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朽ちぬ女王  作者: 水無適
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二度目の訪問は驚くほどすんなりと進んだ。

これといった対価を求められなかったのは、同盟を結んだ後だからでしょうか。


「お久しぶりです、オズワルド王」


「久しいな。で、何の用だ?」


社交辞令というものを一切感じさせない、あまりにも真っ直ぐな言葉。

それに対し、お嬢様は思わず破顔した。


「解毒をお願いしたいのです」


「ほう……あの騎士か?」


「ええ。治りますか?」


「うーん。解毒自体は問題ない。だがな、精神面の方がかなり深刻だ。こういうものを治す方法は、まだ見つかっていない」


「……」


「一つ、強引な手段はあるが……おすすめはしない」


「一応、聞いておきます」


「記憶を消す」


「……範囲は決められるのですか?」


「いや。すべての記憶が消える」


「論外です。解毒だけお願いできますか?」


「ちょっと見せてみろ」


横たわるギルの容態を診始める。


「ああ……ここに来るまで解毒をしなかったのは正解だな」


「どういうことですか?」


「この毒は麻痺毒だ。神経を麻痺させることで、こいつはギリギリ精神を保っていられる。外からの刺激が減った分、精神の修復に自分の力を使えている」


「では、下手に解毒できないということですか?」


「そういうことだ。解毒は必要だが、代わりとなる麻酔成分を持つ薬が要る。……あったかどうか」


「無いのなら採ってきます」


「そう言うと思った。だが今日は休め」


「まだ昼です」


オズワルド王はお嬢様をしばらく見つめてから言った。


「少し話そうか」


「何をです?」


「おい。あいつらを部屋に案内しろ」


オズワルド王が手を叩くと、侍従が現れ、私たちはそれぞれ客間へと案内された。



「こういう話は、一対一の方がいいと思ってな」


「話とは?」


カーテンの隙間から、昼の穏やかな光が差し込んでいる。


「お前さん、自分が今どんな状態かわかっていないだろう」


「以前負った傷は治っていますし、問題なく動けていますが」


「体の話じゃない。心の方だ」


「……」


「前から危うさはあったが、今はそれが確実になっている。碌に休みも取れていないんだろう。今は大丈夫でも、心が壊れたら次に壊れるのは体だ」


「……」


「何かを失ったのか? 何があった?」


「あなたには関係のない話です」


「いや、関係ある」


「関係ないです!」


彼女が声を荒げたのを見たのはこれが最初で最後だった。


「それより、カリンとお話ししては? 大切な姪でしょう」


彼女が部屋を出ていく背中を、なぜもっと強く引き止められなかったのだろう。


引き止めて、話を聞くだけでもしていれば、何かが変わっていたのだろうか。

だが俺には、その言葉も資格もなかった。


今となっては、何もかもが遅すぎる。

俺はもう彼女の手をとれる場所にいないのだから。

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