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「私に従いなさい」
月明かりが薄く揺れる部屋で、彼女は静かに言った。
「ええ、誓いましょう。この命にかけて」
「よろしい」
「第一、私たちは貴方が創ったものです」
「世の中に絶対なんてないのよ」
幼くても、彼女の瞳は光を失っている。
まるで、何かを見てきたかのように――冷たく、深い闇がそこにある。
ーー
「ねえ、紅茶を淹れてくれる?」
「すぐに用意します」
私たちはすぐに動く。
彼女の望みを、迷いなく叶えることができるのは、私たちが彼女にのみ従う者だからだ。
「……あまり美味しくないわね。下げて」
「練習します」
「当たり前よ」
彼女はどこにも居場所がない。家でも、世界でも。
でも、私たちがいる。
「今日もお嬢様は可愛いわね」
「ええ、可愛いわ」
だが、日常には影が潜んでいる。
ノックもなくドアが開く。
私たちは不快に顔をしかめ、追い出そうと動く。
「そのままでいいわ」
彼女の声で、私たちは動きを止める。
「ああ、ムカつく、ムカつく、ムカつく!」
姉がやってきた。
時に殴り、蹴り、酷いときには熱湯を浴びせる。
私たちは排除の時を待っている。
だが、彼女は手を出すなと命じる。
「早く治しなさい」
「……始末すれば解決しますか?」
「そうかもしれない。だが、疑われるのは誰?父親は私以外にもスペアを用意している。動くのは得策ではないわ」
「……わかりました。治療を続けましょう」
治療は痛みを伴う。だが、彼女は声も上げず、耐えている。
彼女は美しい。
プラチナブロンドの柔らかな髪、宝石のような緑の瞳、陶器のように滑らかな肌。
幼くても、完成された美。
私たちはその美しさを守るために、時間を惜しまない。
だが、あの女――姉は、すべてを壊した。
しかし、それもまた、私たちの愛するご主人様の物語の一部。




