7リーナ
「前置きが長くなりました…。」
ギルはにっこりと微笑んで正式に婚約破棄が認められた後、エリオル牧師の教会へ無理矢理連れて行かれた事を話した。
僅かな荷物が小さな部屋に運ばれエリオルに袋一杯の何かを渡し、王宮の人間はギルを残し帰って行った。
「ようこそ、いらっしゃいました。今日からここが貴方の家です。」
「ふざけるなっ!!俺の家は王宮だ!!」
「しかし廃嫡されてしまいました…。王宮はもう貴方の家では有りません。ここ以外、貴方の家は無いのです。」
はっきりとエリオルに自分の置かれた状況を指摘されたギルは思いっきりエリオルを睨み付けたがエリオルは怖じ気づかなかった。
「さぁまずは温かい飲み物を飲みましょう。それから貴方の新しい部屋を案内します。」
エリオルは何も言わないギルを連れ飲み物を飲ませ、部屋に案内した。
「ふざけるなっ!…こんな狭い部屋でこれから過ごせと言うのか!!」
「そうです。」
教会に住まう者達は朝5時起床、6時朝食、10歳未満の子は7時から家畜の餌やり8時から勉強。
11歳以上の者は7時から家畜の世話、終わった者から教会の掃除と農作業、買物、11時から昼食の準備。
昼食は12時からで10歳未満の子は午後から3時までは自由、3時から4時まで勉強、4時からお風呂。
11歳からは午後から4時まで教会に纏わる勉強をし4時から10歳未満の子のお風呂の手伝いが終わり次第順次お風呂、夕食の準備。
7時夕食。
9時消灯就寝だと話した。
「今日は自由を与えます。7時迄には帰って来てくださいね。」
エリオルはギルの話を聞かずに言うだけ言って部屋から出て行った。
ギルはすぐに部屋を出て王宮に向かったが門番に門前払いされ王宮に入る事が許されなかった。
次にマリンの居る別の教会に向かった。
「マリン!」
「王子?どうかいたしました?」
ギルは昨日と今日の出来事を話した。
「もう王子ではなくなってしまったが婚約者は居ないし落ち着いたら結婚しよう。」
ギルはマリンにそう言うとマリンは優しく微笑んだ。
「王子、今は結婚を考えている場合ではありません…。まずは王子自身の生活が落ち着くのを優先いたしましょう。」