裏切り
色鮮やかな花がテーブルの中央に飾られ
お父様 お義母様 ミシェルそして私がテーブルで
食事をとっている
「……そうか この花はクロエが飾ってくれたのかい この部屋がいっそう明るく感じるよ そう思わないか シェリル?…シェリル」
「……そう そうですね とても綺麗です」
「私もお母様を手伝いましたのよ お父様」
「そうなのかい ミシェル 」
お父様……お父様は私のお父様なのに
ミシェルが躊躇なく(お父様)と呼んだことに少し怒りを覚えた。
クロエもミシェルも明るく優しい
私のことも気にかけてくれている
でもいきなり家族とは 難しい
ある日私は本を読もうと書斎へ向かっていると
人の話し声が聴こえてきた
メイド達がおしゃべりしている
私は気にせず通り過ぎようとすると話の内容にピタッと足を止めた と同時に身体が震えた
「でもご主人様も隅に置けないわよね マリエル様がいたのにクロエ様とも逢瀬していたなんて」
「しかも 同じ年に子供も産ませるなんて」
「信じられないわよね〜名前もシェリルにミシェル
シェリル様が可哀想」
「マリエル様もよ 知らないまま天国に召されて」
「クロエ様もよく堂々と後妻になったものね」
「ご主人様もよ 私軽蔑するわ」
「ダメよ 下手なこと言ったらお給金減らされてしまうわよ」
「そうね ここは静かに過ごしましょう」
遠ざかる足音
私は柱にもたれかかり両手で口を押さえた
私はムカムカと吐き気がして書斎には行かず私室に戻った。
部屋に戻ると涙が溢れてそのままベッドに伏せた。
お父様はお母様だけでなく クロエ様ともお付き合いしていたなんて………
だから ミシェルはお父様と呼ぶのはいつも呼んていたから
髪の色も瞳の色もお父様と同じ……
何もかも腑に落ちた
お父様はお母様を愛していると言ったわ
愛って………なんなの?