第6話 初依頼と昇級試験で頑張ります!!
「ほっ!!」
目の前の犬のような見た目をしたモンスターの腹に蹴りを入れて、ぶっ飛ばす。モンスターは、木に突っ込んで絶命する。
犬のようなモンスターの名前は、コボルト。Dランクモンスターだ。
コボルトは、ゴブリンの強化形だと思ってもらって構わない。噛みつきをしてくることが特徴だ。
さて、何でコボルトと戦っているのかというと、依頼を受けたからだ。
Dランクの依頼で、近くのルーク草原にいるモンスターの討伐は、これしかなかった。
討伐目標数は、30体。
「20体目ぇ!!」
またコボルトを投げ飛ばす。
あと十体。めんどくさいから、魔法で一気に殲滅しますか。
どんな魔法を作るかを考え、炎を出してみることにする。
群れの真ん中に、大きな炎が出てくるイメージ。
「巨炎」
すると、群れの真ん中に、オーバーキルだと思えるような巨大な炎が出現する。
その炎は、コボルトを一瞬で消し炭にする。
「うーん、やっぱりチートだな」
因みにルーは、先に家に帰っている。まだ訓練が足りないので(十分だと思うが)父親のに訓練してもらうそうだ。
オレとしても、そっちのほうが都合がいい。こんなチートな力は見せられない。
「とりあえず、戻るか」
消し炭になってなかった20体のコボルトの牙(換金できる)剥ぎ取り、ギルドへと向かっていった。
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「依頼終わりました」
「はい、では、この水晶に手をかざしてください」
また水晶に手をかざす。どうやら、依頼が成功したかも水晶で分かるようだ。
「成功していますね。こちら、報酬の銀貨5枚でございます」
銀貨5枚というと、日本円で5000円だ。コボルト討伐だけでかなり儲かった。
「あと、こちら換金お願いします」
「分かりました」
コボルトの牙を取り出す。
あれ?一つだけ大きいのがある。何だろう。
「はい、コボルトの牙ですねえーと、全部で21本で……あれ?これは……」
一つずつ鑑定していっていた受付嬢の手が、最後の大きな牙で止まる。
まさかと思い、鞄のなかを探してみると、無い。
「こ、これってグレイ」
「わぁ―――――!!」
そう、鞄からグレイトドラゴンの牙が無くなっていた。つまり、コボルトの牙と一緒に出してしまったのである。
叫びそうになった受付嬢の声を大声で遮る。今叫ばれたら困る。
幸い、ギルドには酒場で酒を飲んでいる人達の声に包まれている。別に注目されることもなかった。
「コホン、失礼しました。ところで、これは貴方が討伐したのですか?」
「……はい」
嘘をついても意味がないと悟る。受付嬢は、仕事柄嘘を見破るのに長けているのだ。。
「嘘はついていないようですね。では、こちら、銅貨20枚と、金貨10枚です」
金貨10枚とは、グレイトドラゴンの牙の値段だろう。
「では、僕はこれで」
「待ってください」
逃げようとしたところを呼び止められる。
「Sランクのモンスターを倒した人がEランクというのもおかしいでしょう。特別に、Bランク昇級試験をうけて貰います」
やっぱりそういうことになるか……。
「分かりました。では、いつになるんですか、昇級試験は?」
「明日です」
明日!?早っ!!
「今ちょうど、虚無の森の奥地でキングスライムが目撃されています。それを討伐して貰います」
キングスライムは、Bランクモンスターのなかでも、弱い部類に入る。確かに、試験には最適だろう。
「では、明日の朝に、こちらに来てください」
「分かりました」
めんどくさいなぁ。成功させたら絶対目をつけられるじゃん。
まあ、しょうがない。
とりあえず、今日儲けた金約107000円を使って、武器でも買いますか。
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現在武器屋の前にいる。
初めての店っていうのは、少なからず緊張するものだ。
まあ、入らなければ仕方ないので、入ってみる。
「いらっしゃい……って何だガキかよ……」
店長らしき人の最後の言葉は見逃してあげよう。
店を見渡してみる。素人のオレには、どれがいい武器なのか分からない。
しょうがない。
「詮索」
魔法創造で詮索を作り、色々な武器を見てみる。
銅の剣
攻撃力がほんの少しあがる。
ダメ
銀の剣
攻撃力が上がる。
物足りない
木の剣
只の木の剣。というか木の棒。
論外
壊れた剣S
壊れた剣。直せば元の強さを取り戻す。
壊れたって……え?
Sってついてるあたり、何か強そうじゃない?
「ねえ、おじさん。これいくら?」
「あ?そんな壊れた剣ただでやるよ……ってか早くかえれガキ」
いちいちムカつくが、無視しよう。さっさとこれを修理したい。
「ありがとうございました」
「ああ……ってかもう来んなよガキが」
外に出るついでに、店にある魔法をかけておいた。
3日後、全ての剣が一斉に無くなったのは、オレには関係ないことである。