第16話 ブルースライム討伐依頼(1)
仮登録が完了してギルドマスターの仕事部屋を出たオレは、アンヌが見つけてくれた、アンカラッドの水路で増殖したブルースライムを討伐する依頼を受け、そのまますぐに依頼書に書かれている場所へと向かった。もちろん、オレ一人だけではなく、アンヌとそれ以外にも二人の開拓者が協力してくれることになった。
そして、開拓者ギルドから三十分ほど歩いた先にある場所が、今回の問題が発生した水路だった。水色で半透明なゼリー状の生物が、何匹も水路から出てきてはナメクジのように地面を這って、水路の周辺へと広がるようにゆっくりと移動していた。
「うわあ、こりゃかなり酷いね。他の奴らは今まで何をしていたんだか。さあ、仕事の時間だよ。ほらほら、面倒でやりたくないのは分かっているけど、今やらないともっと面倒なことになるんだから、さっさと始めるよ!」
アンヌのそんな言葉を聞いて、オレと他の二人は渋々ながら動き始めた。転生者名簿に登録するため、スティーブンからのいくつかの質問に答えている時に、彼から今の季節は初夏であると教えられてはいた。
だが、この厳しい暑さの中で肌を焼かれながら、これだけたくさんのブルースライムを討伐しなければならないのだから、考えただけでも憂鬱になってくる。しかし、仕事なので投げ出すわけにはいかなかった。
それからオレ達は根気強くこのゼリー状の生物を、文字通り汗水を流しながら一匹ずつ地道に討伐していったのだが、とにかく時間がかかって仕方がない。
どうしてかというと、ブルースライムを剣で斬ろうとする度に、その弾力性のある体に剣が弾かれてしまうため、討伐するには何度も攻撃する必要があるからだ。
「そうするんじゃなくて、ブルースライムを倒すのにはちょっとコツがあるんだよ。まず最初に逃げられないように体の端っこをしっかりと踏む。それから、刃物をゆっくりと刺して、弱点である濃い青色の核を破壊するんだよ」
オレと他の二人があまりにも悪戦苦闘している様子を見かねたのか、アンヌはそう言って自分の言葉通りに短剣で手際よく、ブルースライムを討伐するところを見せてくれた。それを見てからはオレと他の二人も、アンヌと同じやり方でブルースライムを討伐していった。
だが、それでもまだ一匹を討伐するだけでも多少の時間がかかってしまうので、仕事開始から一時間以上が経過しても終わらなかった。なので、オレからの提案で少し休憩することになった。ブルースライムの討伐に慣れているらしいアンヌはともかく、オレと他の二人はすっかり疲れてしまっていたからだ。
「やった、休憩時間だ。もう無理です。疲れて動けません。アンヌさん、先に開拓者ギルドに戻っていいですか?」
「駄目に決まっているでしょ。そもそも、研究費用が足りないから仕事が欲しいって言ったのはアンタでしょ。ほらほら、研究費用のために仕事を頑張るんだよ!」
アンヌと共に協力してくれている二人の協力者の一人、まだ十代半ばくらいの少女が、一見しただけですぐに使い慣れていないと分かる槍を杖代わりにして、危なっかしい動きで水路に背を向けた。
――その時だった。突然、水飛沫を上げて水路から何かが姿を現した。
次回は3月5日に公開予定です。
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