表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/24

#21 お願い

 放課後になり、僕と大石おおいしは図書室に向かった。

 図書室は定期考査前大石に勉強を教えていた場所であり、今日から勉強を教えることになった斎藤さいとうに指定された場所である。


「斎藤、待たせてごめん」


「本当に遅かったわね……その子は誰?」


 斎藤が指を差した方向には、仏頂面をした大石が立っている。


「あー、えっと……こいつは――」


大石瑞希おおいしみずきです〜。よろしくね? 斎藤さん」


「う、うん? でもどうしてここにいるの?」


 斎藤の疑問は当然だろう。

 斎藤は僕と2人で勉強をすると思っていたにもかかわらず、僕は大石を連れてきた……否。勝手に付いてきたのだ。


「私も一緒に勉強したいの! いいかな!?」


「嫌よ」


 斎藤は大石のお願いを表情を変えることなく、きっぱりと冷たい声で断った。


「なんで!?」


「当たり前でしょ。私は純粋に勉強を教わりたいの。あなたみたいな不純な動機じゃない」


 斎藤のその一言により、大石は黙り込んでしまう。そして、下唇を噛んで悔しそうな表情を見せた。


「あはは……そうだよね。ごめんね、邪魔しちゃって。じゃあね、酒井さかいくん」


「あ、ああ……」


 そして背を向けた大石は再び下唇を噛んで、図書室を後にした。


「さ、早くこっちに来て教えてくださる? さーかーい先生っ」


「別にいいけど……大石がいたって良かったんじゃないか?」


「だって、他の人と一緒に勉強するだなんて効率が落ちるじゃない」


 確かに斎藤の言っていることは間違っていない。

 友達と勉強をしていれば間違いなく喋ってしまい、勉強に集中など出来るわけがない。


 それに僕としても、学力の差がある2人を同時に教えることは不可能だ。

 そう考えれば、斎藤が大石のお願いを断ったのは正解だと言える……が、これで明日になったら僕が死ぬことが確定した。


「……そうだな」


「あら、随分と浮かない顔をしているじゃない。あの子がいた方が良かったの?」


「別にそういうわけじゃないけど、これで明日僕は半殺しにされることが決まった」


「あっそ。ドンマイ」


 自分には関係ないと言わんばかりに他人事の斎藤。

 元はと言えば斎藤が原因で僕が半殺しにされるわけだが、そんなことは知る由もないのだろう。


「別に半殺しにされるくらいいいじゃない。早く英語教えてくれない?」


「分かったよ……」


 それから2時間程、休憩せずに斎藤に英語を教えることになったのだった。



 とりあえず今日の勉強は終了し、僕と斎藤は一緒に帰ることになった。

 本当ならば女子と2人で帰ることは絶対に無理だが、夜遅くともなれば校門前で待っている女子はいないため、一緒に帰ることを承諾したのである。


「いや〜、酒井祐希さかいゆうきって教えるの上手ね! このままやれば、すぐにでも英語が得意になれそうだわ」


「それは良かったな」


 斎藤は英語が苦手だ。それは教えている中でも十分に理解出来た。

 しかし、僕が斎藤の苦手な英語を教えてしまった場合、今後の定期考査で学年トップの座を奪われてもおかしくない。

 それだけは絶対に避けなければならない。


「斎藤、僕からも頼みがあるんだけどいいかな?」


「ん、いいよ〜」


 僕が苦手な教科を答えるならば数学だ。

 そして斎藤は数学が得意だと言っていた。


 大石には申し訳ないが、僕が学年トップの座を死守するためにも斎藤に数学を教えてもらうしかない。


「僕に数学を教えてくれないか」


 そんな僕のお願いに対して、斎藤は二つ返事で引き受けてくれた。

 ……さて、このことを大石にどう説明すればいいんだか。

ここまで御覧いただきありがとうございます。

もし面白い、続きが気になると思ったら、

ブックマークの追加や画面下の「☆☆☆☆☆」から評価をした上でこれからも読んでいただけると幸いです。これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ