第25話 ゴブリンの群れ(2)
オレ達は近付いてくるゴブリンに対して、いつでも左右から奇襲攻撃が出来るように身を隠し、まずは他にもゴブリンが姿を見せないか待つことにした。
すると、最初に茂みから出てきたのは一体だけだったが、その最初の一体が周囲を見渡して危険がないか確認した後、他のゴブリン達が茂みから次々と姿を現した。
ゴブリン達の数は最初の一体を含めて合計で五体。全員が剣もしくは槍、それと丈夫そうな革製の鎧を装備していた。
数も装備も、アンヌとジャックが言っていた通りだった。この二人以外は最初の一体しか見えなかったので、アレックスを除いたオレと他の三人は半信半疑のままだったのだが、これにはさすがに驚いた。
とにかくこれで、敵に関する正確な情報を全員が入手し、共有したことになった。こうなったら後は、いつ奇襲攻撃をするかだけだった。二つのグループに分かれたオレ達は、それぞれ片方のグループのリーダーになったアレックスとアンヌが、ハンドサインを何度も送り合う間、二人からの指示をただひたすらじっと待っていた。
そして、ゴブリンの群れがちょうど二つのグループに挟まれる、その少し手前の位置まで進んだその時、アンヌから奇襲攻撃の準備をするようにと指示された。
こちらの存在にまだ気付いていないゴブリンの群れは、進む先に危険はないものと思い込み、何も知らないまま自ら死地に足を踏み入れた。群れの先頭を歩いていた剣ゴブリンAの背中に、アンヌのクロスボウの矢が突き刺さったのはその時だった。
それとほぼ同時に、群れの一番後ろを歩いていた槍ゴブリンAの上半身が、エマニエルの魔法によって炎に包まれた。前にも後ろにも動けなくなったゴブリンの群れを見て、今度はオレとジャック、それからアレックスが、残り三体となったゴブリンの群れに襲いかかった。
オレは奇襲攻撃に対して一番反応が遅れ、やや無防備になっている剣ゴブリンBに向かって、真っすぐ突撃しながら『疾風突き』を発動した。剣ゴブリンBはギリギリなんとかオレの攻撃を防いだものの、ジャックが自分の背後に素早く回り込んだのに気が付かず、そのまま彼の短剣に首を切られて絶命した。
アレックスは最初の一撃を防がれてから、群れのリーダーらしき剣ゴブリンCと一対一で睨み合っていたのだが、剣ゴブリンBがあっさりと殺されたのを知って動揺した剣ゴブリンCを見て、剣を持つ手を片手から両手にしつつ息を吸いながら剣を振り上げ、そして、鋭い踏み込みと共に稲妻の如く剣ゴブリンCの頭へと剣を振り下ろした。
剣ゴブリンCはアレックスの剣によって頭蓋骨を砕かれ、頭から真っ赤な血を噴き出しながら仰向けに倒れて死んだ。
次回は7月2日に公開予定です。
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