2、頑張り
おはようございますψ(`∇´)ψ
サブタイトルはかなり適当につけてるので、あれ?っと思うかもしれませんがご了承くださいm(_ _)m
「ここで、いいんですよね」
「ああ、多分な」
部屋の番号を探すのはそこまで手間取らなかった。むしろ、簡単だった。
部屋は奥に行けばどんどん数字が大きくなっていくからだ。それなのに、なぜ部屋の前で棒立ちになっているかというと。
「ここの部屋だけ、番号が2つあるのはどう言う事でしょう」
紗弥が言ったとおり、この部屋の番号プレートには二つの番号が掘ってある。
「ここで考えていても答えが分かる訳でもないし。とにかく中に入らないか」
いま気づいたが、ここで頭をひねっている間(おそらく新入生であろう生徒)に何度か視線を集めていた。
その事に気づいた紗弥も恥ずかしげに頷いた。
部屋の空間は建築物に対してありえないほど広い作りになっており、中では女生徒が本を読んでいた。
多分、先輩だろう。
どう見ても入学したばかりの人間が読む様な本ではない、実際に霊力を使った実践を体験していなければ必要とされない本を読んでいたからだ。
入室して来た俺たちに気づき女生徒は笑顔で立ち上がった。
「いらっしゃい、私は藤波真菜。詳しい自己紹介はみんなが揃ってからね」
髪は長く背中あたりまで伸びていて、表情が柔らかく雰囲気がとてもほんわかとしてる人だが見かけによらずしっかりしているようだ。
「はい、俺は塞蓮路一眞です」
「さ、塞蓮路紗弥です」
軽く自己紹介を済ませると先輩が座っていたソファーに案内された。
「もう少しでみんなが来ると思うから、しばらくそのソファーで寛いでてね」
俺たちに背を向け奥のドアの方へと向かった。
「あの、お茶の用意なら手伝います」
紗弥の申し出に少し困ったような顔を見せた。
「申し出は嬉しいのだけど…」
反応からして断られるであろうことは分かっていたため、少し強引ではあるが先輩が言い終わる前に言葉を遮る。
「藤波先輩、紗弥に手伝わせてやってください」
「え」
言葉を遮られるとは思ってなかたのだろう、藤波先輩は驚きの声を出した。
「これから、暫く一緒に暮らすのになれる方がいいと思うので」
「兄さん?」
紗弥は 急に取った行動に意味が分からないのか、不思議そうにしていたが構わず続ける。
「紗弥は人見知りなので、始めてあった人とはあまり話したがらないのですが、ここの生活に慣れようと紗弥なりに頑張っています。それに応えてやってもらえませんか?」
流石と言うべきか、突然こんなことを言ったのに困惑せずにきっちり答えてくれた。
「分かったわ、ここに来たばかりで緊張してるだろうから休んでてもらいたかったのだけど」
藤波先輩にも考えがあって断ろうとしてたらしく、それを知った紗弥は少し胸をなでおろした。そして、俺にジト目を向けて来た。
何故?
何故、そんな目をむけられているのかが分かってないことを悟り、溜息をついて言った。
「兄さん、もう少し言い方に気を付けてください。デリカシーがないです」
「俺が悪いのか?」
そんなこと言われても、紗弥のしたいことを俺なりに解釈してその事を伝えただけなのでどうして責められているのか分からなかった。
「そうね、今のは一眞君が悪いわね」
紗弥だけでなく藤波先輩にまで言わてしまった。
「えっと、ごめんなさい?」
何が何だか分からないまま責められ続けたため思わず謝ってしまう。
そんな様子に我慢出来ず吹き出す様に2人は笑い出した。
それから暫くし、 2人はドアの向こう側へ行きこの部屋には俺1人だけになった。
もともと、紗弥を手伝いに出したのはここで1人でやりたいことがあったからだ。
周りの物陰やコンセントの中お軽く調べ、周りに盗聴器がないことを確認する。
「盗聴器の類はなしか」
入った時から不思議に思っていたが明らかにこの部屋の大きさと寮内の部屋の間隔があっていない。
「結界の類いだと思うが迂闊に手を出せないしな」
それに空間を変化させるほどの高度なものをこの学園の生徒がしたとは考えられない…(一人例外はいるが)…もし学園側が施したものだとしてたら、下手に手を出すと退学とかあり得そうだ。
しかし、何かしら霊に害のあるものなら手お加える必要がある。
「考えていても仕方ない。少し強引でも探りお入れて見るか」
なんとかなると、思考を中断して行動を起こした。
こう言うところを紗弥にお気楽と言われる原因になるのだが本人は全く気付いていなかった。
体の奥にある自分と同じ形をしたエネルギーの塊、霊力をほんの僅かに使って結界だと思われる構造体の中へと潜り込ませる。
結界の構造は複雑だが完成した結果の現象はたいしたことはなかった、思わず呆れてしまうほどに単純だった。
「部屋を大きくするためにわざわざこんな高度な結界を張るか…普通」
構造体の中は何重もの防御壁やダミーがこれでもかと仕込んであったため、もっと大掛かりもしくは霊に対してのなんらかの対策措置だと思ったからだ。
危険性がないと分かったため安堵の溜息を付く、すると視界が突然半回転し、凄まじい衝撃とともに腕に鋭い痛みが走った。
「あなた何者」
いくら霊力を使うのに集中していたからと言っても、こんなに近くまで接近されて、気づかなかったことに驚きを禁じ得ない。
「何があったの」
叩き伏せられた時の大きな音を聞き、奥の部屋でお茶の用意をしていた藤波先輩と紗弥が戻ってきた。
「兄さん!」
「近づかないで」
紗弥が床に押さえつけられてる俺を見て駆け寄ろうとしたが、女生徒の一喝で阻止れた。
「もう一度聞くわ、あなたは何者」
素直に答えなければ何をされるかはだいたい想像は着くが、答える訳にはいかずしらばくれることにした。
「今年、入学して来た、塞蓮路、一眞、です」
痛みでそれ以上答えられないと言う風な演技もおまけ付きだ。
「そんな事は、知ってるわ」
その返しがお気に召さなかったようで、声に怒気が含まれていた。
どうも状況が飲み込めない藤波先輩は、女生徒を落ち着かせようと近づいて来る。
「華耶少し落ち着いたら、一眞君が何かしたにしてもこの状態じゃ話せないでしょ」
華耶…山名部華耶か。なら納得だ、まさか生徒会会長が同室の先輩とは、この反応だと結界内に潜り込んだことはバレてるな。
何処までバレているかわからないが困った状態になった。
「分かったわ、でも拘束させてもらうわよ」
藤波先輩の言葉に不承不承と言った風にしながら生徒会長は霊力を使い縄を実体化させた。
霊力の実体化は普通そんなほいほい使えるものではないはずだが、さすがはSランクと言ったとこか。
身体を拘束され、まともに動けない状態で床に放置された。
「こんな感じかな」