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「二人とも久しぶり。おかえりなさい」
私たちを出迎えたのは、ルヴェイン子爵本人だった。
「二人を着飾ってくれ。久しぶりの再会だからな」
「かしこまりました」
侍従に連れられ、入浴と着替えをさせられる。
「意外とまともな服」
用意されていたのは上質なドレスだった。
ルヴェイン子爵の薄い黒髪と緑の瞳を基調とした、私にぴったりのサイズだ。
「……わざわざ作ったのね」
食堂へ案内され、扉の中に入ると、そこにはルヴェイン子爵と、その隣に着飾ったギルとエリンの姿があった。
ギルは貴族の血が入っているだけあって様になっている。皮肉なことに、彼の瞳はルヴェイン子爵と同じ緑だ。
「お待たせしました」
地獄のような食事会が始まる。味のしないステーキを口に運ぶだけの作業。
……二人はそれすらできていないようだけれど。
「さて、食事も終わったことだし……生きてここを出ることができない君たちに、良いものを見せてあげよう」
手枷と足枷を着けられ、向かったのは地下だった。
「……これは?!」
「これは失敗作だ。だが、その失敗作にも使い道があるかもしれないと研究を任されてね……君ならどうする?白銀の君よ」
「……わかりかねます」
「つまらなくなったね……じゃあ、あそこに入れておいて」
「かしこまりました」
案内されたのは寝室……ではなく、地下牢のような場所だった。
鉄格子で囲まれ、窓一つない。逃げることはできそうにない。
子爵と侍従は一時的に退出した。
「お前たち、いるね?」
「はい、ここに」
「エリンとギルは?」
「エリン様は地下の独房におります。手出しができないよう、一人つけています。
ギルは……すぐわかるでしょう。カリン様たちが向かっているので、もう少しだけ耐えてください。失礼します」
子爵とギルが来た。
昔と同じ、舐めるような視線を向けられる。
「さて、お楽しみの時間だ」
時間を稼がなければいけない。ことが済めば始末されるだろう。だから、なるべく長く。
「まあ、そんなに急いでもどうしようもありませんよ。少しお話をしませんか?」
本当は今すぐに殺してやりたいが、笑顔を貼り付ける。
「何を考えているのか知らんが、助けは来ないぞ?ここを見つけることはできないだろうからな」
「でも、あなたは私たちを殺してしまうでしょう?私だって、なるべく長く生きたいわ」
「それもそうだな。だが、一つ訂正をしよう。飽きるまでは殺さない」
「まあ……それはありがたいですね。飽きられないよう、頑張りますね。
しばらく会っていなかったことですし、どのように過ごされていたのか、お聞きしても?」
「いいだろう。そうだな……」
この人の性格上、煽てれば乗ってくる。
このまま手を出させずに終わらせなければ……。
カリン、レオン。待っているわよ。




