表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朽ちぬ女王  作者: 水無適
16/51

16

部屋のドアがノックされる。


「陛下、一緒にディナーはいかがですか?」


カトリーヌがお嬢様を夕食に誘った。


「いいですよ」


お嬢様は柔らかく微笑み、応じる。


「あと、私のことはカリスタと呼んでください。せっかく名前があるのですから」


「それは…」


自分の半分ほどの年齢の少女とはいえ、仕える主の名前を呼び捨てにするのは少し気が引けるようだ。だが、お嬢様は名前の呼び方で親しさを感じている。私たちは小声で耳打ちした。


「…魔法の言葉です!」


怪訝そうな顔を向けられたが、実行するお嬢様。


「…お願い、お父さん」


部屋に衝撃が走る。上目遣いの潤んだ瞳、眩しすぎる…直視できない!


「ぐはっ」


カトリーヌの声が聞こた。心中お察しします。やがて正気を取り戻したのか、口を開いた。


「では、カリスタ、向かいましょう」


お嬢様の顔がぱあっと明るくなった。うっ、眩しい…。


「街の視察はどうでしたか?」

「民の生活を身近に感じられて、良い勉強になりました。それに、ギルとも仲良くなったんです」


嬉しそうに語るお嬢様に、思わずニヤけてしまう。


「そうですか、楽しめたみたいですね!」

「ええ」

「ところで、このあと一局どうですか?」

「いいですよ、手加減は無用です」

「…!ありがとうございます」


父離れしている娘に構ってもらえた父親のような反応だ。

興奮すると鼻息が出るのは、やはり太っているせいでしょうか。



「…また負けました。本当に強いですね」

「いえ、今回は少し危なかったです」


お嬢様はチェスでも強い。戦場でも優れた指揮官になりそうだ。


「ああ、いつの間にかこんな時間に…」

「あら、本当ですね」

「もう寝ましょう」

「…はい。おやすみなさい」


子供扱いされたと思ったのか、不満そうに寝室に向かうお嬢様。見送ったあと、カトリーヌに尋ねた。


「カトリーヌ様、どうするのですか?」

「何をだ?」

「王家が動いているのは知っているでしょう?」

「ああ、その件か」

「旧王家派である上にカリスタ様のことを知られてしまった以上、黙ってはいないでしょう」

「だが、我が家門は王国一の武力を持つ。表立って攻撃を仕掛けるほど愚かではない。現に暗殺者を送り込むことしかできていない」

「そう…ですよね」

「なぜそんな歯切れの悪い言い方をするのだ?」

「いや、なんとなく嫌な予感がして」

「起きていないことはどうにもならん。情報は集めているがな」

「これからの動きを考える必要がありそうです」

「そうだな、近いうちに会議を開こうと思う。陛下も交えてな」

「わかりました。では、良い夜を」

「ああ」


暗闇の中、私たちは夜の警備についた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ