22-3:洒落怖とは何か改めて説明してみた!
「がうっ! がうっ!」
「ピィィィ!」
「あはは、ただいま、もじゃにピー助。
あ、どうぞ上がってください」
「ん、あぁ。失礼する」
気付けばヨッシーはひとりルチの教会に招かれていた。
自分達は中央駅から列車に乗ったはず。
だがそこからの記憶がぽっかりと抜け落ちている。
一般通過イエロートップと一般通過フタバスズキリュウを相手に愛おしそうに餌を用意するルチ。
ケーンさんは既に別のところに家を借りたらしいが、この2匹の世話は彼女が続けているそうだ。
一般通過の言葉では済ましていられないどうみてもUMAの2匹だが、今はそれよりも大きな問題がある。
そう、今自分達は、明らかに何かしらの怪異に巻き込まれている。
記憶こそ曖昧だが、のっぺらぼうのキリヤと百鬼夜行を見たような記憶もあるのだ。
(くそっ、僕はこんな創作めいた怪談は信じていないし、洒落怖も嫌いだ。
そもそもあのスレッドは怪異情報を集める場所ではないだろう)
ここで改めて、洒落怖の解説字幕を出しておこう。
・洒落怖
洒落怖とは、2chオカルト板のスレッド「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」の略称。
「八尺様」「コトリバコ」「くねくね」「ヤマノケ」「巨頭オ」「裏S区」「海からやってくるモノ」「両面宿儺」「リゾートバイト」などオカルトに興味がない者でもどこかで聞いたことがあるような怪談はここで誕生している。
スレッド名が示す通りひたすら怖い話を蒐集することのみを目的にしており、初代の時点から「ひたすら怖ければ他人の話や本や漫画からの引用、自身の創作でも構わない」とされており、それ故にほとんどが実際に起きた怪談、怪奇現象とは考えにくい。
ただし、いくつかは実在が疑われており、特に「コトリバコ」は洒落怖を代表する傑作でありながら未だに投稿者不明。
さらには島根県で似たような風習を持つ地域の存在が噂されており、創作であるにしても元ネタがある、もしくは、執筆者に深い民俗学的素養が垣間見える。
流行り物の常というべきか「コトリバコ」が投稿され大騒ぎになるや否や似たような話が連続投稿されるなどネット掲示板特有の効果も存在しており、結果的に言えば最高の「木を隠すなら森の中」になっている。
オカルトを真面目に研究したい者にとっては頭が痛くなるスレ。
なお2ch初として有名だが「きさらぎ駅」「NNN臨時放送」は洒落怖のものではない。
(先程からの行動記憶が完全に物理的に整合性が取れない。
いっそ素直に怪異かただの夢だと認めてしまえばどれだけ楽になるか。
ユウキとサダコ姉は今回まるで頼りにならん。
あの2人はこんな怪異ワールドに迷い込んでしまったらしばらくは楽しむことをやめられん。
真面目な考察をはじめるまでにはタイムラグが生まれるはずだ。
その間にこの僕のメンタルが持たん!
くだらない創作と理解しつつも怖いものは怖いのだ!)
残念ながらこのヨッシーの予想は完全に的中しており、今頃は。
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259 :さだこ ◆KkRQjKFCDs:2004/01/09 01:12
そうですね、パニックになっていて気が付きませんでした。
線路に沿って歩きながら友達からの電話を待ちます。
先程アイモードのタウン情報で調べてみたのですがポイントなんとかエラーってなってしまいました。
早く帰りたいです。
遠くの方で太鼓を鳴らすような音とそれに混じって鈴のような音が聞こえているのですが、正直もうどうしたらいいのかわかりません
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なお、言うまでもなくまるでパニックになどなっておらず。
「わ~! わ~わ~! ほんとに聞こえるわ~!
すごいわすごいわ~!
もう夢でいいからもう少し~!
もう少しだけ~! わ~~~!
かたす駅の看板だ~~~!
写真撮らなきゃ写真~!
異世界最高~!!」
いや、ある意味でパニック状態だが。
ユウキの方も。
「……あぁ! くそっ! またやり直しだ!」
目の前にあるのは再び0までカウントが戻った出口の表記。
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異変を見逃さないこと
Don't overlook any anomalies.
異変を見つけたら、すぐに引き返すこと
If you find anomalies, turn around immediately.
異変が見つからなかったら、引き返さないこと
If you don't find anomalies, do not turn back.
8番出口から外に出ること
To go out from Exit 8.
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「へっ……へへっ、燃えてきたぜ。
まさかこんなリアルな体験で楽しめるなんて、流石は異世界、なんでもありだ。
VRじゃこんなん絶対に経験できねぇ。
怪異の原因は気になるがもう少し、もう少しだけ楽しませてもらうぜ。
それになにより……」
ぬぅっ、とユウキの影が伸びていく。
「来たか! スレンダーマン!
今度こそ逃げ延びてやるぜぇぇぇぇええええ!」
自身の能力がほぼ一般人状態のままであるということで、リアルクトゥルフの呼び声ごっこを楽しんでいる始末。
こちらもだいぶかかりそうだ。
(あぁもう! だからオカルトマニア共はクソなんだ!
僕は純粋な気持ちでオカルトを暴きたいのに!
何故大事なところで僕の邪魔をする!
ユウキもサダコ姉も今度コトリバコの真相を調べに島根に行こうと真面目に僕と次回の動画の相談をしていたじゃないか!
奴らにとってのオカルト研究など所詮、噛みすぎて味のしなくなったガムで別の遊びをはじめるようなものだということか! 畜生!)
哀れ、こうしてまともな人間から消えていくのは世の常か。




