表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/144

第45話 上の人間

 全くもって想定外の出費のすぐ後に、地下工場の攻略は再開された。ただし、再開後は余計なおまけがついてきた。想定外の出費の原因となったカネキ達が、地下工場の攻略に同行すると言って、勝手にオレ達についてきたのだ。


「頼んでもいないのに、勝手についてきてくれるのね。それとも、他に何か目的があるのかしら。言っておくけど、お宝は早い者勝ちなのを忘れないでね?」


「もちろん、そのことは私共も重々承知しておりますとも。そもそもこの遺跡には、ビジネスをしに来たにすぎませんから。もっとも、お宝を手に入れられたら嬉しいことに変わりはありませんが」


 キャロラインとカネキは二人並んで、攻略チームの後ろの方で、笑いながらそんな会話をしていた。しかし、二人の周囲には緊張した空気が漂っていた。口数は少なく、足取りも重い。


 士気は明らかに下がってしまっている。だが、遺跡の先住民にとってはそんなものは関係ない。カチカチ。ガシャンガシャン。オレは心臓が跳ね上がるのを感じると同時に、すぐさま剣と盾を構えた。


 正面の暗闇に警戒しつつ、オレはそっとカネキの様子をうかがった。すると、彼はいつの間にか弓矢を手にしていた。部下に持たせていたのか、それとも彼自身が隠し持っていたのか。目を離したのはほんの数秒だったので、何とも不思議だった。


 そして、敵の集団が暗闇から姿を見せた。カマキリ型とクモ型。前回の戦いと同じ組み合わせの機械兵が、隊列を組んでこちらにやって来る。興奮と恐怖が、体と呼吸を震わせる。機械兵の目の光が赤色に変わった。戦闘開始の合図だ。


 カマキリ型が切り込み、クモ型が援護する。前と同じ展開だ。クモ型が放った光弾が左腕をしびれさせ、カマキリ型が鎌付きの両腕を同時に振り下ろす。これも前と同じ展開だ。しかし、ここからは違う。


 カマキリ型が両腕を振り上げる直前に、あえてオレは懐に飛び込むように『疾風突き』を発動した。両腕振り下ろし攻撃でなければ、オレはこの時点で死んでいただろう。だが、オレにはそうはならない確信があった。


 前回の戦いの途中から、開拓者達の戦い方を観察して気付いたことがある。それは、カマキリ型は真っすぐ急接近した後、必ず両腕振り下ろし攻撃をすることだ。開拓者達はこの隙を突いていた。


 わずかな装甲の隙間にオレの剣が吸い込まれた直後、カマキリ型の目の光が消え、両腕の鎌が空を切って地面に突き刺さってからは、動きも完全に停止した。手に残った感触が、オレに自信を与えてくれる。


 だが、そんな自信もすぐに吹き飛んだ。別の場所でカマキリ型がほぼ同時に三体倒れた。装甲の隙間に矢が刺さっている。オレが後ろを振り向くと、直後にカネキが矢を三連射した。少し強くなっても、上の人間とはまだ大きな差があることを、いやでも実感させられた。


次回は2月25日に公開予定です。

ツイッターもよろしくお願いします!

https://twitter.com/nakamurayuta26


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ