4リーナ
無事、婚約破棄が行なわれた次の日。
天気は大雨だったがリーナは清々しい朝を迎えた。
「あー何食べても美味しいわー。あ、午後からエリオル牧師様の所に行くからそのつもりで。」
メイドにそう伝えるリーナ。
「お嬢様、外は生憎の大雨です。教会に行かれるのは明日にした方が宜しいかと思いますが…。」
「いいえ、行きます。」
「…かしこまりました…。」
午後になり相変わらず大雨だったが教会に向かったリーナ。
「エリオル牧師様!」
「ノース公爵令嬢?…こんな雨の日にいらっしゃるなんて…。」
「…名前で呼んで頂けますか?」
「え…しかし…。」
「私が呼んでほしいと言っているのです!」
「…リーナ様。」
「これからも名前で呼んでくださいね。」
「あー…はい…。」
エリオルは真っ直ぐ自分を見るリーナに勝てず頷いてしまった。
リーナは満足そうに笑い昨日有った出来事を話した。
「存じております。」
「あら何故?」
「第5王子の預かり先がコチラですから。」
「えぇっ!?」
国王が第5王子の預け先がエリオルの教会だと言っていたが全く聞いておらず、王子が居るのならエリオルに会いに行きにくくなるなと思ったリーナ。
「さぁ雨で道が通れなくなる前に帰った方がいいですよ。」
祈りを捧げた後リーナはエリオルと話をする事なく教会を後にした。
リーナが居なくなたのを確認し、エリオルが第5王子を呼び寄せた。
「貴方は廃嫡され新しく名前を付けるよう国王から言われました。」
「…。」
「今日から貴方の名はギルです。」
母親が自分のせいで離宮に移された事と最後に会えなかった事がショックでエリオルに歯向かう気力がないギル。
エリオルは淡々と教会の仕事を説明する。
「明日、説明しながら一緒に行いましょう。」
「…。」
屋敷に戻ったリーナはエリオルに会えて嬉しかったがエリオルとの距離を感じた。
次の日、また教会に行くとエリオルは微笑みながらリーナを招いた。
リーナは第5王子が教会の掃除をしていた事に驚いた。
「彼はギルと名付けました。」
「…そうですか…。」
リーナはギルが居てはエリオルに会いに行きにくくなると思いながらエリオルから祝福を受けた。
「ありがとうございます。」
「また教会にいらしてくださいね。神はいつでも祝福をくださるでしょう。」
リーナは教会を後にした。
「…彼女、とても貴方のことが好きなのですね…。」
一人のシスターがエリオルに話し掛けた。
「ハラナ…。」
「でも…ちゃんとお断りしてくれますよね?」
「…そうだね。」
白金の髪の毛をしていて可憐なハラナはエリオルに微笑んだ。