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短編

ジャンクフード

作者: まめ太

諸君。

わたしはジャンクフードが好きだ。

インスタントなら袋麺よりもカップ麺が好きだ。

コンビニも好きだ。

そして、コンビニ食材も大好きなのだ。


諸君。

ここに、本日買ってきたばかりのカップ麺がある。

エースなにがしという会社から発売されている、飲み干す一杯坦坦麺だ。

わたしはこれを初めて買った。

今日、初めて試食する。


蓋を開けてすぐ、わたしは絶望した。

なぜだ、なぜネギが入っている!

このネギはなぜ我が物顔にカップ全面を覆う勢いでそこに居るのだ!

赤くて黒い危険な色合いが食をそそるはずの坦坦麺の、表面いっぱいに広がる緑色は無粋に過ぎるっ!

解せぬぅ!!

開発者は何を考えているっ! 世の中には「ラーメン大盛り、あ、ネギは抜いといて。」という注文方法があることを知らぬのか!

逆バージョンの「ネギは特盛りで頼むわ、おやじ。」なる敵対勢力も確かに存在するが!

つまり何が言いたいかと言えば、ようするにアレだ、抜いとけや、ゴラァ!!


ぬっ、よく目を凝らせば、縮み具合の異なる二種類の乾燥植物が。

片方はネギ、もう片方はどうやらチンゲン菜である様子。なるほど、それで無用なほどに緑だったのか。

坦坦麺というモノはいっそ潔くまっ赤っ赤でもなんら問題はないと思うが、商業ベース的に何か拙い点でも抱えていたのだろう。ネギとの抱き合わせなど、まったく有り難くもなんともないのだが。

仕方なく、わたしは挑む。仲良くたたずむ二種類の具材の、選別作業を開始するっ!


片方に破棄されたネギの山、片方にチンゲン菜。ようやくだ……、ようやくわたしは、このカップに湯を注ぎ入れる権利を勝ち得たのだ……。

湯を注ぎ入れ、3分間の待ち時間のうちに廃棄処分のネギを始末する。麺にしつこく絡みつきしがみ付いていたネギ部隊を殲滅できなかったのは心残りだが、今は腹が減っている。こちらが最優先だ。


3分。


指定の通りに、後入れのゴマスープを投入。

まずは一口、お薦めというそのスープからいってみようじゃないか。

うむ! 美味い! さすがに自慢するだけあって、美味いぞ。日清にも引けは取らない。

ちなみにわたしは日清がイチオシだ。だが、このスープは王者・日清にも十分張り合える。

まず、しっかりとダシが効いている。そして辛すぎない香辛料。

そう、料理というものはまずダシの味が来なくてはいけない、でなければただ辛いだけという評価に至り易いのだ。まずはダシ、この基本が出来ているだけでライバル他社幾つかを振り落とした。

次に麺。

うむ……、すまない、これはイマイチと言わざるを得ない。やはり王者は王者たる理由があるという事か。マズくはない、しかし、スープに負けている。スープが上出来過ぎたのだ。

だが、肉に工夫が為されている。チンゲン菜も瑞々しく戻っている。乾燥食材を元の食感に戻すのは、これでなかなか工夫の必要な部分であるが、これはさすがにエースなにがし。大阪拠点だけのことはある。具材への執念じみたコダワリが如実に現れていると言っていい。

肉のブロックを包丁で丁寧に叩いて細かく切り刻めば、エースなにがしに、機械でミンチにすり潰せば日清になるとでも言おうか。

見事だっ! 肉は、肉は日清を超えたっ……!

スープを飲み干してゆくのはさすがに辛党でもないわたしには無理だった。

最後にひとつ、気になる点を。

後味が……、なんだろうか、ダシのなにかが引っかかる。


ごちそうさま。

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