表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朽ちぬ女王  作者: 水無適
52/59

52

勝てないとわかっているのに戦わなければいけないなんて、酷なこともあるものですね。


殿下を守りながらの斬り合いになるから、余計に難易度が高い。


ピタリと、相手の攻撃が止んだ。

その瞬間、お嬢様の思考が流れ込んできた。


(駄目、駄目!!!!!)


悲痛な叫びにも似たそれに、思わず体が反応していた。


ふと目を向けると、トカゲの首をめがけてギルが大きく振りかぶっていた。


「フロリス!」


悪魔は私たちをそっちのけにして、助けに向かっていた。

――が、遅かった。


血飛沫が上がる。

鈍い音を立てて剣が刺さり、首を貫通する。


まずい。

お嬢様の顔に血がかかる。


防がなければ……!


急ぎ、お嬢様を血から守る。


「ギルバード!!!」


「はい!」


「周りを見て行動しなさい」


「すみませんでした」


お嬢様の顔を見ると、すでに皮膚は溶けていた。


「守りきれず、申し訳ございませんでした」


「今すぐ……今すぐに洗い流したいわ」


「かしこまりました」


私たちは水魔法で、お嬢様の顔を洗い始める。

焼け爛れた皮膚は、水とともに流れ落ちていった。


痛ましかった顔は、さらに痛ましいものへと変わっていた。



「フロリス!」


「……」


「フロリス! 飲んで……飲んでってば……」


フロリスから、生きたいという願いが感じられない。


この短時間で、何が起きたというのだろう。

あの剣士と魔法士程度には負けない実力を、確かに持っていたはずだ。


生きる気力すら奪う何かが、あったというのか?


血を飲まないのはまずい。

このままでは、死んでしまう。


「ネレウス……」


意識はある。

まだ、助かる。


「いいから、飲んで!」


「あの時……見つけてくれて、ありがとう……」


真っ直ぐだった瞳は伏せられ、

温かかった眼差しは、暗く、冷たくなっていた。


なぜフロリスは死を選んだ?

問いたださなければならない。


大丈夫、全員がかかってきても生き残ることはできるはずだ。


「カリスタ様……?」


「ギルバード・ド・ルヴェイン」


「は、はい!」


「……私の名前を呼ばないで」


フロリスを殺した剣士の顔が、絶望に包まれた。


「陛下のご尊顔を傷つけてしまい、申し訳ございませんでした」


「そのことは別にいいの……

でも、あなたがルヴェインの血筋である限り、

私は……私たちは、あなたを許すことはないわ」


そう話す彼女の体は震えている。


「その話、俺も気になるんだけど?」


死んだものは、しょうがない。

だけど、死んだきっかけくらいは知りたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ