マリン登場
新しい人形を買って来た日は夏樹は疲れて晩御飯も食べずに寝てしまい、結局そのまま、まだ人形は箱の中のままだ。
ところが、いよいよ今日開けるらしい。しかもたまたま俺は仕事が休み。…ドキドキの一瞬です。また悪魔か…はたまた…?
「パパぁ〜見て」
夏樹が部屋から人形を連れてくる。右手には新しい人形。左手にはブロンドのロングヘア(悪魔)。俺はもう…胃が痛ぇ。
「マリンちゃんなの」
髪の毛が青いからマリンか?そのままだなぁオイ。
「へ〜そうか」
「うん!」
夏樹は嬉しそうに笑って、リビングで遊び始めた。可愛い娘の手には、美女がふたり(片方は悪魔です)。俺は新聞を読み始めた。
ピンポーン!
玄関のインターホンが鳴る。夏樹がインターホンの受話器を取る。
「は〜い。誰ぇ?」
「あたし〜」
「あ〜!」
どうやら夏樹の友達らしい。
「パパ、あたし遊んでくるから!」
娘は玄関へと走って行く。
「短い針が?」
「5!!」
「行ってらっしゃい」
娘に門限を確認させると、俺は娘を見送った。
…さて。華夏美は隣の奥さんとデパートのバーゲンだ。床には2体の美女。この状況からするともちろん…
『ふぅ。遊びに行ったぜ〜』
喋りますよね。そうですよね。
『…どうも、はじめまして』
マリンが俺とリサに挨拶をした。リサと違ってご丁寧に正座だ。なんて礼儀正しいんだぁ!!
『まぁ、そう固くなるなって〜!くつろげ!』
お前はくつろぐな。
『でも…あたし、人と喋るの初めてだし…』
『気にすんなよ。こいつはバカだしハゲてるし、ただの人形オタクだぜ?あははは〜』
殺す…絶対燃やす…。
『失礼ですよ!ハゲてないじゃないですか!』
嗚呼、なんていい子なんだぁぁ!
『…バカで人形オタクかどうかは知りませんけど…』
いや、いやいやいや…そこも否定してよ…。
『あ、そうだ。みか〜ん!』
リサが蜜柑を呼ぶと、蜜柑が元気よく走ってきた。
『こいつ、背中に乗せてくれるし、あたしたちをオモチャにもしねぇし、いい奴だぜ〜』
『…犬』
あれ?マリンの表情が…?
『どうした?マリン』
『犬ぅぅぅぅ!!!』
マリンは突然立ち上がって蜜柑にしがみついた。蜜柑は若干びびって固まっている。
『犬!犬!!よ〜しよしよし!よ〜しよしよし!!可愛いなぁ!』
…ムツゴ●ウさんだ!
『この毛並みがたまりませんなぁ!いや〜この瞳も最高ですなぁ!』
また変なキャラが増えたー!




