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緑の魔女  作者: 青紗
魔女と青年とハーブティーと
8/50

もう、隠すのは終わりにしよう

どうも、透冴翡翠です。大変お待たせしました。

レイモンドのちょっと違う面を書くのが難しかったです。彼でありながらも、彼でない感じがなんとも言えませんでした。w

レイモンドは、水をたっぷり入れた桶を持って、ベッドの方へと向かった。

ベッドの上には、リンが横たわっている。


「まだ顔色が悪いな……」


リンの額に置いたおしぼりを水に浸し、しっかりと絞る。

それを畳み直し、また額に置く。

この数時間、レイモンドはその動作を繰り返していた。


医学や魔法にまったく知識の無いレイモンドにできることが、これくらいしかなかったのだ。

当の本人はそれがとてももどかしくて、悔しかった。








いつも笑顔だったリン。

その面影はすっかりと消え、ただただ苦しそうにしている。

それでも美しい彼女の顔は、余計にレイモンドの心に響いた。

膝の上に置いた拳を、ギュッと握る。


「なぁ。何があったんだよ、リン」


搾り出したような声で、レイモンドは意識の無いリンにそう言った。


「最近お前、何か隠してただろ。これでも気づいてたんだぜ? でもお前が『詮索するな。』みたいな目で見るから、俺は止めておいたんだ。今となっては、すごく後悔してるがな」


低くて、囁くようなその声は、怒りと悲しみを滲ませていた。

彼の肩は次第に震え始め、小さな嗚咽が聞こえてきた。

頬から拳に、涙が何粒か流れ落ちる。


「……前に俺が、『何でいつも俺を歓迎してくれるんだ』って聞いたことがあったよな。それにお前は、『初めてできたお友達だからです』って答えた。あの時俺、嬉しかった、んだと思う。俺、村だとそんなに仲良くしてる人、いないから。お前みたいに気軽に接することができるやつがいなかったんだよ」


レイモンドは突然、過去の話をし出した。

涙は止まらず、声も震えている。

リンは無論、返事をしない。


「気づいたら、お前は俺にとって、大事な人となっていた。そんな人ができるなんて、俺は夢にも思わなかった。だから、俺はこれでもお前に、すごく感謝している。できれば、こんな穏やかな日々が続いたらいいな、なんて思っていた。


 ……だから目を覚ませよ。またお茶を飲もうぜ。そん時は、お前の話を聞かせてもらうからな」


涙声で囁いた小さな告白は、横たわる魔女の耳へと届いたかどうか、誰も知らない。


だけど心なしか、リンの表情に安らかさが少し戻っていた。








「……はい。約束です」


レイモンドは目に涙を溜めながら、スッとリンの方を見た。

彼女はまだぐっすりと寝たままだった。


でも、彼にはちゃんと分かった。

理屈とかではなく、心で感じられる何かで。


間違いなく、リンの声だった。

彼は、思わず笑った。






介護を続けていると、布団からはみ出たリンの柔らかい手に気づいた。

それを手に取り、布団の中に戻そうとした。

しかし、彼はその手を止めた。

そして、その小さくて愛おしい手に、そっと、静かに口付けをした。


この小さな少女に、このことが知られないのが、大変残念である。








どうか、どうかこの二人のこの時間が、永遠と続きますように。

そんな光が、微かに二人に降り注がれた瞬間であった。

余談ですが、テスト当日直前に書き終わったものなので、綻びが色々あるかもしれませんが、そこも楽しんでいただけたなら幸いです。


―Hisui Tougo

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