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朽ちぬ女王  作者: 水無適
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扉がノックされる。


「入れ」


「やあ、カトリーヌ」


「フランソワか!どうしたんだ?」


「王家が動いた。陛下のもとへ刺客を送ったそうだ」


「伝えておこう。人数は?」


「二人だ」


「二人って、まさか……」


「ああ。戴冠式のときの、異常に強かった二人だ」


「やってくれたな。手紙を書く」


そう言うと、側にいた侍女がすでに手紙を用意していた。


『そちらに、戴冠式のときの二人が刺客として向かっている。注意せよ』


手短に書き上げると、すぐにカリスタの侍女へ向けて魔法で手紙を飛ばした。


「間に合ってくれよ……」


朝の清々しい空気は、一瞬にして重いものへと変わった。



夕方。

私たちは森で野宿の準備をしていた。


「お嬢様、カトリーヌ伯爵からお手紙です」


「読んで」


「……! ギルと殿下! お嬢様をお守りして!」


「了解!」


「カリン様は、周囲に人がいないか探知を」


「はい」


しん、と静まり返る。


「周囲に反応はありません」


「よかったです」


「手紙の内容は、なんだったの?」


「戴冠式のときの二人が襲いに来るそうです。あの混じり物だけなら何とかなるかもしれませんが、黒い方も来るとなると……危険です」


「次女殿がそこまで言うってことは、相当危険なんだな」


「皆さんには、まだお話していませんでしたね。二人の特徴ですが……小柄な方は黒髪で、とてつもなく強いです。少し大きい方は銀髪で、トカゲの血が混じっているため、こちらも注意が必要です」


「あれから二年経っている。彼らも、さらに強くなっているはずだわ」


「あの……トカゲって、何ですか?」


「ああ、ドラゴンのことですよ」


「ドラゴンのことをトカゲ呼ばわりかよ……」


「血の香りに惑わされないよう、気をつけてくださいね」


「わかった」


「とにかく、気をつけてくださ――」


「覚えていてくれたんですね」


背後をとられた?!

嫌な汗が全身を撫でる。


「お嬢様を守れ!」


急いでお嬢様を背にかばい、周囲を警戒する。

――まだ、もう一人の姿が見えない。


銀髪を靡かせ、少年は深く礼をした。


「お久しぶりです。お姫様」

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