第19章総集編+「山の怪異の全部盛り! まとめて考察してみた!」
「おとーさんといっしょ、おとーさんといっしょ」
「やけにテンションが高いな。
普通この年代の子は母親の方に懐くものじゃないのか?
あと、僕はお父さんではないぞ」
「おとーさんはおとーさんだし、おかーさん達は頭悪いから」
「うん、まぁ、それあまり2人の前で言わない方がいいぞ。
何故か事実を言うだけで怒る人が多いんだよ。
身につまされる話ではあるが」
「不思議だよね」
「それで、結局どうして君は僕たちのことをおとーさんと呼ぶんだ?
それと、今回の最後で君は何に気付いたんだ?」
「んー、それは秘密なんだけど」
「何故だ?」
「秘密にした方がアンジャッシュ感あって面白いから」
「あ、はい」
「でも今回はメタ時空だし最後に教えてあげるよ」
「それは楽しみだな。
では解説を進めていこう」
その間の抜けたひらがな4文字が敗戦国、浦和・大宮・与野の新しい名前でした
―――――――――――――――
「前半がコードギアス(2006)かと思ったら突然翔んで埼玉(2019)が始まっていた」
「いくらなんでもパンジャドラムで蹂躙される日本は見てられないよ」
「しかし、実際に幕末に日本がイギリスに植民地化されかけたタイミングはあったがな。
戊辰戦争の結果次第では歴史のIFが始まっていただろう。
それもこれも、アヘン戦争とアロー戦争で中国が悲惨な状況になった様を見聞きしていたおかげで回避できたIFだな」
「もしもその時に支配されていたら、本当にこんな感じで分割統治されてたんだろうね」
「イギリスだからな」
「イギリスだからね」
小さい子の前で対魔忍とか言うんじゃない!
―――――――――――――――
「対魔忍シリーズ(2005)と言えば感度3000倍だけど」
「当然のように対魔忍の話をはじめるんじゃない!」
「知らないのおとーさん。
対魔忍は全年齢のゲームアプリも出てるんだよ」
「それは2018年リリースな!
今のカッコの中身それより前の年だよな!?」
「それで、実際に感度が3000倍になるとどうなるの?」
「……まぁ、そういう話なら僕の好きな柳田理科雄(1961~)先生の空想科学読本(1996)のような話になるし、まぁいいだろう。
よくある話で、感度が3000倍になると痛みも3000倍になり発狂してしまうのではないかと言われるが、僕はそうはならんと思うな。
あくまでただ『感度』だけが3000倍になるならな」
「どういうこと?」
「わかりやすい例を出そう。
犬の嗅覚は人間の1000から1億倍優れていると言う話がある。
しかし、犬はニンニク料理や唐辛子料理を作っている部屋でも発狂して死ぬことはないだろう?」
「なるほど。確かに」
「一方で麻薬探査犬や災害救助犬は、人間ではとても感じられないわずかな匂いを効果的に扱い任務を果たすことができる。
この時、別の匂いに上書きされて妨害されてしまい、ということも起こりにくい。
これらの任務に就くシェパードの嗅覚は人間の4000倍と言われるから、実質感度3000倍の対魔忍と大差ないな」
「シェパードは対魔忍だったんだ」
「……すまない、そこは訂正させてくれ」
「つまり、感度3000倍というのは感じられる感覚の量が3000倍になるわけじゃないの?」
「感覚の『精度』が3000倍になるんじゃないかな。
3センチの長さだと思っていたものが、3.1412センチだとわかるようなものだ。
同時に0.0001センチの物も確認できるようになるが、その程度の情報量の増加でバグるほど人間の脳はチャチじゃない」
「なるほど。つまり対魔忍の感度3000倍はそんなに大したことではなくて、ゴムの薄さを0.01ミリにまで薄くする技術みたいなものだね」
「その通りなんだが、僕は君が将来サダコ姉みたいにならないかが心配でしょうがないよ」
立体機動装置は使わないようだ
―――――――――――――――
「進撃の巨人(2009)だね。
紅蓮の狩人のイェーガーって叫ぶとこがかっこいいよ」
「イェーガーはドイツ語で狩人だな。
前回師匠に稽古をつけてもらったが、ドイツ語にするとなんでもかっこよくなる」
「私もゲルググJ好きだよ」
ていうかなんでガンダム用語が異世界で常識化してるんだ
―――――――――――――――
「ガンダム用語しりとりはいくつムで始まる単語を知っているかのゲームになりがちだな」
「だいたいどの音からでもガンダムに繋げられるし、そもそもムで始まる単語が多くないからね。
それでお父さん、ゲルググJだよ」
「じゃぁ、ガンダム」
「武者ガンダム」
「……これ、武者シリーズを全部覚えるのがスタートラインだな?」
「そうとも言うね。
縛りしりとりは極めようとするとこういうそれほど面白くない攻略法が見つかることがあるから、極めようとしない方がいいよ」
「研究しない方がいいジャンルもある……身につまされる話だ」
「ちなみにポケモンしりとりはルで攻めるのがポイントだよ」
「ルではじまるポケモンが少ないからか?」
「8匹しかいないよ。その反面、終わりがルのポケモンは82種もいるよ。
それと、スで始まってルで終わるポケモンはいないよ。
これを理解した上で初手ルチャブルを繰り出せば理論上負けないよ」
「なんだか子供の頃に◯×ゲームの必勝法を見つけてしまった時のような虚しさを感じたよ」
それサダコ姉の前でやると機嫌悪くするだろうからやめるんだぞ
―――――――――――――――
「結局どうしてUCシリーズ(2007)って嫌われてるの?」
「非公式設定を公式の正史ですみたいな感じで話に組み込むからじゃないか?
福井晴敏さん(1968~)の中ではサイコフレームはイデオナイトらしいし、当然NT-Dの元ネタとしてのEXAMも意識されていたからな。
Gガンダムみたいな所謂アナザー宇宙世紀物なら別に好き放題やられても気にしないんだがな。
まぁこのあたりが、本当に原理主義の宗教対立みを感じる。
何故人が宗教で争うのかを日本で実体験したいならガンダムを学ぶといいぞ」
「でもUCのプラモはみんな好きだよね」
「ガンヲタは偶像崇拝という一点においてのみひとつになれるんだ」
これが怪異の……聞き取り調査のやり方なのか……!
―――――――――――――――
「この方法は山の怪異の第一人者であらせられる田中康弘さん(1959~)が自身の取材方法を語った際にお話されていた手法だな」
「田中さんはもう66歳でいい加減山歩きが辛くなってくるはずだからね。
山の文化を絶やさないためにも、後継者に現れてほしいね」
仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺し、羅漢に逢うては羅漢を殺し、父母に逢うては父母を殺し、親眷に逢うては親眷を殺して、初めて解脱を得、物と拘わらず、透脱自在なり!
―――――――――――――――
「マジンカイザーSKL(2011)? 装甲悪鬼村正(2009)?」
「僕は本当に君の将来が心配になることがある。
だからここに関しては正しい知識を身に着けてくれ。
これは仏教の流派の1つ、中国の禅宗五家筆頭、臨済宗の教えだ。
日本には栄西(1141~1215)によって持ち込まれている。
意味は、物事の真実は常に己の内面にあり、真理を説こうと外から近寄る者はそれが仏や親であっても拒絶しろという教えだな。
真実は1つではなく、人によって異なるものであるが故に、個人は己の真実を己で形作らねばならないという意味であると僕は解釈している」
「ただのかっこいいフレーズにしか聞こえてなかったのに、そんな深い教えだったんだ。
おかーさん達なら最初から装甲悪鬼村正の誰のシナリオが好きかで語り合った後でLEGEND of KAISERを2人で熱唱して終わるよ」
「正直あの2人を母親と仰がせておくくらいなら、僕が父親であると認めた方が君のためのような気がしてきたぞ」
ヒグマや山の神、空海さんだってぶった斬ってやりますよ! でも、幽霊だけは勘弁です!
―――――――――――――――
「でもこっちは特攻野郎Aチーム(1983)なんだね」
「だから多分キリヤさんも本当の意味がわかっていないんだよ」
「キリヤさんも装甲悪鬼村正大好きだしね」
「改めてどうしようもないやつらしかいない世界だ」
鵺の声とされたものの正体が、トラツグミって鳥だったのは有名な話
―――――――――――――――
「ここだけ少し補足しておこう。
トラツグミが鵺の声と言われた起源は古く、もはやそういうものという定説になっているが、実際にトラツグミの嗚き声を聞いてみるととてもそんなおどろおどろしい声には聞こえない。
僕にはムクドリのギャーギャーという音の方がよほど恐ろしいな」
「古くから言われているからこそ、そういうもので思考停止して正体の考察を放棄しちゃうパターンがあるんだね」
「鳥の嗚き声まわりはそういう話が特に多い。
有名なブッポウソウの嗚き声のエピソードとかな」
「ということは、山で聞こえる人の声の正体は?」
「おそらくだが、村の放送じゃないかな。
田舎に住んでいると、スピーカーから放送が流れるなんてのは日常茶飯事だ。
その上で山の空気は澄んでおり音が遠くまで届く一方、複雑な山の地形によって同じ程度の距離でも放送が聞こえる場所と聞こえない場所の差がでてくる。
この不思議が怪異とされることは十分に考えられると思うよ」
おち◯ちんもホモも嫌いな女子なんていない
―――――――――――――――
「げんしけん(2002)の大野さんの名台詞だね」
「真理だな。美少女キャラの嫌いな男などいない。
お互いが好きなものを好きなものとして認め合うことが何より大切だと僕は思うよ」
大奥よろしく、ここで『まぐわえ』と言い出さないだけありがたく思いなさい
―――――――――――――――
「それで、よしながふみ先生(1971~)の大奥(2004)だね」
「そういうシーンばかりが有名になるからつい色眼鏡がかかってしまうのだが、普通に歴史ものとして面白い話で僕は好きだぞ」
「おとーさんはホモなの?」
「だから!」
なら多数決する? 好きでしょう? 民主主義
―――――――――――――――
「コードギアスだね。冒頭の伏線回収?」
「これだけ息を吐くようにパロネタを使うんだから、どうせ偶然だろ」
ヘンリー8世を普通の基準に考えるのはやめてくれメンス
―――――――――――――――
「イングランド王ヘンリー8世(1491~1547)は、妻キャサリン・オブ・アラゴン(1487~1536)と離婚したかったというだけの理由でカトリックの法に対立しイングランド国教会を独立させてしまった人物だな。
この時に対立したカトリックの教皇がクレメンス7世(1478~1534)だ」
「でもやめてくれメンスの由来はアメリカのメジャーリーガー、ウィリアム・ロジャー・クレメンス(1962~)で、このフレーズは2ちぇんねるのなんでも実況板、通称なんJ発祥のネットスラングなんだよね」
「なんでも実況と言いつつ、すぐに野球実況がメインになってしまうわけだが」
「世界史にネットスラングに野球にと忙しいね」
今日1日、無事に務めた、ということは
―――――――――――――――
「今日はトリスハイボール(1946)とポケモンカード(1996)だったね」
「懐かしいCMを脳内検索するのも大変になっていそうだ」
美味しいですよ! 内臓も回復薬になります!
―――――――――――――――
「実際に猟師さんは熊の胆とまむし酒をエリクサーか何かと勘違いしているよね」
「興奮剤としての効果はありそうだな」
「ところでまむし酒って酒税法」
「それ以上いけない」
まぁ仲間を呼ぶタイプの敵って、謎に無限湧きするしな
―――――――――――――――
「話の落ちを知った後だといたたれまないシーンだ」
「稼ぎのためにコントローラーを固定して寝た経験のない人だけ石を投げるといいよ」
「すまないニンフィア」
9と12の方は、狩りの際に9人12人で行わないと聞いたな
―――――――――――――――
「どうしてもこの人数になってしまう場合、人形を作って数をずらして山に入るらしいね」
「人形を作って数を……あぁ、それでホムンクルスの君が」
「そういうこと」
DNAのプリインストールアプリに数億年間登録されっぱなしなんでしょうね~
―――――――――――――――
「新しいPCやスマホを買ったらまずプリインストールアプリを消すよね」
「それができないのが人間の欠陥だな。
おかげでSNSの構造にハマってしまう。
もはや意識せねば認知のバグから抜け出せないのだ」
「罠をかけて獲物がかかっていないかを頻繁に確認する系アプリが、SNSの投稿にリプがついていないか頻繁に確認する動作に転用されてしまっていて、リプがついていた時の報酬を脳がブーストしちゃうんだよね」
「そうだな。このシステムは人間の本質だから、やめるのは難しい」
「別の形で欲求を代用すればいいと思うよ」
「たとえば?」
「オートの因子周回とか?
これ、次の因子レポートで青3にするつもりらしいけど」
「確かにSNSよりも有意義な……いや、どうなんだ?」
「すごい因子出た時の興奮はすごいから健康的な麻薬だね。
今は報酬倍だし、半日やってるだけでジュエルも1日に200個くらい増えてくしお得だよ。
コツを掴むと目覚まし時計も減らないどころか増えていくし。
スタミナドリンクはとっくに枯渇してるけど。
今収録してる隣ではトプロ委員長がずっとダート3冠ローテ走ってる」
「まだ走ってるということはそっちは満足できてないのか」
「真髄2種と芝遺伝子を全部持ってる青赤1欠けの個体はそうそうでないよ。
1欠けで妥協するか、レポート2枚使うかになっちゃう。
もう100人越えてるんだけど」
「よくわからんが大変そうだ」
キツネ目の男からのお菓子など受け取れるものか
―――――――――――――――
「キツネ目の男といえば、グリコ森永事件(1984)の犯人だね」
「ジャック・ザ・リッパーの時にも思ったが、こういう劇場型犯罪の類はわくわくしてはいけないとわかりつつもわくわくしてしまうんだよな」
恐る恐る崖下を見ると、そこには巨大なタヌキが頭から血を流して息絶えていた
―――――――――――――――
「キツネは脅して謝らせたがタヌキは殺すんだな。
ナイノメがそうしろと言うならまだわかるんだが……」
「キツネとタヌキに騙される類の話は多いけど、そのうち命を狙うパターンの割合はタヌキの方が圧倒的に多いよ。
特に四国のタヌキは見た瞬間に殺した方がいいかな。
反面キツネはえっちな体験をさせてくれたり、最後は悲しい結末に終わるケースが多いみたい」
「ゴン、お前だったのか」
流石にスーパーカミオカンデは用意できない
―――――――――――――――
「岐阜県飛騨市神岡町旧神岡鉱山内の世界最大の水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置だな」
「確か一般見学も受け付けていたけど、ここに行けば本物のチェレンコフ光が見られるの?」
「確かにスーパーカミオカンデではチェレンコフ光を観測しているが、その光量はごくわずか。
そのごくわずかな光を観測するために水槽のまわりに巨大なガラス管を配置しているんだ。
人間の目でチェレンコフ光を見るのは不可能だな。
見たいなら1945年のロスアラモスか、1986年のチェルノブイリか、20XX年のアルファコンプレックス(1984)に行ってくれ」
「私は今もう十分幸福だし別にいいかな」
「と、ここまでか。
で、結局君はなんなんだ?」
「一言で言うなら、可能性の器かな。
そうだったかもしれない可能性を観測してる」
「……つまり、君が僕たちをおとーさんと呼ぶのは」
「そういう可能性があったということだよ」
「なら、今回僕たちと山に登った君は……」
「分岐した可能性のひとつ。
おとーさんの好きな量子力学の理で考えればありえるでしょう?」
「ありえないとは言い切れないのか……
しかし、この情報をどうにかメタ時空から持ち出せないのか?」
「難しいと思うよ。だっておとーさんは、監s
――パパンッ!




