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異世界オカルトチャンネル! ~(怪談+科学+民俗学)×異世界 /(Q+S+F)I ⊢RICK~  作者: 猫長明
第2部冒険編、最終12章「異世界・イン・ブラック編」
194/288

47-1:作り話オカルトの簡単な見抜き方を提示してみた!

 45cm陽電子衝撃砲、轟砲一筋。

 衛星軌道上から攻撃を仕掛けていた三角形のUAPは一撃で爆散し大西洋へと沈んだ。

 

「汚い花火です!」

「改めて、やっちまった感があるなぁ」

「いざという時はこの九尾に洗脳されてましたと言おう」

「私達もう友達じゃないの?」


「友達は友達の罪を率先して被るものよ~。

 走れメロス読んでないの~?」

「走れメロスと違ってあなた達の罪は許されるようなレベルではないわ。

 強いて同じところを上げるなら、太宰治が走れメロスを書くきっかけとなった際に太宰本人の行動や精神性とはとてもよく似ているわね」


・走れメロスのきっかけ

1:締め切りを目前に控えた文豪太宰治は原稿を投げ出し熱海に逃亡。

2:温泉を楽しみつつ賭け将棋に没頭していた。

3:そこへ編集者が駆けつけるも、この時太宰は賭け将棋の負け額が手持ちを越えており逃げられなかった。

4:そこで太宰は駆けつけた編集者を身代わりに残し、東京へ財布を取りに戻ると約束するも、編集者はそんなことより締め切りを守れと叱咤し、東京に戻った太宰は原稿を書き上げた。

5:ただし締め切りは既に破られており、将棋の負け額も払いに戻ることはなかった。

6:太宰が一向に戻らないことで編集者は自腹を切って東京に戻るも、そこには賭け将棋を楽しむ太宰が居たという。

以上ここまでの解説どの一文を切り取っても人間失格のクズエピソード。

この最後に編集者に言ったという「待つ身は辛かったかね?」という言葉が走れメロスに繋がったという。

 

 さておき。いかに赤の神々が罪を簡単に許しがちなことを含めても相当なライン越えを果たしてしまった一同。

 一般的な自衛隊の大型艦船の場合200~300人の乗組員が搭乗する。

 下手をするとこの時点でUAPに搭乗していた300人をその手にかけた可能性が考えられるのだ。

 まぁ、自衛隊の最新鋭護衛艦いずもは最小3人での運用が可能だというし、量子テレポーテーション的なアレで脱出に成功している可能性はあるし、そもそもあのUAPはドローン兵器かもしれない。

 シュレーディンガーの猫は蓋を開けて死体を確認するまでは死んでいないのだ。

 

 こうして今回も初手からやりたい放題で始まった旅は、大天使の追手を機銃で追い払いつつ西へ進路を取る。

 途中約束通りバミューダトライアングルを通り、海底に沈むクリスタルピラミッドに大興奮。

 

「まぁこの世界にクリスタルピラミッドがあること自体は別に不思議じゃないんだよ。

 この世界はオカルトマニアの夢みたいな世界だ。

 アトランティスもあったし、ルルイエもあるし、おそらくこの先でムー大陸も見ることになる。

 問題はこれが地球の本当にバミューダトライアングルにあるのかどうかなんだよな」

「お前には申し訳ないが、100%ないと思うぞ」

「ばっさり行ったわね~」

「月の塔やかぐや姫のミイラくらいにありえん」

「火星の人面岩は?」

「ありえん」


 大人になるとはこうも残酷なことか。

 

「オカルトと呼ばれたものが実は実在したという例は枚挙にいとまがない。

 ゴリラの発見とかな。

 だがこうして見つかるオカルトの多くが、そこまで面白くないオカルトだ。

 ネッシーのような恐竜が見つかればそれは大興奮だが、ゴリラなどよく見ればただのでかい猿だし、シーラカンスも言われないと何がすごいのかよくわからない。

 一方で願い年月オカルトマニアの夢となっていたアトランティスや賢者の石、ロズウェル事件や剣山の聖櫃、そしてバミューダトライアングル、これら面白いオカルトはだいたい創作だ。

 学問とはそんなものだ。

 怪しいと思ったら面白いかどうかで判断するといいな。

 面白いのはだいたい創作だ」

「実にお前らしい言い分だよ」


「でも、秘密要塞オルテラだったり走れメロスの誕生秘話だったり、現実がオカルト級に面白い例なんてのもいくらでもあるわ~」

「そうだな。

 故に必ずしもこの法則がすべてに当てはまるとは言わない。

 面白くもなんともないのにオカルトである例も多いしな。

 レプティリアンやディープステートの世界支配者説とか」

「その辺は正直もうちょい楽しいオカルトを考えて欲しいもんだよな」

「まぁそういう社会不安に起因するオカルトも、社会心理学とか民俗学の切り口で見ていくと面白いんだけどね~」


 そんな3人の会話をナイノメが興味深そうに頷く。

 

「なるほどね。確かにあなた達は『こっち』寄りだわ」

「地球がお前たち黒の宇宙人による社会実験として作られた箱庭の1つであるという説なら濁しておきたいな。

 あまり気持ちのいい話じゃねぇ」

「僕達科学者は神を信じているが、それは神を崇めることとイコールではない。

 科学者にとっての神とは、ただの遥か先まで進んだ科学文明でしかない。

 ユニバース25もそうだが、こうし大規模社会実験は正直あまり趣味が良いとは言えないからな。

 進んだ文明の一部のマッドサイエンティストに自分が神だとかパパだよなどと名乗られても崇拝どころかリスペクトすら感じられん」


・ユニバース25

マウスを用いてユートピアに行き着いた人間社会の末路を考える社会実験。

衣食住のすべてが満ち足りた楽園に放たれたマウスの群れを観察する。

何の外的不安もない環境であるにも関わらず、あるものは階級社会を率先して構築し、あるものは異性をストーキングし、あるものは引きこもりを始めるという現代社会でおなじみの行動と取ってしまうという予想を乖離した恐ろしい現実を25回の実験で確認してしまった事例。

この25回すべてでマウスは最終的には出生率の低下により全滅しており、現在の先進国の末路を感じさせる。

身につまされる話であると同時に社会的動物の興味深い性質を発見した革新的な実験だが、それはそれとして極めて趣味が悪い。

 

「いや、そういう話じゃないわ。

 そもそも黒の宇宙人が作った人間の本質は悪ではなく怠惰よ」

「身につまされる話だ」

「そういう意味で言えばあなた達は怠惰ではないわ。

 仕事を取ると怒るし」

「楽しむためには努力するのよ~」


「そう、そこよ。

 そこが私と同じだと言いたいの。

 私も自分の趣味のために全力で努力するからね」

「その趣味が最悪なことはこの際置いておこう」

「でも何を楽しいと思うかは人それぞれじゃない?

 正直私はエルフを吊るしてぺんぺん叩く趣味は何が楽しいのか理解できないわ」


「それはよくある勘違いね~。

 私はキリヤちゃんを恐怖と絶望に歪ませることに興奮してるんじゃないの~。

 逆らえない存在を相手に恐怖し絶望する眼の前のキリヤちゃんに自身を重ねて無力に喘ぐ疑似体験に興奮してるだけなの~。

 正直世のサディストの半分はマゾヒストとの重ね合わせ関係にあって、もう半分は普通にただのマゾヒストであることが多いわ~」

「よくわからないしけど、わかりたくないことは確かね」


 ちなみに、今ここでこの会話がなされたことと今この場面にキリヤがいないことに関連性はない。

 数時間前に「SFヒロインお約束の機械に拘束されてちょめちょめみたいなことをやってみたい」とぼそりと口にしたサダコ姉にナイノメが捕虜收容室の地図を渡したこととも何の関係がない。

 

「まったく。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているとはよく言ったものだわ」

「哲学者ニーチェのセリフなのに、邪神ナイアルラトホテップのセリフと言っても大勢騙せそうなセリフなのよね~」

「実際ここでは私のセリフだし。

 ともあれ、黒の人間の基本原理は怠惰。

 つまり、『楽』に流れようとするの。

 でもあなた達は『楽しい』に流れる。

 バグなのよ、あなた達は」


 と、そう漏らすナイノメを相手ににやりと笑い。


あなたと同じで~?」

挿絵(By みてみん)


「……邪神業やって長いけど、自分以外の邪神、それもこんなに若いのに神話級の資質を持つ存在に出会ったのははじめてだわ」


 口では散々遠ざかろうとしつつも3人がナイノメに近づいてしまう理由。

 それは案外、似た者同士だという単純な理由なのかもしれない。


挿絵(By みてみん)

R・・・サイト内のランキング

E・・・ブックマークや評価で伸びるスコア変数

F・・・作者が小説を更新する頻度


挿絵(By みてみん)

M・・・作者のモチベーション


更新持続率はMに比例する。

以上の公式より、さらに続きが読みたい場合はEの値を増やすことが有効に働くことが数学的に証明できる。

ブックマークと評価よろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

面白かった回に「いいね」を押すことで強化因子が加わり、学習が強化される(1903. Pavlov)


※いいね条件付が強化されると実験に使用しているゴールデンレトリバー(上写真)が賢くなります。

※過度な餌付けはご遠慮ください。


挿絵にはPixAI、Harukaを使用しています。

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