6、視線
お久しぶりです( ̄Д ̄)ノ
リアルの都合がひと段落ついたのでまた、連載を再開します( ̄^ ̄)ゞ
今後とも、よろしくお願いしますm(_ _)m
「じゃ、ここからは別れて行動だな…」
この街全体を舞台にしているだけに、どれだけ急いでも最低1時間はかかる。その時間紗弥が一人でいないといけないことに不安を感じたが…流石に心配しすぎだと思い誤魔化す様に明るく話す。
「よし、誰が一番最初に部屋に戻れるか勝負しよう。それに、生徒会長を待たすとまた何をされるか分からないしな」
一言多かった。そう思った瞬間には紗弥に突っ込まれていた。
「あれは、兄さんが悪いと思います」
「うっ」
「何かあったのか?」
「いえ、ただ兄さんが部屋のものにイタズラをして、生徒会長にお仕置きされただけです」
確かにイタズラした風にして話を流したがその言い方は悪ふざけをして叱られる子供の様なものを連想させられる。
「イタズラ…」
「クス。あ、ご、ごめんなさい」
川倉は想像できないのか首を傾げているが、北御さんには笑われてしまった。
紗弥は何か俺に恨みでもあるのか?
「それでは、私はお先に失礼します」
問いただす様に目を向けたが紗弥は俺だけに見える様に小さく舌を出してこの場から去って行った。
まるで仕返しですよ、とでも言う様に。
「はぁ〜」
会ってそれほど経ってないと言うのにどんどん俺の評価が下がって行く…思わずため息がでても仕方ないと思う。
「じゃ、俺も行くわ」
この場に居づらくなり、返事も聞かずにその場を後にした。
向かう場所は学園から東側の、街全体と比べて栄えている区画の銀行だ。
学園から歩いて20分ほどで周りが騒がしくなり始める。
「見たことない店が多いな」
学園に来る前は西側にいた為、よほどなことがない限りここまでは足を運ぶことがなかった。
この街は西側は居住区が密集し、東側は商業施設が集まっている。そして、南側と北側は工業が集まっている。
決して西側や南側、北側に商業施設がないわけではない。公共施設やチェン展開した店は普通にあるが、個人で経営している店や話題の店はどうしてもこの区画に密集してしまうのだ。
今はオリエンテーションの途中なのでゆっくり見て回ることは出来ない。機会があったら紗弥と一緒に見て回ろう。
「それにしても、人が多いな」
学園行事のため当たり前だが制服で街中を歩いている。それだけを聞けばおかしなことは無い様に思えるが、中央にあるでかい学園だけあってその制服を着ている人は嫌でも目立つ、黒を基調とした制服で、普通は制服で使われないケープがついてるため余計に目立つ。さっきから物珍しいげに見て来る者やニヤニヤ笑をした明らかに風貌の悪い輩が目に付く。
「もしこれで、事件でもあったら学園はどう対処するつもりなんだ」
今思えばこれを見越してポーチを持たせたのかもしれない。
「紗弥が東側で無かったのが責めてもの救いだな」
そんなことを考えているといつの間にか目的地についていた。
銀行前には看板があり駐車場に幾つかの車が止まっている。普通の銀行となんら変わりは無い。
「いくら学園と関わりがあるからと言っても表向きは普通の銀行らしいな」
政府からの秘匿されている霊に関わる学園と繋がりがあるだけで普通では無い特別な立場にある。この銀行の経営者がそうなのか、銀行自体がそうなのかは分からないが。
「さっさと終わらせて帰ろう」
ここまで来るだけで様々な視線にさらされ流石に気が滅入る。一刻も早く終わらせて帰りたい気分だった。
一眞たちが学園から出た頃…。
「全員行ったみたいよ」
誰かとの連絡を終えた真菜は書類と睨めっこをし思い悩む様な顔をしている華耶に声を掛ける。
「ええ、分かったわ」
返事は返って来たが華耶は書類から一行に顔を上げない。
「楽しそうね華耶」
「そう、見えるかしら」
自分としてはそんな顔をしているつもりはなかったのだが真菜は躊躇い無く肯定する。
生徒会長としては不謹慎だと思い顔にでない様にしていたつもりだったが真菜にはお見通しだった様だ。
華耶は観念し、表情を隠すこと無く笑む。
「今年は、面白そうな子がいるからかもしれないわね」
書類の内容は他人が見ても驚愕し出来れば関わりたく無いと思うほどのものであり、当事者にしてみれば頭痛の種にしかならないはずのものだが二人は楽しそうに笑いあっていた。
「それって、一眞君のこと」
入学したばかりの生徒がいきなり華耶の結界に潜り込んだことにも驚いたが、其の後で結界を調べた華耶は障壁や罠に一切引っ掛かった様子がないことに驚いていた。結界に潜り込んだところで辞めたのか障壁や罠を回潜って奥に潜り込んだのかは分からない。
「得意還霊がリスペクトって、本当かしら」
「確かに、結界に潜り込んだことを考えれば得意還霊はボーダーよね」
結界に干渉するのに必ずボーダーが得意でないといけないと言うわけではないけれど、たかだか弌年生が山名部 華耶の結界に潜り込むには他のものが得意というのではスペックが高すぎる。
「本当ならすぐに尋問でもして、吐かせたかったんだけど…。書類は本物だし、名家の塞蓮路にそんなことする訳にはいかないしね」
塞蓮路家は優秀な人材を次々に家系から出しているわけで無いが、こちらの世界での発言力が大きい名家だ。ただし、知る人ぞ知ると言う様な存在だが。
「一眞もそうだけど、紗弥ちゃんもすごかったわ」
還霊術を使った具現化…アスペクトで出した縄を還霊術のアトリビュートで綺麗に縄だけを燃やしていたし。
「普通、入学したばかりの学生は属性を出すだけで精一杯のに」
一緒に頭を悩ませていたが、それどころではないと一旦隅に置いておくことにする
「2人のことは大体分かったことだし、見に行くのは後の2人にするの」
もともと、このオリエンテーションは入学したばかりの学生が事件や問題が起きない様に上級生が見張りをしたり、どれほど出来るか気づかれない様に腕試しをしたりする。
勿論前者が最優先で問題がなければ、後者の方は上級生が判断しても良いことになっている。ただし、遣り過ぎは厳罰を与えられる為ほとんどの人は後者の方をやるものはほとんどい無い。
「面白そうなとこに行きたいけど、他の子の様子も見て見たいから今はそうしましょう」
「なら急ぎましょ、まだ埋まってない様だけど早くしないと強制的に誰か指名されるかもしれないわよ」
見張りは、基本的に同室のものがすることになっているが、人数が合わなかったり目的地に向かった新入生を見失う可能性があるため。ある程度校門からでて時間が経った新入生には学園側が指名して上級生を付かせることがある。
「はいはい、分かったわよ。それと、私は由梨架ちゃんに付くわよ」
「じゃ、私は川倉君ね」
2人は、楽しそうに部屋から出て行った。