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扉がノックされる。
「入れ」
「やあ、カトリーヌ」
「フランソワか!どうしたんだ?」
「王家が動いた。陛下のもとへ刺客を送ったそうだ」
「伝えておこう。人数は?」
「二人だ」
「二人って、まさか……」
「ああ。戴冠式のときの、異常に強かった二人だ」
「やってくれたな。手紙を書く」
そう言うと、側にいた侍女がすでに手紙を用意していた。
『そちらに、戴冠式のときの二人が刺客として向かっている。注意せよ』
手短に書き上げると、すぐにカリスタの侍女へ向けて魔法で手紙を飛ばした。
「間に合ってくれよ……」
朝の清々しい空気は、一瞬にして重いものへと変わった。
*
夕方。
私たちは森で野宿の準備をしていた。
「お嬢様、カトリーヌ伯爵からお手紙です」
「読んで」
「……! ギルと殿下! お嬢様をお守りして!」
「了解!」
「カリン様は、周囲に人がいないか探知を」
「はい」
しん、と静まり返る。
「周囲に反応はありません」
「よかったです」
「手紙の内容は、なんだったの?」
「戴冠式のときの二人が襲いに来るそうです。あの混じり物だけなら何とかなるかもしれませんが、黒い方も来るとなると……危険です」
「次女殿がそこまで言うってことは、相当危険なんだな」
「皆さんには、まだお話していませんでしたね。二人の特徴ですが……小柄な方は黒髪で、とてつもなく強いです。少し大きい方は銀髪で、トカゲの血が混じっているため、こちらも注意が必要です」
「あれから二年経っている。彼らも、さらに強くなっているはずだわ」
「あの……トカゲって、何ですか?」
「ああ、ドラゴンのことですよ」
「ドラゴンのことをトカゲ呼ばわりかよ……」
「血の香りに惑わされないよう、気をつけてくださいね」
「わかった」
「とにかく、気をつけてくださ――」
「覚えていてくれたんですね」
背後をとられた?!
嫌な汗が全身を撫でる。
「お嬢様を守れ!」
急いでお嬢様を背にかばい、周囲を警戒する。
――まだ、もう一人の姿が見えない。
銀髪を靡かせ、少年は深く礼をした。
「お久しぶりです。お姫様」




