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朽ちぬ女王  作者: 水無適
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「耳寄りな情報があるのだが……聞くか?」


「いくらだ?」


「我々の味方になってくれればいい」


「内容にもよるな」


「あなたが探している“灰色”を見つけましたよ」


「……そこまで調べがついているのか」


「どうです? 差し上げますが」


「いいだろう」


「では、こちらに署名を」


「ああ」


「これで契約は成立です。近いうちに、あなたの可愛い灰色も手に入るでしょう」


「それで、協力というのは?」


「こちらです」


「……旧王家の生き残りがいたのか」


「はい。金髪に緑の瞳。たいそう美しいそうですよ。場所は聖国です」


「……おや。運命とは皮肉なものだな」


「見つけ次第、始末してください」


「心得た」


ドアを閉め、男は手を二度叩いた。

すると三つの人影が姿を現す。


「聖国へ向かい、こいつらを捕らえてこい。殺すなよ」


「承知」


影は音もなく消え、廊下には男ひとりが残った。


「また会えるとはな……期待を裏切ってくれるなよ」


雷光に照らされた男の顔には、深い古傷が刻まれていた。



「おかえりなさい」


「おう、ただいま……随分と綺麗になったな」


「……レオン殿」


お嬢様の顔色が変わる。


「呼び捨てでいいと言っただろう?」


「……レオン、あなた何を連れてきたの?」


乾いた銃声が響く。

あの日と同じ、耳障りな音だった。


「初めまして」


「ずいぶん物騒な訪問ね。ご用件は?」


「あなたと……そこの方を連れて帰らねばなりません」


「……私とギルを?」


「ええ。ですから、抵抗はなさらぬよう」


周囲を見渡すと、すでに完全に包囲されていた。


「カリスタ様……お逃げください!」


「……あなた、なぜここに!?」


エリンのこめかみに、銃口が押し当てられる。


「撃たれたくなければ、大人しく従うことだ」


……まずいですね。

エリン様は紫の国の王が直々に遣わした方。

ここで失えば、国際問題に発展しかねません。

しかし、だからといって従うのも――。


「……わかったわ」


「お嬢様!?」


「いいから、従いなさい」


『分身して、私たちに半分つけなさい。人質を取られた以上、従うしかないの』


頭の中で、短い会話が交わされる。


『お嬢様……人質程度でご自身の命を差し出す方でしたか?

 私たちの記憶にあるあなた様は、自分の命が最優先だと理解していたはずですが』


『……いいから従いなさい』


『このままでは破滅を招きます。侍従は替えがききますが、王は違いますよ』


『……わかっているわよ』


『それなら、よろしいのですが』


「カリスタ様! 従ってはいけません!」


「ついていくから、その子を離して」


「…そんなっ!」


「断る。途中で逃げられては困るのでね」


「ギル、悪いけどついてきてもらうわよ」


「……」


「ギル?」


ギルの顔は、血の気を失っていた。

まるで、この世の終わりを見たかのような表情だった。


「ついていくわ。その代わり、私とギル、エリンには指一本触れないで」


「ご協力、感謝します」


滞在場所の外では、アルスの戦闘機が静かに待機していた。



「申し訳ありません……! 私のせいで、カリスタ様が……」


「大丈夫よ。エリン、怪我はない?」


「ありません。でも……カリスタが捕まってしまって……」


「気にしなくていいの」


「……っ」


エリンは涙をこぼし、何度も頭を下げた。


「いい子ね。

 ねえ……ギル、そろそろ話してくれる?

 あなたはなぜ、敵対関係にあるカトリーヌ伯爵のもとで騎士をしているのかしら?」


「……それは……」

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