第48話 ガーディアン(2)
剣とか魔法に対しては反応が薄いのに、矢に対してだけは妙に反応が良い。他の開拓者達も『ガーディアン』の反応の違いに、段々と気付いてきているのか、何かを探るような動きが徐々に増えてきていた。オレも冷静になってからは闇雲に攻めるのを止めた。
ズシンズシン。慎重な開拓者達を追いかけ古びた床を揺らしながら、『ガーディアン』は頭部をグルグルと回転させつつ、あちらへこちらへと動き回っている。オレは無理に攻めに行かず、いつでもどの開拓者も守れる、絶妙な位置をキープすることにした。
戦況はやがて一進一退の攻防へと変わっていったが、オレよりもなお若い一人の長身の開拓者が、『ガーディアン』の頭部を狙って強引に槍を突き出した。明らかに功を焦った行動だ。『ガーディアン』はグルリと頭部を回転させ、赤く光る両目で無謀な若き槍使いを見た。
オレは槍使いの前へと駆け出した。そして、若き槍使いと、彼を真っ二つにせんと振り下ろされた剣の間に、オレは盾を頭の上に構えながら飛び込んだ。案の定、今度は槍使いごとぶっ飛ばされたのだが、追撃の方はまたもやハンマー使いの男が阻止してくれた。
ハンマー使いのおかげで、オレと槍使いは軽傷で済んだ。オレは素早く立ち上がり、『ガーディアン』を観察しながら、改めて奴の動きのパターンと攻撃への反応の違いを考え始めた。攻撃は至って単調で、剣は縦か横に振るか、たまに突きをするだけだ。あとは盾による殴打くらいだろうか。
今度は前衛組を全員まとめて斬り捨てんと、『ガーディアン』は剣を左右に振り回した。一人だけ回避が遅れた者がいたため、オレはさっきと同じように体を張って守った。奴の剣とオレの盾がぶつかる直前、オレの体を金色の光が包み込んだ。
次の瞬間、剣と盾が激しくぶつかる。しかし、ぶっ飛ばされることもなければ、負傷することもなかった。視界の端でエマニエルの魔法の杖から、金色の光の粒子が出ているのが見えて、彼女の魔法に助けられたことを知った。
心の中で彼女に感謝して、オレはすぐに推理を再開した。攻めに比べて守りはかなり厄介だ。強固な装甲に、剣と盾を用いた巧みな防御。これだけでも面倒なのに、グルグルとよく回る頭部が、『ガーディアン』から視界の死角をなくしていた。
ただ、気付いたこともあった。長身の者が使う槍や、遠くまで飛ぶ矢など、頭部まで届く物理攻撃に敏感に反応することだ。しかし、頭部も装甲で守られているため、弱点とは言い難い。となると、残る可能性は一つだ。
首だ。頭部の可動域を広くするためか、改めてよく見ると、その部分だけ装甲が薄く、わずかな隙間がある。オレがキャロラインに目配せすると、彼女も小さく頷いた。
次回は3月17日に公開予定です。
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