花よりも団子よりも女子~貧乏な冴えない男子が、超金持ちの名門お嬢様学校のマドンナに恋をする《短編バージョン》
どんなに思い願っても、決して縮まらないもの。それは身分の差。
どのような身分の家に生まれるかによって、ほぼその人の人生が決まってしまう。
これは貧乏な冴えない男子が、超金持ちの名門お嬢様学校のマドンナに恋をする、究極の下克上恋愛物語である。
その舞台となる学校は、私立の『聖オフェリア・ステイシア女子学園』という。
近代の学校制度ができた当時に、前身となる神学女学校が創設され、
当初から旧華族の令嬢が通うお金持ちの名門お嬢様学校として知られていた。
その後、全世界を巻き込む大戦争となった時代もあったが、戦後になって現在の『聖オフェリア・ステイシア女子学園』という校名になった。
創設当初からモットーとしている唯一絶対の神の教えはもとより、
剣術や槍術、弓道、魔法といった戦闘能力に関することから、
法律、音楽、美術、医学、政治、経済、会社経営、そして最近ではスポーツや、エンタメといった、
その筋の第一人者を目指すための英才教育が行われている。
そんな名門お嬢様学校の高等部のマドンナに恋をしたのは、牧野伸顕という貧乏な冴えない男だ。
牧野が恋したマドンナは、菅野友香。
しかしもう1人、菅野友香に対抗する、学年で1、2を争うマドンナがいた。
彼女の名は長澤ねる。
やがてこの恋は、名門お嬢様学校のスクールカーストの最上位争い、つまり学内の覇権争いも絡んでくることになる。
牧野伸顕は、小さな家に住む、ゲームが好きでゲームの攻略法には長けているが、他には何も取り柄が無かった。
そんな冴えない男が、ある日、名門お嬢様学校のマドンナを一目見るなり、たちまち恋に落ちた。
その日はお互いに急ぎの用事があり、2人は駆け足で、その用事の場所に向かっていた。
そして2人は、お互いに気づかぬまま、ぶつかった。
ドンッ!
友香「ご、ごめんなさい!」
牧野「い、いえ、こちらこそ、よそ見をしていました。」
友香「本当にすみませんでした。急ぎの用事があったもので。
お怪我とかありませんか?」
牧野「いえ、俺は大したことありません。
こちらも急ぎの用事があったもので。
そちらこそ、お怪我とかありませんでしたか?」
友香「そういえばあなた、この辺りじゃ見ない顔ね。名前は何ていうの?」
牧野「俺は、牧野伸顕といいます。」
友香「牧野伸顕君ね。
私は菅野友香といいます。
実は私、この先の『聖オフェリア・ステイシア女子学園』の高等部に通っているんです。」
お互いに急ぎの用事があったことも忘れて、話をする。
友香「あっ!いっけない!
もうこんな時間、遅れちゃう!
それじゃ、またね!」
牧野「うわ、こっちも用事に遅れる!
それじゃ、またな!」
お互いにその日の急ぎの用事には、どうにか間に合った。
2人の恋の物語は、ここから始まった。
彼女は甘い香りを放っていた。その甘い香りを放つ彼女のことを、牧野はいつまでも思っていた。
牧野「聖オフェリア・ステイシア女子学園か…。
別名『女子高の雄』とも呼ばれる進学校で、超金持ちのお嬢様学校じゃないか。
そんなところに通っているなんて…、俺のような貧乏人が行くようなところじゃないな…。」
牧野は途方に暮れる。
菅野友香。
彼女のことを考えると、何も手につかなくなる。
他のことは何も考えられなくなるほどに、恋こがれる。
牧野「しかしどうせ、身分差の恋だ。
どう考えても釣り合いがとれない。
しかしな…、しかし、あの甘い香りのするあの身体を、どんな男が抱くのかと思うと…、気が狂ってしまいそうになる…。
あの笑顔…、あの温もり…、そして、あの黒髪は、まさに芸術作品といってもいいほど、美しい…。
あの身体を…、あのくちびるを…、俺のものに…。
あの笑顔をずっと見ていたい、あの美しい黒髪を、俺の手で、撫でたい…。うああ…、友香…。
…いや、変なことを考えてしまったな…。」
これほどまでに狂おしく、一人の女のことを思ったことは、牧野のこれまでの人生の中で初めてといえる。
そして牧野はさらに、もう1人のマドンナである長澤ねるにも出会う。
長澤ねる。
西の国の出身で、学年では『東の菅野友香、西の長澤ねる』と言われ、人気を二分している。




