第5話 その説明をする前に説明しておく事がある
「暗く、“ハゲ”しい話になりますよ……」
あ、そのセリフもう一回言うんだ。気に入ったのか。
「グレンさん、あなたはエルフに三つの種族があるのをご存知ですか?」
「えっ!? いや、初耳です」
「やはり。エルフという種族自体が、この事を公にしたがらないのでご存じない方は多いかと思います」
「それは一体……」
「その説明をする前に私の趣味について説明しておく必要がありますな。私は根っからの巨乳好きです。大きければ大きいほど良いです」
「素晴らしい倫理観だ。俺もです……ってちょっと待て! その説明、要る!?」
「ウリエルはとても立派なものを持っていました。ちょうどそこの、パイパイちゃんみたいな」
「んもー、私の名前はローリエです! おっぱいの化身みたいな愛称で呼ばないでくださいね♪ 触りたいんですか!?」
「ぬわっ! なんとハレンチな娘だっ!? ご賞味させて頂きたい!」
おかしい。会話が成り立たない。まるでシュールギャグ小説みたいだ……。
「という訳で、三つの種族について説明しましょう」
「横道に逸れずにお願いします」
「わかりました。最短距離で要点だけをまとめて掻い摘んで説明します。男性力が強いと頭が禿げやすいという話を、聞いたことは?」
「要点だけ掻い摘んで説明をお願いします」
「承知しました。私の頭がズル剥けになったのと同じくらいの速度感で素早く解説します。私とウリエルの出会いは……」
「三つの種族について教えてください」
「なるほど、承りました。エルフの三つの種族、それ即ち……エルフ!」
「ふむ」
「ダークエルフ!」
「ふむふむ、褐色の肌がセクシー」
「そしてエロフ」
「ふむふむふむ……エロフ?」
「エロフです」
俺はしばし目を閉じ黙考し、僭越ながらゼンノ市長候補の禿頭を平手でスパーンと叩いた。
「ボケとる場合かっ! 真面目にやれ!」
「グレンさん、エロフの話は本当ですよ?」
と、ローリエ。……え、マジ?
「くっ、この市長候補たる私に向かって何たる仕打ち! ゾクゾクしますな、もう一発お願いしますぞ、次は乳首のあたりを」
聞いたことがないぞ。エロフって、何だよそれ。
「グレンさんが知らないのも無理はありません」
ローリエは、自身の立派な胸に手を当て、誇らしげに言う。
「かく言うこの私もエロフです。えへへっ」
「ええっ!? そうなの!? ってかエロフって何?」
「性欲が強いエルフの事ですね!」
「明快な解答をありがとう。って、いや待てよ。それ、種族じゃなくて単なる趣味嗜好の話じゃない?」
「種族です。だから私がこんなに奔放なのもエロフという種族の持つ特徴のせいなんです」
「ちなみにこの私が巨乳好きのドMなのは単なる性癖ですぞ!」
スパーン!