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異世界オカルトチャンネル! ~(怪談+科学+民俗学)×異世界 /(Q+S+F)I ⊢RICK~  作者: 猫長明
第2部冒険編、11章「カワイイ捕食寄生編」

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42-3:1D100振ってみた!

 こうして立て続けに2本のプロモーション動画撮影を終えた一同。

 ここでヨッシーは前々から頼んでいた休暇を貰うことになるのだが。

 

「……僕、今日はオフなんだが」

「気にするなって!」

「オフに友達と遊ぶのはむしろ普通よ~」


 はぁ、とため息をつくヨッシー。

 もはや休暇とは何だったのか状態だ。

 とはいえ、悪い気はしていない。


 ちなみにキリヤはどうやら人工無能の元に遊びに行ったらしい。

 あの2人も仲が良いのか悪いのかよくわからない。

 

「だが今日は僕の休暇だからな。

 僕が好きに行き先を決めるぞ」

「そりゃそうだろう」

「2人といっしょならどこ行っても楽しいわ~」


 と、どこか温かい気持ちになりつつ向かった先は、つい最近稼働し始めたばかりの鬼ヶ島原子力発電所だった。

 アトラントローパ中止とジブラルタルダムの破壊による電力不足を補うための新たな電力供給拠点である。

 

「……休みの日使ってやることがまさかの原発反対運動?」

「まさか。というか改めて言うが、僕は原発賛成派だ。

 少し語ってもいいか?」

「休みの日くらい言論の自由を認めるわ~」

「常に認めて欲しいものだし、サダコ姉の場合は常時自由のような気がするが……まぁいい。

 そもそも発電所とは、なんらかのエネルギーを電力に変換する施設だ。

 石炭火力発電所なら石炭を、太陽光発電所なら太陽光、水力発電所なら水と位置エネルギー、波力発電所なら水と風力を利用する」


 海の波が出来る主な理由は海上を吹く風である。

 その風が吹く理由は温度差なので、ある意味でこれも太陽光発電なのかもしれない。

 

「では問題だ。原子力発電所は?」

「その流れだと、ウランとかプルトニウムじゃねぇの?」

「違う。原子力発電所は、リスクをエネルギーに変換する」

「トンチに聞こえるけど、確かにそのとおりね~」


「そして、原子力発電所の発電効率を高める方法は、高い教育水準と職業規範だ。

 脱原発に舵を取ったドイツだが、元は欧州でも上位の原子力国家だった。

 ドイツの国民性と高い科学技術水準は、本来なら原子力に適したお国柄だったのだ。

 2025年現代、世界で最も多くの原発を持つのはアメリカだが、面積と人口比で言えばフランスがダントツ。

 一方、中国とロシアは面積と人口比で言えば原子力依存度が非常に低い。

 これは、リスクから発電をする意味を感じさせるデータだ。

 かつての東北大震災の津波からのメルトダウン事故はまだ日本人の記憶に新しいが、だからこそ日本は原子力に舵を切るべきだ。

 あれだけの大きな事故が起きた今なら、原発の安全基準はさらに高くなる。

 間違いなく世界一の安全基準となるはずだ。

 それは日本人の生真面目すぎる国民性や教育水準の高さも相まって、日本に最も相応しい発電方法となるだろう」


「そうは言うが、日本は地震に台風に火山にと災害大国だぞ?」

「当然場所は考えるべきだ。

 僕は岡山がいいと思うな。

 岡山県は国内でも珍しい地震のリスクがほぼゼロの地域だ。

 なにより岡山県人形峠には、国内ほぼ唯一のウラン鉱脈が眠っている。

 こんなに、ここに原発を作ってくださいと言わんばかりじゃないか」


「なるほどね~。

 じゃぁヨッシーは、休日を使って原発反対運動じゃなくて、原発推し活をしにきたの~?」

「いや。僕の目的は、上だ」


 そう行って空を指差すヨッシー。

 そこには正体不明の発光体が溢れかえっていた。

 

UFO(未確認飛行物体)だな。

 いや、UAP(未確認異常現象)か?」

「別に珍しいことじゃないわ~」


「この世界で宇宙人の存在を信じない者はいない。

 平然と存在しているからな。

 実際僕らが撮影に使用している機材は近くの科学の進んだ惑星で購入したものだしな。

 居るか居ないかのあやふやさが絶妙なラインだったからこそ宇宙人やUFOはオカルトとして好きだったのだが、こうもあっさりネタバレをされてしまうと若干の肩透かしにはなる。

 だがそれはそれとして、銀河条約で技術には惑星毎に検閲が設けられているし、検閲対象側の惑星への渡航は厳しく制限されている。

 そんな状況下だからこそ、まだUFOにロマンを見ることもできるのさ」


 そう言って写真撮影をはじめるヨッシー。

 やっていることは撮り鉄と何も変わりない。

 

「しかしなんで原発上空にUFOが集まるのかしら~?」

「監視されてんのか?」

「監視は監視でも、おそらくネガティブな意味での監視ではなくポジティブな意味での監視だな。

 どうも核分裂技術って、宇宙では珍しいらしいぞ」

「まじ?」

「理論段階で危険性が叫ばれたために実用化が進まず、そのまま核融合にスキップしたらしい。

 なんとリテラシーの高いことか。

 そのため地球の原子力発電技術は実は宇宙でも最先端だとか。

 ちなみに核兵器も存在しないから、下手すると地球の武力は宇宙でも上位になる」

「なんとも皮肉な話だな」


「それで、オルコットンの核開発はどうなのかしら~?」

「こないだニュースになっていたが、核物理学者のターデクス博士という人間がかなりの技術革新をもたらしたようだな。

 論文を読んでみたのだが、驚くべきことにオルコットンの魔法錬金学ではなく、地球と同様の物理学で書かれていた。

 水準はまだ戦後レベルだがね。

 なんだか懐かしさを感じてにやついてしまったよ。ふふっ」


 科学オタクは数式や論文でエクスタシーを覚えられるらしい。

 マッドサイエンティストの顔が覗き見えている。

 

「それでUFOが見学に来てるのか。なるほどな。

 しかし、この世界ではまだ原子力発電所事故なんて起きてないんだろ?

 安全基準が心配になるのだが」

「そこはオーディン神とヘルメス3がバックにいるようだし安心したいのだが……

 どうにもここ最近の僕らの周りを思うと、きな臭いんだよな」

「というと~?」

「この世界に存在しないはずの地球の科学。

 どこから来たんだ?」


 2人の表情が曇る。

 

「……オーディン神は俺達の因子から女体化の合理性に気付いたとか言ってたが」

「確かに僕達がその技術を持ち込んだ可能性はある。

 だがそれ以上に気になるのは、このプロジェクトにたった1人で至った核物理学者のターデクス博士だ。

 ボルジャーノ博士親方なんていうチートがいる前では霞んでしまうのだが、この人物も十分にチート級だろう。

 そしてチート級と言えば……食糧問題を事実上解決してしまったペットショップの社長、ガンドール店主もチート級だ」

「何が言いたいのかしら?」


 ユウキの判定に失敗し口を紡ぐ一方、サダコ姉は普段のキャラを崩して食いかかる。

 

「サダコ姉ならとっくに気付いているはずだ。

 大陸から日本に逃げ落ち、死して毒を撒き散らす殺生石となった九尾の狐。

 そのエピソードを現代風に解釈しなおした九尾原子力発電説を提唱した民俗学者の名前を」

「あの漫画自体は好きよ。

 でも、そのエピソードが書かれた頃の話はどうしても好きにはなれない。

 これ以上は言わないわ」

「宗教的配慮助かる」


・九尾原子力発電説

死してなお毒を巻き続けた九尾の狐の亡骸という伝説残る那須の殺生石は、元々火山地帯で硫化水素系のガスが吹き出ていることに起因している。

一方、現代で毒を撒く物としてイメージされてしまう施設が原子力発電所。

そこで現代版九尾の狐は日本で原子力発電所になったという説を提唱した民俗学者の漫画キャラクターが存在していた。

サダコ姉が歯に物が挟まった言い方をした理由はここでは解説しない。

 

「まぁそんな事情を抜きにしても、九尾の狐と原子力発電の因果関係には少々突飛なものを感じる。

 だが……もしもその間に、何かしらのミッシングリンクが存在しているとしたら?」


・ミッシングリンク

本来は動物遺伝学の用語。

恐竜が進化して鳥になったことは現代ではほぼ常識とされている説だが、長い間恐竜と鳥の中間の化石が発掘されていなかった。

これを鎖の途中パーツがなくなって欠けた状態として、ミッシングリンクと呼ばれた。

そして1860年にドイツにて発見された化石がそのミッシングリンクを埋める存在「始祖鳥」となる。

同様に進化のミッシングリンクが埋まっていない例は多い。

トカゲと亀、カバとクジラ、ウマとキリン、猿と人など。

 

「それこそ突飛な話よ。ホラーは好きだわ。

 でも、ヨッシーの言うそれはただのエンタメホラーよ。

 神話でも科学でも民俗学でもない」

「そうだな。そうだといいな。僕も……」


――窓の外を怯えるようにはなりたくなくてね。

 







「ママー! タルカコちゃんカワイイ!」

「テケテケ!」

「まぁ! うちのタルカコちゃんは、おしゃべりもするのね!」

「昨日いっしょに学校の怪談を読んだのー!」

「そうなのね。

 まぁ何はともあれ、タルカコちゃんを買って本当に良かったわ!」

「テケ! テケ!」

挿絵(By みてみん)


「……リ」

――異世界オカルトチャンネル7! ~空想魔撮シリーズ~


「シーマンキーとは!?

 一晩でたちまち育つ!

 インスタントペットのことである!」


……謎だ。


「980円で、水槽付!」


♪1,2,3! で、シーマンキー!





――異世界オカルトチャンネル7! ~空想魔撮シリーズ~




「3つのルールか」

「神話的お約束なのよね~」

「しかしタルカコには4つ目のルールがある」


――このチャンネルは。


「ほらみろ大惨事だ!」

「被害者も出ている。もはやカワイイ片利共生じゃない」

「……捕食寄生」


ゼウス

オーディン

イシュタル


「ダメです! 斬っても斬っても再生されます!」

「ならばこの剣を弟子にくれてやろう」

「そいつはプリング師匠じゃない! 姿を現せ! 九尾!」


天照大神

ポセイドン

イルルヤンカシュ


「メルトダウンってどのくらい甘いんですか?」

「一連の計画の見通しくらい甘い」

「やはり目が見えなければその程度ね」


――ご覧の神々の提供でお送りします


「なんで全裸にならないといけないんですか!?」

「OVAを売るためです」

「キリヤちゃん、逃げちゃダメよ~」


――異世界オカルトチャンネル7! ~空想魔撮シリーズ~


「ルルイエを浮上させましょう」


――この後すぐ! 衝撃の結末を見逃すな!





「カァ、メイメイ! イッヒヒー!」

「いきなり変なこと言わないでよ!」


――変でゴメンネ


「クックドゥドルドゥー!」

「何変なこと言い出すんだ!」

「ツマンナイー」


――おしゃべり天才ペット! ファーピー!


日本語版/シンダール語版

メーカー希望小売価格 3980円





挿絵(By みてみん)

R・・・サイト内のランキング

E・・・ブックマークや評価で伸びるスコア変数

F・・・作者が小説を更新する頻度


挿絵(By みてみん)

M・・・作者のモチベーション


更新持続率はMに比例する。

以上の公式より、さらに続きが読みたい場合はEの値を増やすことが有効に働くことが数学的に証明できる。

ブックマークと評価よろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

面白かった回に「いいね」を押すことで強化因子が加わり、学習が強化される(1903. Pavlov)


※いいね条件付が強化されると実験に使用しているゴールデンレトリバー(上写真)が賢くなります。

※過度な餌付けはご遠慮ください。


挿絵にはPixAI、Harukaを使用しています。

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