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#17 定期考査

 大石おおいしに勉強を教えるようになってから約1週間が経ち、運命の定期考査当日となった。


 良い成績を取れなければ留年になりかねない大石は、緊張でずっと震えている。

 今日まで約1週間、大石を妬む声などが色々聞こえてきたが、気にせず毎日頑張ってきたため大丈夫だとは思う。しかし、それでもやはり緊張はするのだろう。


「大石、大丈夫か?」


「だだだだ大丈夫……徹夜で頑張ってきたから……」


 おいおい、徹夜はテスト前に一番してはいけないやつだろ。

 本当に大丈夫なのかと心配になるが、僕は僕で学年トップを取るためにも自分自身の勉強をしなければならない。


「そうか……」


 そして、運命の第1回定期考査が始まった――。



「「「……終わったぁぁああ!!」」」


 定期考査は僕にとっては何事もなく無事に終わり、クラスの皆もやっと終わって歓喜に満ちている。ただ1人を除いて。


「……スースー」


 僕の後ろの席に座っている大石からは寝息が聞こえてくる。

 テストが終わって、緊張が解けたのだろう。それに加えて徹夜までしていたとなれば、寝てしまっても無理はない。


 僕は机に突っ伏していて少しだけ見えている大石の横顔を見ながら、「頑張ったな」と言って大石の頭に手をポンと置いた。



 僕は大石が寝ている間、ずっと読書をしていた。

 皆が打ち上げに行こう! とか話していて誘われたりもしたが、当然のように断った。

 そしてしばらく時間が経って、後ろから声が聞こえてくる。


「ん……あれ? 皆は……?」


「もう帰ったよ。それより随分寝てたな」


「…………っ!? 酒井さかいくん!?」


 起きたばかりで視界がぼやけていたのか、目の前に座っていたのが僕だと気づかなかったようだ。

 現在時刻は16時半。部活で学校に残っている人は少なからずいるが、ほとんどの人は帰っている時間だ。


「……私のこと、待っててくれたの?」


「まあな。勉強を教えた身としては、テストの出来具合を知りたかったし」


「……そっか」


 大石の頬がうっすらと赤くなっていた気がしたが、きっと見間違いだろう。

 そして僕たちは真っ赤に染まった空を眺めながら、ゆっくりと帰路に就いたのだった。



 次の日、定期考査が無事に終わり、今日は全てがかかったテスト返しだ。


 果たして、僕は学年トップの成績を取れたのだろうか。

 果たして、大石は入学早々の留年確定を阻止できたのだろうか。


 今日で全てが明らかになる。

 僕はそのせいか、昨日よりも緊張して学校に向かうと、今にでも死にそうな顔をしている大石を見つけた。


「おはよう大石。顔色悪いけど……大丈夫か?」


「……あ、おはよう酒井くん。全然、大丈夫だよ」


「……」


 このように僕たちだけでなく、クラス中では緊張が走っていた。

 高校生になってから初めての定期考査なためそれは無理もないが、クラスの誰よりも緊張しているのは恐らく大石だろう。


「テストの結果を返すぞ」


 ショートホームルームの時間になり、教壇に立った先生がそう告げる。

 そして、出席番号順に結果が載っている紙を取りに行く。


「……大石」


「は、はい!」


「よく頑張ったな」


「……あ、ありがとうございます!」


 先程まで死にそうだったはずの大石は結果は分からないが、先生に褒められたことによって成績が良かったことは察しがつく。

 僕が付きっきりで1週間教えた甲斐があって、少し安心した。


 でも問題は……


「……酒井」


「はい!」


 僕にとっての問題は、学年トップであるかどうかだ。

 テストの手応え的には、どの教科もそれなりに点数が取れているはず。だからきっと……




「すごいよ瑞希みずきちゃん! 授業中ずっと寝てたのに、そんな順位が高いなんて!」


「えへへ……全部酒井くんのお陰だよ」


 クラス全員に成績表が渡って、クラスでは自分の成績に悩む者がいたり、友達と順位を教え合っている者もいた。当然僕は後者なわけだが……


 『潔い』や『精進』を読めなかったあの大石が、320人中68位なのは驚いた。

 それは決してまぐれで取った順位ではなく、努力の結果だというのを知っているため、余計驚いてしまう。


「大石さんもすごいけど……やっぱり酒井くんはさすがとしか言えないなぁ……」


 僕の順位は、320人中1位だった。

 なんとか学年トップを取れたわけだが、先生曰くギリギリだったらしい。


 いや、本当に良かった……


 これにて定期考査は終わり、ようやく平和な毎日が訪れる……と思っていたが、決してそんなことはなかった。

ここまで御覧いただきありがとうございます。

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