6-2:因習を解き明かす鍵、謎のハーブティーを飲んでみた!
プロモーションを含みます。
「ほっとけ。
追い詰められた数学者はああやって心を落ち着けるそうだ。
素数数えるタイプのやつの上位パターンだろ」
「う~ん……まぁいいか~」
やれやれとため息をついて、再度ユウキと向かいあう。
「でも1つ、地雷を見つけたのよ~。お茶葉よ~」
「茶葉? 紅茶の?」
「う~ん……紅茶かどうかはわからないわ~。
でもね~、最初の長さんのホロゥの中でね~。
私に出されたお茶は紅茶だったけど、キリヤちゃんに出されたお茶は知らない香りのハーブティーだったのよ~。
それで、聞き取りをした感じ、どこの家でもそのお手製のハーブティーがあるみたいなんだけど~、私はそれを飲んじゃダメみたいで~。
よそ者には出せない、エルフだけの……」
「あ、それってこれのことか?
怪談を披露したお礼にもらったんだが」
そう言ってしれっと茶葉の入った小袋を取り出すユウキにサダコ姉の目の色が変わる。
「ちょ、ちょっとぉ~、どういうことなのよ~!?」
「いや、俺に言われても……とりあえず淹れてみるか?」
ユウキは魔法瓶を手にとる。
この魔法瓶というのは商品名ではなく文字通りの魔法瓶である。
使い方を教わった通り、部屋の片隅におかれた水晶に線を繋いでから水を注ぐ。
すると淡い光と同時に瞬く間にお湯が沸騰した。
「おいヨッシー、見ろよこれすごいぞ。
魔法道具、アーティファクトってやつだよ。
魔法エネルギーの解明してみたくないか?」
「形式冪級数展開にx=1を代入し……」
「ダメだこりゃ」
ため息をついて茶こしを用意していたサダコ姉の元に戻りお湯を注いでいく。
「あ、この色~! このロイヤルレッド~!
これがキリヤちゃんに出されたものよ~!」
「へぇ。やっぱり何かのハーブティーだな。
で、そっちは普通の紅茶だな」
「飲んでみるわね~」
「お、おい。大丈夫なのか?」
「もしもダメだったら、ユウキ君は女の子から毒を盛られたってことになるけど、ありえると思う~?」
「いや、全然そんな雰囲気なかったが……」
意を決してカップに口をつけるサダコ姉。
「ど、どうだ……?」
「いい花の香り~……すっと抜けるような飲みやすいお茶ね~。
飲んでみる~?」
「もらうか」
左手でカップをうけとるユウキ。
利き手である右手に持ち替えようとしたところでハッと気付き、そのまま左手で取っ手を掴んだまま軽くカップに口をつけた。
「……うん。
飲みやすいハーブティーだな」
「知ってる味~?」
「俺がそういうの詳しいと思う?」
「ですよね~。
まぁ私もわかんないんだけど~……紅茶は沼って言うしねぇ~」
「だなぁ。でも俺、このお茶なんか好きだな。
気に入ったぜ! ちょっと宣伝させてくれ!」
・エルフの◯◯ハーブティー
エルフの里で代々伝えられるハーブティー!
それぞれの家庭独自の味があり、まさにエルフ達にとっての家庭の味、エルフ流味噌汁みたいなもんだな!
すっと鼻から抜ける軽い香りは、ハーブティーは苦手って人にこそ試してみてほしいな!
特に、普段こういうのを飲まない男性にこそ試してみてもらいたい!
俺もすっかりハマっちまったぜ!
さて、このハーブティーは一体何のハーブから作られているのか、それは実は今回のエルフ因習村編の謎を解き明かす鍵になるためここでは伏せさせてくれ!
今回案件をいただいたのはこのハーブティーを作るエルフのギルド、カリンルースさん!
カリンルースさん側もうちの動画の事情を理解してくれて、公式HPの特設サイトでは動画公開まで素材を伏せてくださってるんだからありがたいぜ!
今すぐこのリンクから特設サイトに飛んで、クーポンコード「ISEOKA」を入力してくれ!
通常300g7500円のハーブティーが、なんと60%オフの3000円!
今注文してくれると、届くのがちょうど動画の最後を公開する日になるから、その時には商品の材料やその効能を確認してビックリしてくれよ!
改めてカリンルースさん、案件ありがとうございました!
「いいわね~、たくさん茶葉もらったみたいだし、しばらくはヘビロテできるわね~。
でも、どうして私からこのお茶を避けるのかしら~、う~、全然わかんないわ~。
ねぇ、ほんとにこのお茶になにか覚えはないの~?」
「そんなこと言われてもなぁ……あっ! そうだ!」
何かを思い出し、改めてカップに鼻を近づけるユウキ。
「どうしたの?」
「匂いだよ! この匂い!
キリヤがつけてた香水の匂いと同じなんだ!」
「香水~?」
「いや、香水なのかはわからんな。
使ってたシャンプーの香りかもしれん。
あいつがこう、ふわっと髪をかきあげた時に……」
「あ~……」
サダコ姉は何かを悟ったような目をして、軽くユウキから距離をとった。
「そういえば、ユウキ君さぁ~。
一応男の子よね~?」
「一応もなにも。
俺はこいつと違っておかしなことは考えん」
「もうこっち来て1ヶ月近いけど~、大丈夫なの?」
「大丈夫って、なにが……あ」
ふと何かに気付いてユウキの顔に赤みがかかる。
「お姉ちゃんがおかずあげようか~?」
「な、なな! 何を言ってらっしゃるんですかねぇ!?
だ、第一俺はお前なんかで!」
「そうよね~、ユウキ君は、美容室のカメラの映像でしか抜けないもんね~」
「な、なんでそれ知ってんの!?」
「部屋の掃除をした時も、ベッドの下から~……」
「わーっ! わーーーーっ!」
世の中には少なからず常人では想像もできない特殊性癖というものがある。
ユウキの場合、それは世に言う「髪フェチ」というやつだった。
「まぁ、お姉ちゃんその辺も理解はあるし~……別にユウキ君が女性の髪にぶっか……」
「サダコ姉」
その瞬間。
ユウキの目が本気になり、がしりとサダコ姉の肩を掴んでまっすぐに目を見る。
しまった。
踏み込みすぎた。
エルフを相手にはあんなに細心の注意を払ってマインスイーパーをしていたのに、思わぬところで地雷を踏んでしまった。
だがこれも自業自得。
ユウキへの好感度も決して低くはない。
こちらを真剣に見つける幼馴染の目。
どきどきと高鳴る鼓動。
はじめてというわけでもないのだし、決意を決める他……
「毛髪のキューティクルはデリケートなものだ。
タンパク質に直接接触させてはいけない。
二度とそんなこと言うな」
「あ、はい」
サダコ姉はその時、「本物」を見ることになるのだった。




