第47話 ガーディアン(1)
開かずの扉が開いた時から、予感はあった。広い地下空間の中央に鎮座する、人型の機械兵『ガーディアン』。それでも、全員がためらうことなく、扉の先へと進んでいった。『ガーディアン』もオレ達の接近に反応し、目に赤い光を点灯させた。
同時に、開かずの扉が紋様の魔法の力で再び閉ざされた。そして、『ガーディアン』が剣を振り上げつつ、こちらに向かって突進してきた。オレを含めた前衛組は慌てることなく前に出て、それ以外の者達も後ろに下がったり、左右に広がったりして『ガーディアン』を迎え撃った。
迫る『ガーディアン』の剣を盾で受けたのはオレだった。盾越しに強烈な衝撃が伝わってきて、派手にぶっ飛ばされて仰向けに倒れてしまった。急いで起き上がると、『ガーディアン』に追撃されそうになっていた。
やられると思って目を閉じそうになったが、他の前衛組の男がそれを阻止せんと、ハンマーで『ガーディアン』の胴体を殴った。しかし、逆に盾で殴り返されてしまった。ハンマーによる攻撃も効いていないように見えた。それでも『ガーディアン』の足は止まった。
前衛組以外の開拓者達も攻撃を開始した。まずは矢の雨を浴びせた。だが、大半の矢が剣と盾に防がれ、残りの矢も装甲に弾かれた。次に魔法使い達が、炎の弾丸、冷気の矢、風の刃などの魔法を発動し、その全てが『ガーディアン』に直撃した。それらの魔法も効果があった様子はなかった。
「ふむ、なるほど。どうやらあの機械兵には、ドワーフ鉄が使われているようですね。もしそうなら、あの『ガーディアン』とやらは、相当厄介な機械兵ですね。ドワーフ鉄は通常の鉄より強度が高く、魔法攻撃に対する耐性も優れていますからね」
カネキは自分の部下達と共に状況を静観しつつ、オレの近くでまるで他人事のようにそう口にした。オレはその言葉を耳にして、頭に血が上るのを感じながら、素早く立ち上がってカネキに詰め寄った。カネキの部下達がオレを止めようとしたが、カネキはそれを手で制した。
「お前、ふざけるな。何で何もしていないんだ。あれだけ強くて、それだけ色々と知っているなら、今すぐ一緒に戦えよ。どうしてただ見ているだけなんだ。この部屋に閉じ込められている以上、あの機械兵を倒さないと、全員ここで死ぬんだぞ!」
オレが怒鳴っている間も、『ガーディアン』との死闘は続いている。時々聞こえてくる叫び声によると、戦況はこちらが不利なようだ。それでもカネキ達は何もしない。面白そうに笑ってすらいた。
もう我慢の限界だ。オレはカネキ達の説得を諦め、怒りに身を任せて『疾風突き』を何度も発動し、その度に強固な装甲に弾き返された。しかし、徐々に冷静さを取り戻していったオレは、頭の中で何かが引っかかっているのを感じていた。
次回は3月10日に公開予定です。
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