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月に水まんじゅう  作者: はぎわら 歓


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33/41

33 プロポーズの後

 オンラインゲーム『Knight Road』に接続する。


ローディング画面が流れ、☆乙女☆が登場する。


☆乙女☆:こん

ミスト:hi

☆乙女☆:ミストさん久しぶり珍しいね

ミスト:久々に嫁とpkしようかとw

☆乙女☆:ラブラブだねww


 このオンラインゲームも始めてから十七年経過した。

もう知っているプレイヤーは手のひらで数えるほどで、ミストも月姫も引退はしていないが

月に二、三回週末の戦争で敵国と戦う程度のプレイになっている。


 ほとんどやりつくした感じもあるが、星奈は月姫とのコミュニケーションをとるツールにも使っていた。

メールやラインよりも、キャラクターを操作しながらチャットをする方が、二人にとって自然で身近に感じるからだ。


 今日はまだ月姫はきていない。

戦争開始まで一五分ある。

星奈は思い切ってミストに相談することにした。


☆乙女☆:ミストさん、ちょっと聞いてもいい?

ミスト:いいお

☆乙女☆:あのさ、男の人ってどういうときに結婚したくなるのかな

ミスト:そうだねー経済力とか自信がついたときかな

☆乙女☆:そうなんだミストさんもそうだった?

ミスト:俺は収入上げようと思って転職考えてプロポーズしたら断られたwww

☆乙女☆:えwwww



 ミストは現実世界ではやりがいのある職業についていたが、収入が低く、

恋人との結婚を考えたときに、もっと経済的に豊かでありたいと考え、転職しようとした。

 しかしミストの恋人はそれを良しとはしなかった。

自分のために、やりたくない仕事をしてもらってまで、結婚をしたいとは思わなかったらしい。

 二人は一度別れたが再び結ばれる。

今ではつつましく愛し合う生活を送っているようだ。



 星奈は先週月姫と会ったときにプロポーズをされたが、

はっきりではないものの、うやむやな断り方をした。

星奈は仕事で責任のあるポジションに立ったばかりで、結婚など考えられなかった。



☆乙女☆:プロポーズ断るともう二人は終わるものなのかなあ

ミスト:大丈夫じゃないかな姫は


(え!?)

星奈は月姫と付き合っていることは、誰にも話したことがなかったので驚いた。


☆乙女☆:何で知ってるの?

ミスト:なんとなくw

☆乙女☆:姫には言わないで

ミスト:いわないよw


 ミストは出会った当初から比べると、明るく開放的になっている。

大人っぽく物静かな様子だったが、結婚をした後からなんだか変化を感じた。


☆乙女☆:子供何歳になったっけ

ミスト:6歳やっと消防になるよw

☆乙女☆:おっきくなったねえ

ミスト:甘えん坊でこまるw


 女には結婚のあと、出産と育児が待ってる。

そのことについて質問したかったが、男であるミストには星奈の気持ちはわからないと思い止めた。


 仕事を中断することについてミストの妻はどう考えたのだろうか。

子供が欲しい気持ちが強いのなら、仕事を中断しても、辞めても

構わないのかもしれない。


 しかし星奈は仕事の楽しさと責任感とやりがいで充実しており、

身近な園児と接する機会が多いためか、自分の子供が欲しいと思ったことはなかった。

月姫の子供を産みたいと言う感覚も、芽生えていない。

今までで一番充実感を感じている若い星奈にとって、環境と状況の変化は不安でしかないのだ。


 ただ月姫を失うことは、今までで一番つらい気持ちになるだろう。

最初からないものを欲しがることはなかった。

自分が誰かの一番の想い人になることはないと、諦めていたせいだろうか。


 しかし今は違う。

星奈にとって月姫が一番の想い人で、月姫にとっても星奈が一番の想い人だ。

 この均衡が子供が出来たときに破られることがまた、怖かった。


☆乙女☆:子供が出来たらやっぱ子供一番なの?

ミスト:いあw俺は嫁が一番だよww

☆乙女☆:そっかwごちそうさまwww


(私は姫がずっと一番にできるのかな)

母の奈保子は、父の伸二よりも息子の修一を優先してきていたように、星奈には見えた。

心の中までは見えないがそう思ってきた。


☆乙女☆:奥さんもそう?


 ちょっと突っ込んだ質問をしてしまったと、チャットを打ち込んでからためらってしまったが、ミストの正直でロマンチックな言葉に、星奈は安堵した。


ミスト:小さいときは子供が一番でもしょうがないけどw

    最終的には俺が一番だよw

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