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異世界オカルトチャンネル! ~(怪談+科学+民俗学)×異世界 /(Q+S+F)I ⊢RICK~  作者: 猫長明
第1部接触編、最終4章「天使たちの信仰編」

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15-1:霊媒師や予見者が盲目の場合が多い理由を社会的に考察してみた!

「改めまして、吟遊詩人で霊媒師で孤児院経営のルチ・レモンです。

 よろしくお願いします。異世界人のみなさん」


「こちらこそよろしく~。私は~……」

「サダコさんですね。存じております」

「あら、有名人~。

 というか、異世界人ってのも知ってるし~」

「庁舎の天使で噂になっていますよ」

「な、なんだか照れるな、ヨッシー」

「やりづらくなるだけだろ……」


 午前8時。

 夕方まで店を閉めるというところで、改めて当面の宿屋を探すかと外に出たところでルチに声をかけられた一同。

 こちらの事情を知っていた彼女は、もしよろしければということで、自身が経営する孤児院を宿として提供すると申し出てくれたのだった。


「孤児院は町外れの丘です。ご案内します」

「ありがたいわ~、それでもしよかったらなんだけど~、手を繋いでもいいかしら~?」

「はあぁっ!? さ、サダコお姉様、何言ってんですの!?」


 思わずキャラが壊れる小動物。


「もちろんです。

 こちらからもお願いします」

「ありがと~」

「な、なら私もいいですよね!? いいですよね!?」

「構わないわ~。

 両手に花とはこのことね~」


 毎度サダコ姉が突然おかしなことを言い出すのにいちいちツッコミを入れていたら参ってしまうのでスルー。

 なんか対抗心燃やしてる小動物もスルー。

 一気に軽くなった財布の中身はスルーできないが、その財布に定期的に入ってくる金を稼いだのはこの小動物だからどうにも強く言えない事情もある。

 あれ? もしかしてこれは紐なのでは?


「ん」


 道を歩いていて、サダコ姉が突然足を止め、それにあわせてルチも足を止める。

 一方のキリヤは片手を後ろに引っ張られる形になりながらもそのまま前に進み。


「おっと!」


 足元に飛び出してきた猫をジャンプで回避した。


「見ましたかお姉様! にゃんこですにゃんこ!」

「かわいいわね~」

「猫は私も好きです。

 このあたりですと、キジトラでしたか?」

「いや、三毛猫だったわね~」

「おや、縄張りを移動してきた子がいるようですね」


 そんな会話を飲気に眺めつつあくびをするユウキ。


「女共はいいねぇ。気楽なもんだよ」

「そうか。お前にはそう見えるか」

「あん? なんか棘のある口調じゃねぇか。

 なんだってんだ?」


 ユウキが苛立ちを示すと、ヨッシーはユウキの手を引き、前の3人と距離を取ってから小声で囁いた。


「ルチさん、おそらく目がほとんど見えていない」

「え、まじか? いや、確かに言われてみれば……」


 思い起こされるのはあの時の目。


――やっと振り返ったな。


 改めて全身に鳥肌が立つ。

 あの目は、こちらを見ているようで若干その焦点があっていないような違和感があった。

 結果的に、それが絶妙な違和感としてこちらの恐怖を煽る効果となったことから、それも含めてルチの話芸だったと捉えてしまったのだが、なるほど。

 そういうことか。


「それに、黒い肌の天使を僕はルチさん以外に見ていない。

 片翼の天使もだ。

 お前もオカルトに詳しいなら、これがどういう意味かわかるだろう?」

「……堕天使か」

「そういうこと。

 失明と堕天がどう関係しているのかはわからんが、孤児院経営とあわせて、あまり良い扱いを受けていないことは想像に容易い」

「くそっ。

 そういうのはエルフの里の時みたいな勘違いか取り越し苦労だとありがたいんだがな」


 ユウキの表情が曇る。

 神も天使もこの世界では人の亜種。

 そういう汚いところはそのままか。


「吟遊詩人で霊媒師という方はもろに失明と繋がっているのだろうがな」

「盲目の吟遊詩人ってと、琵琶法師だな」


・琵琶法師

平家物語を語り歩いた盲目の音楽家。

盲目のハンデを背負ったまま社会保障もない世界を生き抜くため、音楽芸能を学び他人からの恵みを得て生活していた。

勘違いされがちだが、特定個人の名称ではなく、当時は京都だけで500名ほどの琵琶法師が活動していたらしい。

最も有名な琵琶法師はおそらくだが小泉八雲の怪談で語られた耳なし芳一。


「そういう文化は日本だけじゃない。

 黒人の音楽家にも盲目の方が多い。

 目が見えなくなることで他の感覚、特に音感が成長するというのはあるのかもしれないな。

 霊媒師の方でもいろいろ思うところがあるだろう?」

「恐山のイタコ、20世紀最強の預言者ババ・ヴァンガ……最近じゃモンゴルでシャーマンが増えて社会問題化してるって話も聞くな。

 これも目が見えなくなることで第六感に覚醒したって解釈かな」


・恐山のイタコ

青森県の恐山で死者の霊魂を下ろす口寄せの術を生業とする女性たち。

今はその限りではないが、かつてはほとんどが盲目だった。

その技はどうにも胡散臭く、コントのように見えてしまうこともままある。

かつてテレビ番組の中でマリリン・モンローの霊を下ろしたイタコが発した「マリリン・モンローだす」の発言はあまりにも有名。

しかし、彼女らには本来別の目的があった。後述。


・ババ・ヴァンガ

ブルガリア人の預言者。

本名はバンゲリヤ・パンデバ・ディミトロバ(1911~1996)で、ババはブルガリア語でおばあちゃん。

12歳の時に竜巻に巻き込まれ失明、以後予知能力に覚醒する。

予言の的中率は70~80%で、第二次世界大戦勃発、チェルノブイリ原子力発電所事故、ソ連崩壊、911テロ、東北震災、新型感染症などを予言。

あのヒトラーも戦況を訪ねに来たとされ、その力はブルガリア政府が外交カードに用いるほどだったとまで言われる20世紀最強の預言者。

なお、人類絶滅は西暦5079年。

原因はすべての人類が並行宇宙もしくは仮想世界に移動してしまうため。

その終末予言は最新の宇宙物理学を学ぶ身としては極めてリアルであり、それが本当に当時既に80歳以上だった盲目の老婆の口から出た言葉なら、僕も信じざるにはいられないかもしれない。


・シャーマン社会問題

中国とロシアに挟まれたモンゴルでシャーマンの数が急増し社会問題化している現象のこと。

現在、国民の2%ほどがシャーマンとなっており、病気になった際には医者に見せる前にシャーマンに見せるのが当たり前。

良くも悪くもそれだけシャーマンという職業で生計を立てることができてしまうモンゴル社会に問題があると考えられる。

詳細は後述。


「そういう考え方を否定する訳では無いが、社会が盲目の方に役割を与えるセーフティーネットを形成したと僕としては言わせてもらう。

 イタコは元々そういう役割だ。

 第六感を否定する訳では無いが、僕の立場的にな」

「まぁ、俺は霊感とか未来視とかそういう第六感めいたものがあると信じてはいるが、科学的に証明できないことも理解しているさ」

「本当は証明できれば、いいんだけどな……」


 ヨッシーが弱々しくため息をつく。

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