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集光の聖女と剣の勇者  作者: ゴマヌール
セーランド王国の動乱
3/3

逃走

私は出来るだけ速く、馬車を動かす。


この国の王女……レナリア様を護る為に。

馬達には悪いことをしているのは理解している。


だが、急がなければいけない。


「レナリア様、今から西門を抜けます。その後に私の部下が滞在している村に行き、身を潜めます。」

「……はい。」


今すぐ慰めの言葉を掛けたい、それは許されない。

本当に時間が無い。

無事に門を抜けられるか。


(くそっ…!嫌な想像は頭を鈍らせる!!)


馬に鞭を入れ、西門を目指して行く。

追手が来る前に、門を閉ざされる前に!!








「レナリア?…ふんっ、生かしておいた所でどうという事はない。それよりも、俺に逆らう者は生かしておくな、反乱を起こす為の力さえなければ、あんな小娘放っておけばいい。」


ガイアが兵士達にそう命令する。


「はっ!分かりました。」


兵士達が、そう言うと玉座から離れていく。

黒ずくめの男……アベルがアサシンと呼んだ者がガイアに近付く。


「おめでとうございます陛下。見事な手腕で。」


口元を緩め、厭らしい笑みを浮かべながら発せられた声は、猫なで声のような不快感を与えてくる。


「心にも無い事をほざくな。」

「これは、失礼。」


ガイアは何処かうっとしい様子でアサシンを睨む。


「貴様……いやっ、貴様らの力を借りたのは確かだ。その暁に貴様らの要望を聞く。謂わばこれは契約だ、それは理解している。」


アサシンは笑みを浮かべながら二度、首を縦に振る。

ゆっくりと後ろに下がりながら、初めから居なかったかのように姿を消していく。


その様子に舌打ちをし、玉座に不機嫌に座り続ける。


「まぁいい、俺には力がある。

こいつさえあれば何だって……そう……何だって出来るのさ。」


自分の両手を見つめながらそう呟く姿は禍々しい。

その場に人が居ればそう感じただろう彼は果たして、人間なのだろうか。








「よしっ!西門に着いた!」


私は一先ず息をつく。

周りには反乱兵は居ない。

ただただ不気味な位に静寂が広がる。

幾つか戦った後なのか、物が壊されていたりはしている。


(兵士の死体が無い……西門からは攻めては来ていないのは分かっていた。だけど…こうあっさりと着けたのは違和感がある。)


未だ予断は許されない状況。

だがそうも言ってられない。


「レナリア様!このまま村へ向かいます!もう少しの辛抱を!」

「はいっ…!」


正直に言えばレナリアの体力の消耗が激しく休ませたいが、今は急ぐ。

そう判断し、アニスは馬を走らせる。

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