第2話 初めてのモンスターで頑張ります!!
オレは、今日で4歳の誕生日を迎える。魔法適正の検査まで、あと1年である。
今は、地下にある書斎で本を読んでいる。特に、魔法の本が中心だ。
何となく、魔法のやり方が分かってきた。来年には、すぐに魔法を使えるようになりたいからだ。
また、15歳からは学園に入れるということを知った。15歳から18歳、つまり、日本でいう高校生の時期である。
「セル。今日の修行を始めるぞ」
「はい、わかりました、お父様」
父親から呼ばれたので、書斎からでて、父親の元に向かう。これは、毎日の日課になっていて、2年間ずっと続けている。
「よし、家の周り50周、腕立て伏せ200回、腹筋200回、背筋200回、スクワット200回だ」
「はい」
最近は、これくらいはやらされるようになっている。家の周り1周が大体1kmであるので、フルマラソン以上を走らなければならないのだ。
地球では2時間ちょっとが世界記録だったが、オレはこれを2時間で走らされる。
1秒に6メートル弱という、フルマラソンを走る速さとは思えない速さでそれを走らされるのだ。しかし、なんとかできているのは、よくある地球人補正というものなのだろうか。
その後、筋トレをそれぞれ200回だが、全てあわせて10分でやらされる。途中の姿勢を変える時間を入れると、かなりのペースだ。大したことはないが、(この時点で感覚が壊れている)家の周り50周のあとなので、異常にきつい。
というか、オレが4歳だということを忘れているとしか思えない。
「どうした?早く行ってこい」
今さらだが、鬼だよな……
とりあえず、オレは外へ出ていった。
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やっと終わった……
毎日やっていても、疲れるもんは疲れる。4歳だもの。
「よし、セル。今日は重大な発表がある」
「何でしょうか?」
聞いて驚くなよ、と、前置きをいれてから、父親が言う。
「今日からは、モンスターと戦って貰う」
「えぇ―――!!」
つい、大声をあげてしまった。なんたって、モンスターはとても強くてオレなんかでははも立たないと言われていたからだ。
「モンスターは、異常に強いので、戦えるのはまだまだ先だって言ってなかったですか?」
そう言われていたので、オレは超頑張って修行をつんでいたのだ。モンスターとの対戦にはとても憧れるのだ。
「あれは、嘘だ。お前が勝手にモンスターがいるところへ行かないためのな」
「じゃあ、今の僕でも、雑魚モンスターは倒せるんですか?」
えっとなぁと、父親は頭をかいて言った。
「今のお前の筋力と持久力だったら、Bランクのモンスターまでだったら、倒せると思うぞ。たぶん、オレに結構近付いていると思う」
そうだっのか。ゴブリンとかはイメージ的には弱そうだったので、不思議に思ってたんだよね。
「というわけで、セルには、この近くにある「クラーク草原」に行ってきてもらう」
「なっ、あそこは、Bランクのドラゴンがいてっ」
「だから、それくらいは倒せる実力があるって言っただろう」
確かに、そうかもしれない。しかし、オレは実践経験が無いのだ。
素振りだけしていても、ホームランは打てない。陸でフォームばかり練習していても、泳げるようにはならないのだ。
「じゃあ、行ってこい」
「で、でも」
「大丈夫だ、行ってこい」
「は、はい」
こうしてオレはいきなりドラゴンがいるところまで行くことになった。無理だ……。
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オレは今、草原をあるいている。持ち物は、親がくれた剣と、袋だけである。
今回の目的は、奥地にある「エリクサー」という薬草をとってくることである。しかし、それを守るためにドラゴンが奥地にいるということなので、実際はドラゴンとの戦闘になるだろう。そう思うと、気が重い。
時々出てくるモンスターは、雑魚ばかりであった。
スライムは、剣で真っ二つにすれば、消滅する。ゴブリンは、接近して首を刈ればいい。
ただ、奥地に近づくにつれ、少しモンスターが強くなってきた。
草むらがガサガサとなり、小さなドラゴンが出てくる。コドラだ。さっきまでのEランクモンスターよりも強い、Dランクモンスターである。
それでも、ほぼ1発て倒せるのだが。
すると、周りのコドラよりも一際大きい存在感を放つコドラが出てきた。コドラレアといったところか。
こいつは、一筋縄ではいかなかった。何回攻撃をあてても固い鱗に阻まれる。しかし、確実にダメージは与えていっていた。
10分ほど切り刻むと、コドラレアは倒れた。
なかなか強かったなと思いつつ、先へ進む。その先に出てくるやつらは、コドラレアほどの手応えはなく、つまらなかった。
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ついに、奥地にたどり着いた。目の前には、Bランクのドラゴン、「グランドラゴン」がいる。
茶褐色の鱗を身に纏ったドラゴンである。
「ググルゥ?」
ドラゴンは、いかにも「こんなやつが相手?」というような顔をしている。それがムカツク。
「ああ、そうだよ。このちっぽけな4歳児があいてだよ。そして……」
オレは剣を構える。
「そんなやつにお前はやられるんだよ――――」
一気に距離を詰める。
「グギャオ!?」
ドラゴンは、オレの予想外の行動に怯んでいる。今がチャンスだ。
「隙だらけなんだよ!!」
剣を、ドラゴンの首に突き刺す。鱗に阻まれ、あまり深くは突き刺さらなかったが、気合いで押し込む。
「ギャオン」
ドラゴンが首をふって、オレを振り落とそうとする。それを、何とか剣を支えにして持ちこたえる。
止まったら、さらに突き刺す。それの繰り返しで、ドラゴンはかなり弱ってきた。
「終わりだぁ!!」
オレは、剣をさらに力をいれて突き刺す。
剣は、首を貫通して、ドラゴンは断末魔をあげ、力尽きる。
「終わったぁ」
10分かけて、やっとドラゴンを倒すことができた。ダメージは無いのだが。
さてと、エリクサーをぱぱっと採って、ささっと帰りますか。