『威圧』が強すぎるんですが……
街に入るとたくさんの人々で賑わっていた。
そんな中でもアルは俺の腕に抱きついたままだ。
「アル、ちょっと動きにくいよ」(『依存』怖ぇー)
「む?そんなに、ワシが、嫌か?」
うぐっ!その上目遣いは反則だ。
全く、俺のほうが依存しているようにかんじるよ…
ちなみに今向かっているのは冒険者ギルドである。ちゃんと顔も盗賊Aの顔から変えているので大丈夫なはずだ。
「うーん、ここがギルドかな?」
「カイルは冒険者登録しに北のか?」
「そう言えばまだ言ってなかったね。そう、冒険者になりにきたんだ」
そう、俺の目標は自然にハーレムをつくること。一番人と交流があるのは冒険者。いろんな異種族の悪党に遭遇するのも冒険者。カッコいい職業も冒険者。ってわけだ。特に異種族を『吸収』できるというのはかなりのメリットだ。
「じゃあ、はいろうか」
「うむ」
カランカラン、とギルドのドアを開ける。と、同時に多くの冒険者の視線がこちらに集まる。もちろん睨みつけるやつや、汚い視線でアル見るやつもいる。…………ちょっとムカっときたな。
「おやおや、冒険者の皆さま手厚いお歓迎です…ねっ!っと」
「ッ!?」
一瞬にして、奴らは怯えたように震えた。いや怯えたのだろう。そう、俺が今使ったのは『威圧』だ。ましてや魔剣クラスの『威圧』は下手をすると息をすることすら許されなくなる。コイツらも冒険者の端くれだ。なんとか耐えきったのもそのおかげともいえるな。
「カイル…守って…くれて……ありがとう………」
ふぅ、また危ない階段を上りかけたな……まぁ、本気でやれば気絶どころか昇天するだろうがな。
カタッ……カタッ……カタッ……
そして、俺はギルドの受付カウンターへと歩いて行く。
「あ、すいません受付の方ですよね?冒険者の登録をしにきました!」
魔剣はまたしても大事をおこしてしまった。