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朽ちぬ女王  作者: 水無適
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街の探索を終える頃には、お嬢様はすっかり体力を使い果たし、ギルバードの腕の中で眠ってしまった。

「すっかり仲良くなったんですね」

「ええ。ほんの少しでも心を開いてくれたのが嬉しい」

寝顔を見下ろすギルバードは柔らかく微笑んだ。


「仕事仲間だし、ギルと呼んでくれ」

「わかりました、ギル」

どうやら彼は私たちとも親しくなる気があるらしい。


「ところで、カトリーヌ様から私たちについては?」

「カリスタ様の幼少期から仕える侍女たちだと」

「なるほど。……では、これからもお嬢様を頼みます」

「はい!」

頼られたことがよほど嬉しいのか、ギルは破顔した。カトリーヌが私たちの正体を伏せていることも確認でき、少し安心する。


それにしても……お嬢様の寝顔、可愛すぎです!!!!

寝息が天使のささやきにしか聞こえません!!!



翌朝。

「お嬢様、どうして籠っているのですか?」

閉じた扉をすり抜け部屋へ入ると、そっぽを向いたお嬢様が小声で言った。


「……一人にして」

「何かありましたか?」

「……人前で寝るなんて恥ずかしいわ。もう十六なのに」


思わず顔を見合わせて笑ってしまった。なるほど、それが理由ですか。


「お嬢様、部屋から出ましょう。ギルも心配していますよ」

「ギル?」

「昨日、ギルバードご本人がそう呼べと」

「……私は言われてないのに」


ふてくされた!?

外へ出る気になったのか、着替えを催促された。


食卓に現れたお嬢様は、頬を膨らませながら挨拶する。

「おはよう、ギルバード」

「……お嬢様?」

「何?」

「いえ、なんでもありません」

圧に負けたギルが黙り込む。……この状況、最高に面白いですね。


しばらくして、ギルが小声で私たちに尋ねてきた。

「お嬢様は、なぜお怒りなのですか?」

待ってました!とばかりに笑いをこらえる。

「怒ってはいません。拗ねているのです」

「……拗ねて?」

「昨日、私たちには“ギルと呼べ”と許可しましたよね?」

「ええ」

「お嬢様には?」

「……! そういうことですか!」

「お食事が終わったら、そのお話をなさるとよろしいでしょう」

「ありがとうございます!」

「では、邪魔にならないように私たちは席を外しますね」


まっすぐで素直な騎士だ。腹の探り合いばかりの生活に慣れていた私たちにとって、妙に眩しい。悪くありません。


「これからも、こんな明るい日々が続くといいですね」


そう呟きながら、庭に忍び込んでいた暗殺者を静かに始末した。


「今日はいい天気ですね」

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