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#23 知らないところで

 僕――酒井祐希さかいゆうき斎藤さいとうに英語を教え、数学を教えてもらうことが決まった。

 この関係がいつまで続くかは分からないが、少し苦手な教科の数学を教わることができるのは普通に嬉しい。


 ――しかし問題として、このことを大石おおいしにどう伝えればいいのかが挙げられる。


 大石は勉強を一緒にしたいと斎藤にお願いしたのだが、あっさりと断られてしまった。

 そのことを考慮すれば、とても話しづらいのである。


「はぁ……憂鬱だ」


 先程挙げた事と朝早くから学校に行く事の2つの意味で憂鬱になりながらも、ゆっくりと歩を進める。

 そして、唐突に誰かに肩を叩かれた。


「おはよっ、酒井くん」


「……っ!? あ、ああ……大石、おはよう」


 今会いたくないランキング1位、大石が現れた。

 急に現れたため思わず驚いてしまったが、なんとか冷静さを取り戻す。


「いやー、昨日はごめんね。色々と」


「別に大丈夫だよ。斎藤も怒ってるわけではなかったから」


「……そっか。良かった」


 昨日は放課後になる前まで「勉強に参加する!」と言ってテンションが高かった大石。

 しかし、きっぱりと断られてしまいテンションが低くなっているかと思ったが、どうやらそれは杞憂に終わったようだ。


「……あー、大石。一応話しておこうと思うんだけど」


「何?」


「僕も斎藤から勉強を教えてもらうことになった」


 笑顔だった大石の顔は、違う意味の笑顔に変わった。目が笑っていない。怖い。

 やっぱり言わなければ良かったと後悔するが、もう遅い。


「……ということは、斎藤さんと一緒にいる時間が長くなる、ってことだよね?」


「そう……かもしれませんね」


「酒井くん? 勉強なら私が教えてあげるよ?」


「いやいや、大石は僕から教えてもらう側じゃないか……じゃないですか」


「酒井くん? 何か不満でもあるの?」


「何もありません!」


 それからは朝早くにもかかわらず、大石からの説教を受ける羽目になったのだった。



 どうして僕は説教を受けているのだろうと思いつつも歩いていると、やっとの思いで学校が見えてくる。

 これで僕は自由の身だ! と心の中で叫ぶが、そんなことは全くなかった。


「へぇ〜? 酒井くん、朝は大石さんと登校してるんだ〜?」


「み、宮崎みやざき……!?」


 学校の校門前で男子の視線を集めながらも立っているのは宮崎だった。

 宮崎とは定期テスト前からずっと会っていない。

 そのため、心做こころなしか今の大石よりも怒っている気がする。


(……僕は今日で死ぬのかもしれない)


「大石さんから聞いたよ〜? 放課後に可愛い女の子と2人で勉強してるんだって? 私の知らないところで随分と楽しんでるみたいね〜」


 宮崎の目が……笑っていない。


(……ていうか大石! なんで宮崎に教えちゃったんだよ!)


「あはははは……」


「まぁ、私は酒井くんがどの女の子とイチャイチャしてても構わないけど、私とはメールだけってのは少し酷くないかな〜?」


「……ごめんなさい」


 僕はもう、この2人には逆らえない。

 だって怖いんだもん。怖すぎるんだもん。


「というわけで今日の放課後、私のために時間作ってね。酒井くん?」


「……はい。是非……」


 今日も斎藤と勉強の約束があるが、その後なら暇だし別にいいだろう。

 しかし、それを許さない者が僕の隣にいた。


「宮崎さん? 黙って聞いてれば何を言ってるのかな?」


「別にあんたには関係ないでしょ。私が誰と何をしようかなんて」


「確かに関係ないし、知りたくもないけど、酒井くん関係だと見過ごすわけにはいかないな〜」


 大石と宮崎の目の間には、バチバチと一筋の電流が流れている。

 もうこれ以上この2人と関わっていると、僕も争いに巻き込まれそうなため、颯爽と逃走した。


 後で2人には何か言われそうだが、争いに巻き込まれる方がもっと嫌だし、逃げて正解だと思いたい。

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