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「誰のために生きているのか」
カリスタは布団の中で考え続けていた。
「そんなの、お父さんやお母さん、そして私を生かしてくれた皆のために決まってるじゃない。でも、口に出せば彼らを侮辱することになる…あまりにも失礼だってわかってるのに」
お嬢様の声は私たちに届いている。
決めたことを貫けないで悩むなんて、やっぱり可愛らしい……でもそれ以上に、少し呆れてしまうのも事実だ。
エメラルドの瞳は揺れ、美しい金色の髪は微動だにしない。
お嬢様は彼らを理解しているからこそ、その思いが浮かぶのでしょう。でも、私たちと契約した時から、あなた様はもう彼らを冒涜しているのですよ。
……どうしようもないほど愚かで、それでいて尊いお嬢様。今さら悩むなんて、もう、馬鹿らしいくらいだ。
そっと近づき、私は囁く。
「彼らの仇を討つのではないのですか? 私たちとの契約を忘れましたか? 信念を、契約を守りなさい」
「わかっているわよ。誰に命令をしているんだ、このたわけ者め」
お嬢様の声はいつもより強く、確かな決意が宿っていた。____やっと、戻りましたね。
私たちはその目を見た。憎悪に燃え、目的のためなら手段を選ばぬ大胆さ。枯れた草木のように濁った瞳、薄汚れてもなお輝く金の髪。そのすべてに、私たちは惹かれるのだ。
「もう寝るから、静かにしてちょうだい」
「かしこまりました」
数人を残して私たちは部屋を出る。
屋敷を探検するのも、ちょっとした楽しみだ。
私たちの姿は、私たちが見せる気にならない限り人間には見えない。それに、常に姿を見せれば、お嬢様にその反動が行く。私たちは存在自体が禁忌――だから、人間の侍女たちがいるのだ。
…少しきな臭いですが、今はそれよりも、お嬢様を見守ることに専念しましょう。




