初めての『依存』化
少し歩くと街が見えてきた。道中、スキルと同じように『吸収』を使って奪った記憶も完全ではないためここに来るまでもカイルはこの世界の情報を集めていた。
「そう言えば今向かっている街ってなんて名前なんだ?」
「む?カイルは人族なのに知らぬのか?まぁいい。街の名はフォールじゃ。商業の盛んな街じゃ。街といってもほとんど国のような規模じゃがな」
「へぇ、商業が盛んなのか。」(よしそろそろあの作戦を実行するぞ…)
「あぁ、国王とかわらぬ権力を持った街の長もおるしな」
「へぇ、そうなのか。って、話ているうちに門まで着いたな。」(よし!今だ!『依存』発動!)
「ッ!?」
「少しの間だったけど話せて楽しかったよ。じゃあ、また━━━━」(成功していれば引き留め━━━)
「待て、待つのじゃ!」
「うん?どうした?」(この反応は…どうやら成功…………だな………ふ、フフフ、ハハハハハ…これでアルは俺のものだ!)
そう、今カイルが行ったのは『依存』。相手に信用された時に発動可能となるスキル。『精神支配』の上位互換とも言えるスキルである。信用されるという条件があるが、その代わり『精神支配』のように解除することは不可能なのである。
「その、あの…この先…カイルが居ないと不安というか…その…ずっと…ゴニョ…ゴニョ…」
「え?なんだって?よくきこえないよ?」(敢えてここは難聴系主人公に徹しておくか…)
「その、……だから…………………………………………ずっと一緒にいて欲しいのじゃ!!」
「そっ、それって」(キター!!勝ち確!)
「短い間ではあったが……カイルに惚れてしまったのじゃ……」
そういってカイルに抱きつくアル
「ッ!?い、いいのか?俺なんかで?」(…………………はっ!一瞬あまりの可愛さに心を持っていかれるところだった)
「……カイルじゃないとダメなのじゃ」
完全に甘過ぎる雰囲気のなか邪魔するものがいた
「そっ、そうだった!まずは門を通らないと!」
(視線に物理ダメージが入ってそうなくらいに周りの視線が痛い。主に男性の)
門の前でずっとイチャついていたカイルたち。
カイルたちは、魔剣もビックリなくらいのダメージ量を誇る視線をもろにうけていた。
門に近づくと兵士のような格好のものに言われる
「ギルドガードを提示しろ。持ってなきゃ通行料5000fだ。………………ちっ…リア充が…」
言われた通り大銅貨50枚を渡すが、少し前までは自分もあっち側だったカイルは少し憐れな気持ちになるのだった
今さらですがお金の単位はfです。
だいたい、一円=1f といった感じです。
銅貨=1f(一)
大銅貨=100f(百)
銀貨=10000f(一万)
大銀貨=1000000f(百万)
金貨=100000000f(一億)
大金貨=10000000000f(百億)
白金貨=1000000000000f(一兆)
黒金貨=100000000000000f(百兆)
という感じで、一般人は大銀貨以上はみたこともないというのが一般的です。
ちなみにカイルは門番に大銅貨50枚を渡さなければいけませんが盗賊の有り金全て持っているので大丈夫みたいです