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立場の弱い俺

最近うちの3バカには趣味があります。

『あ、もしもしぃ?ミス桃色??』

いちごとの電話です。

『今何してるの?』

『ブログ更新よ、ジュリアちゃん』

机の上に立てた受話器に、3人で寄り添って会話する。

『ねぇ、ふと気になったんですけど、桃色いちごって本名ですか?』

『ううん』

『本名は?』

『本名はね、…………よ』


あれ?沈黙が…?


「どうした?」

突如黙り込んだ3人に訊いた。3人は顔面蒼白で立ち尽くしている。俺はテレビを見ていて会話の内容はちゃんと聞いていなかったので、よくわからない。


『……いや…本名があまりにもダサくて……』

リサがそう言った。


「何なの?本名」

『それは…いちごの名誉に関わるから秘密だ』


あーそんなにダサいの…。だからって桃色いちごも凄いネーミングだけど…。


『あ、みんな。私そろそろ仕事に戻るわ』

『…ああ。じゃ、またね』


3人は電話を終え、改めてソファーの方のテーブルにくつろいだ。

『ダサかったわ〜本名。焦るわ』

『あのルックスからは想像できないよね』

『うん』

ちょっと聞きたかったなぁ本名。


『…暇だし、しりとりでもしねぇ?』

『いいですよ。雅樹さんも参加してね』

おっ、しりとりすんのか。まぁいいよ。順番は、リサ・マリン・ジュリア・俺。

『じゃ、あたしからな。しりとり』

『リンゴ』

『ごま塩』

『音楽』

『…挫けるな!お前はまだ行ける!』

『ルンルン♪今日は天気がよくて気持ちいいですね!』

『眠るなー!眠ったら死ぬぞー!!』

…え、俺の番なの…?

『ぞ…象』

『恨むなよ、仕方がなかったんだ…』

どういうシチュエーションだよ。

『段々寒くなってきましたわね〜』

そうですか。

『猫の額ほどの広さのミスター茨木の家』

うるさいわボケ!


まぁそれから俺はこんな感じのしりとりに2時間ほど付き合い、ヘトヘトに疲れてしまいました。アホに付き合うのは楽じゃねぇ。


ピンポーン


あ、誰か来た。

『雅樹ちゃ〜ん』

…魔女だ。

『開けて〜。晩御飯食べに来たよ〜』

俺は渋い顔でドアを開ける。

「そんな突然来ても飯はごさいません」

『大丈夫よ。華夏美ちゃんに前もってメールしてあるから』

そう言いニッコリ笑うロリータ女は、スルリと家に入って行った。

『みんな〜遊びに来たぁ!』

『おう!いちご!』

リビングの方から3人の黄色い声が聞こえる。俺は無言のまま玄関のドアを閉め、重い足取りで部屋に戻った。

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