廻描
掲載日:2015/12/26
誰も幸せにならなかった。
そして世界は乖離を終えた。
誰も望まなかった結末の先を、前を向いて僕は進む。
今も、価値のある時間が吹き付けては過ぎ去っていく。
他人は僕の選択を自己犠牲と呼んだ。
だがそれでいいのだ。
僕が信じた君の幸福。それを君が見つけられるのなら、僕は初めて報われることを知るだろう。
君が「キミ」と声を上げたとしても、僕が振り向くことはきっとない。
僕たちはまだ繋がったことすらない関係なのだから。
君に裏切られたことはなかった。いつも手の届く距離に居てくれた。
君は最後まで逃げなかった。在りもしない光を探す君は誰よりも美しかった。
君は強くなれた。僕の存在と引き換えに生きるための糧をその手に掴んだ。
君にはたくさんの君がいるように。
僕にはたくさんの僕がいる。
ほらね、淋しくない。




