインターネットが使用不可となった『大停止』に由来する。その前日までは普通に使っていたインターネットが何の前兆もなく止まり、社会生活に混乱をきたすほどの事件に発展した。
その原因を探るためにインターネット内部に入ると、暴れ回るモンスターを見つけた。そのモンスターはそこら中のものを破壊し、インターネットの流れを止めていたことがわかり、無効化させる必要があった。
そして、モンスターを無効化させ、正体を調べると、ズタズタに裂かれたデータ生命体の一部が制御不可のモンスターとなっていたことがわかった。
そこから、管理システムを変更した。データ生命体は新たな専用区画『サテライト・エリア』をインターネット内部に作り、全てのデータ生命体を管理できるシステムを創設した。そのシステムには、何かあったときのバックアップ先として『サテライト・エリア』へ自動転送機能とともに、その中でも暮らしていけるように整備された。
当然、データ生命体も技術進化している。
基本、データ生命体は身体をスキャンで読み取った生体情報をデジタル変換し、一個人のアイデンティティを持った生命体技術である。そして、データ生命体専用機器であるサポートスーツにインストールすれば、生きていた頃と変わりない行動が可能となる。