始まり
「見せよ! 命を賭した地上人の可能性を!
そして見よ! 生死を拒絶した純粋なる霊力を!」
彼女はそう言い、紅白の巫女と戦い、敗北した。
しかし、夢の世界で彼女の刺客として送り込んでいたヘカーティア・ラピスラズリと2人で戦闘したが、またもや敗北し、彼女は完全に戦意を喪失した。
こうしてこれまでで一番規模の大きい異変は解決した。
それから二週間後…彼女たちは平然と人里を歩いていた。
あの異変以来、彼女の瞳に宿っていた激しさは失せ、とても静かな雰囲気を醸し出していた。
彼女の名は純狐、神霊である。金髪でウェーブのかかっている髪型をしており遠目から見ても美人だとわかるぐらい容姿が優れている。彼女の左にいる子供のような人物はクラウンピース。どうやら先程の紅白の巫女、博麗霊夢の住処である博麗神社の地下空間に住んでいるらしい。とても無邪気だがその実力はかなり高い。そしてその逆の位置にいるのはヘカーティア。彼女は地獄の女神であり、彼女は3つの体を持っている。ピースと同じぐらい、いや、それ以上に実力が高く、その実力は未だにはっきりしていない。最近では人里にピースと仲良く甘味処にいるのが目撃されている。
「うふふふ、これも美味しいわよん。」
ヘカーティアが笑顔を浮かべながら純狐に団子を勧めた。それを受け取った彼女は口に団子を頬張った。そして彼女も少し笑みを浮かべた。
「ほんとね…口の中でゆっくりと広がる甘味、そして噛めば噛むほどさらに甘味が出てくる。美味しいわ」
「でしょ〜?とっても美味しいのよ。ここの団子、他にも月の兎が営業してる団子屋もあるらしいわよ?今度行きましょ。」
ヘカーティアが発した「月」という単語に純狐は反応した。
「月…?月?嫦娥…嫦娥ァァ!!嫦娥よ、見ているか!?」
純狐は両腕を広げ、顔を天に向け叫んだ。
「いけない!また反応しちゃったわ!」
ヘカーティアは純狐の肩に手を乗せ、ピースと落ち着かせた。
「友人様!落ち着いてください!巫女にしばらく月の侵略は諦めるって言ったでしょう!?」
「うんうん!ピースの言う通りよ!ね、それにここで言ったって嫦娥には聞こえてないでしょ。」
ヘカーティアが最後に言った発言で純狐は落ち着いたが今度は落ち込んだ。
「そうよね…見てるはず無いよね…普通に考えたら分かることね…」
(意外と友人様って感情豊かなんだなぁ…感情の起伏も激しいし)
ピースは心の中でそう呟いた。
「ごめんね…ちょっとストレートに言いすぎたわ。許してね。」
ヘカーティアはしゃがみ込んでいる純狐の背中に手を優しく乗せ、謝罪した。
「ヘカーティア…ありがとう…私もちょっと抑えないとね。ん?それは何?」
純狐はヘカーティアのいつのまにか持っていた箱に興味を示した。
「ああ…これはね、外の世界の娯楽の一種で…ええっと…名前は…ジェンガよ」
「嫦娥ぁぁっ!!」
「純狐ぉぉっ!!??」
どうも〜叶本です。今回は前々から書きたかった純狐さんのスピンオフ作品が完成しました。少々下手なところがありますが、そこら辺はアドバイスをいただけたらな〜って思っています。こちらは度々あげてゆきますので楽しみにしておいてください。