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#19 学年2位

 放課後になり、僕は名前も知らない茶髪美少女に言われた通り屋上に来ていた。

 大石おおいしには「行くな!」と何度も言われたが、無視してやって来たのである。


「あら、もう来てたの。随分早いじゃない」


 屋上に来てから10分程待つと、昼休みにクラスに来た茶髪美少女が姿を表した。

 同じ学年かすらも分からないため、一応敬語で対応しよう。


「で、ここまで呼び出しておいて何の用ですか?」


「私の名前は斎藤花蓮さいとうかれん。そう言えば何もかも理解出来るでしょう?」


「斎藤、花蓮……?」


 名前を聞けば何もかも理解出来るとは言われたが、全く理解出来ないんだけど……?

 名前を聞けば分かるってことは……


「もしかして、小さい頃に会ったことがある、とか?」


「ないわよ!」


 一瞬で否定される。


「はぁ……もしかして、本当に分からないの?」


「ええ。すいません」


 僕が謝ったと同時に斎藤先輩(?)に舌打ちをされる。

 仕方がないじゃないか。小さい頃に会ったことがないなら、それ以外に何があるというんだ。


「定期考査」


「……はい?」


「定期考査の結果、あなた掲示板見に行った?」


「見に行ってませんけど……」


「だからか……」


 斎藤先輩(?)は頭を抱えた。


「はぁ……よく覚えておきなさい! 私は斎藤花蓮。第1回定期考査学年2位よ。そして次こそは、あなたを倒してみせるんだから!」


 ……学年2位ってことは、同学年かよ!? (いや、驚くのそっちじゃないだろ)


 学年2位か……そういえば先生はギリギリで勝ってたって言ってたよな。


「そっか……僕は負けるつもりないけど、応援してる」


「……どうも」


「ところで、斎藤は何点だったんだ?」


 ギリギリだったとはいっても、どれほど僅差だったかは教えてもらっていない。

 これから掲示板に見に行けばいい話で、傷口をえぐってしまうかもしれないが、気になってしまいつい言葉に出してしまう。


「675点よ」


 675点。それは700点満点中である。

 そして僕の点数は676点だったことから、相当ギリギリで勝っているということになる。


「……まじか」


「1点差ね。だから次こそは絶対に勝つから」


「そうか……で、用件はそれだけか?」


「ええ、ごめんなさい。こんなことで呼び出して」


 そう言って深々とお辞儀をする斎藤。

 今の斎藤には、昼休みに見せた威勢のいい姿はどこにもなく、すごく真面目な生徒なのだなと感じさせられる。


「いや、それは全然いいけど……はぁ、よかったー!」


「はい?」


 斎藤は僕の言ったことが分からなくて当然だが、本当に良かった。

 これで僕は、生きて帰れる!


「あー……実は――」


 そして僕は、斎藤に昼休みから今までの事の顛末てんまつを話し始めた。


 とは言ってもここで特筆すべきなのは、大石がまるで洗脳をしているかのように「もし行って告白だったら、もちろん断るよね」を連発していたということだけだろう。

 あれはすごく怖かった。


「そうだったのね……ごめんなさい、私のせいで。その子にも謝らなきゃ……」


「いやいや、全然気にしなくていいって。斎藤は別に悪いことをしたわけじゃないし」


 どんだけ真面目なんだよ、と苦笑する。



「ところで、酒井祐希さかいゆうきは苦手な教科とかあるの?」


 話は無事に終わり、僕と斎藤は並んで屋上を後にすると、突然そんなことを聞いてきた。


「んー、基本的にはどの教科も同じくらいできるって感じだけど、強いて言うなら数学かな」


「ふ〜ん? まぁ、私は数学得意だけどね」


 自慢げに言ってくる斎藤はえっへんと胸を張っていて、少し腹が立つ。


「……そういう斎藤は苦手な教科はあるのか?」


「私は英語がちょっと……」


「僕は英語が得意すぎて、今回のテスト満点だったんだ」


 僕もお返しと言ってはなんだが、自慢話を繰り広げる。

 すると、斎藤は歩くのを止めてこちらをじっと見つめてきた。


「……なんだよ」


 そして斎藤は急に詰め寄ってきて、僕の両手を取った。


「お、おい!?」


「私に英語を教えてくださいっ!!」


「はぁぁああ!?」


 あまりにも急展開すぎて動揺を隠せなかったが、誰かに勉強を教えるというのは割と楽しかったため、「少しの間なら……」と結局承諾してしまったのだった。

ここまで御覧いただきありがとうございます。

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