表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

1  他と入学式

この世界には、悪魔がいる。


悪魔。


それは、5年前に突如として現れた。 どこから来たのかも、何のために生まれたのかも、誰にもわからない。 いや、生きてるのかすら、わからない。


「悪魔」という名前は、誰がつけたのかも不明。


そして、悪魔には 人間に友好的なものと、敵対するものがいる。敵対する悪魔は政府公認の「浄魔」という組織によって討伐される。浄魔庁と呼ばれることも多々ある。


対照に悪魔を利用する者たちもいる。それが俺達、殺し屋。殺し屋は悪魔と契約し力を借り依頼を受け、任務を遂行する。


依頼されたことなら何でもやるので実質便利屋だ。実際俺も昨日、猫探しを依頼された。猫探しなんて殺し屋に頼むな。とは思うが依頼主には逆らえないのでしょうがない。


そして今回の依頼主は組織のボス沙羅橘さらきつ、見た目は8歳くらいだが年齢は不明だ。容姿が幼すぎて少し怖い。依頼内容はこうだ。殺し屋育成学校に入学し、使えそうな奴を引き抜く。


俺は、災恐さいきょう黒烏くろがらすと呼ばれている。


そう呼ばれるようになったのは、3年前。 ある都市で起きた悪魔暴走事件を、たった1人で片付けたからだ。正確には契約した悪魔とだが。


それ以来、依頼が途切れたことはない。 俺の名前を聞くだけで、悪魔が逃げるという噂もある。もちろん、そんなのは嘘だ。 悪魔は、逃げない。


殺し屋には、正式な手段でなる方法と、そうでない方法がある。正式な手段を踏めば、政府非公認ながら殺し屋証が発行されるらしい。


名前、契約悪魔、得意分野、過去の依頼履歴、すべてが記録される。


それを持っていれば、裏社会での信用は得られる。 殺し屋育成学校に入学し、卒業することでその殺し屋証が手に入る。俺は殺し屋証を持っていない野良。


大虐殺カルネージ


それが俺のいる組織の名前。どんな頭してたら、こんな名前をつけるんだろうな。いや、ただの厨二病かもしれない。


組織と名乗っているが、実際は俺とボスの2人しか組織にはいない。ボスも殺し屋証を持っていないので、ただの殺し屋名乗ってる頭のおかしい集団ということになる。


殺し屋育成学校。 表向きは特殊技能者養成機関という名前で、政府にも認可されているらしい。でも、裏では基本的な体術、悪魔と契約するための手段、などなどが教えられている。しかも卒業するとどこかしらの組織に入れる保証付きだ。


八咫導やたどう からす。今回使う偽名。 年齢は18、これは本当だ。契約悪魔は未契約ってことになってる。 本名も契約悪魔も、ここじゃ隠しておく必要がある。……本当は、もう契約してる。猫霊みょうれい、俺の契約悪魔だ。


殺し屋育成学校。 名前だけ聞けば物騒だが、見た目は普通の学校と変わらない。 机があって、椅子があって、教師がいて、生徒がいる。 違うのは、ここにいる奴ら全員が人を殺すために来ているってことくらいだ。


今日、20X5年。殺し屋育成学校の入学式が学校付属の体育館で行われる。普通だった。 代表が喋り、拍手があって、校長が喋って。


「この学校は、殺し屋を育てる場所です。 それ以上でも、それ以下でもありません。卒業までに、何人かは死ぬでしょう。 それもまた、選別の一部です。」


校長がそう言うと、体育館全体の空気が引き攣った。新入生、120名の顔が強張っていくのがわかる。


「皆さん。卒業までの3年間、死ぬ気で生き延びてください。」


その言葉とともに入学式は終わりを告げた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ